聖騎士は食事中に邪魔をする
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
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カブトムシは決まったルートを逃げる
そう考えたアサギ達はまずそのルート上や近くにいる敵を掃除する事にした
カブトムシが通っている事によりそのルートははっきりと道になっていたので倒すべき相手がどれなのかはわかりやすかった
何体かの敵を倒していると
「後ろ!カブトムシくるよー!!」
カブトムシが音を立てながら歩いてきたので戦っていた敵を引き連れながらルートから外れていく
当然そのカブトムシはさっき戦っていたカブトムシなのだが戦闘が途中で終わってしまったのでHPはもう全快していた
「やれやれ、逃げなきゃもうあいつとの戦闘は終わってたはずなんだけどな」
「そうね、でも逃げてなにをするのかしら?」
「んー・・・まあ、単純に考えるなら回復しにいく、だよね」
「寝にでもいったのか?」
「んー、かなぁ?」
「まあ、それもこの道を歩いて行けばわかるでしょ、きっと」
「まあ、そうだな、よし、カブトムシも行った事だしまた掃除しに行くか」
「「「「「おー!」」」」」
カブトムシが通っていく道を敵を倒しながら進んでいく
しばらくすると今までは道の様にしかなっていなかった所に広い空き地があった
「あー、なるほど、これで回復するのか」
その空き地には1本のとても大きい木があった
木には裂け目がありそこから蜜のようなものが流れ出している
「蜜で回復か、って事はとりあえずここで待っててここで戦えば逃げる範囲も少なくていいんじゃないか?」
「んー・・・とりあえずこの続きの道も行ってみましょう、回復ポイントが1つとは限らないわ」
「そうだね、まだこんな感じの木があったら逃げられちゃうもんね」
アサギ達はさらにカブトムシが走り作ったと思われる道を進んでいく
「あー、やっぱここにもあったよ!」
「おお!さっきの所でやらないで正解だったな!」
「マップで見るとカブトムシが走っていくのは三角形の形で走って行くのね、ここから少し行って曲がるとちょうど遺跡の入り口の所だわ」
「それにしても未来ではこの辺なんもなかったけどこっちは草も木も生えてるしでっかい岩もあるし自然が凄いね」
「そういや未来にこんな木とかはなかったな、岩ならあったかもだけどこの場所には無かった気がするな」
「ほんと過去になにがあって遺跡になっちゃったんでしょうね」
「その辺は図書館とかに書かれてる本とかないのか?」
「んー・・・私が図書館に行った時そんな感じの本があったような気がしないでもないけど海賊船の事を調べてたから中身はそこまで読んでないのよね、ちょっとパラパラっとめくってみただけだし」
「そっか、じゃあわかんねぇな」
「今度時間がある時また読んでみようかしら」
「そうだな、よし、じゃあ遺跡の入り口の方まで掃除しにいくか、お!足音聞こえてきたからとりあえずは逃げるか!!」
アサギ達はカブトムシをやり過ごし遺跡の方に向かいながら邪魔になりそうな敵を倒していった
「よし、とりあえずこれで逃げられても大丈夫そうだね」
「多分ね、あとはどれくらい回復するかが問題だけど」
「まあ、流石に全快はないんじゃないか?だとしても計2回だろ、ま、なんとかなるさ」
「だと良いけどね、じゃあ1本目の木の近くで待ち伏せしてから攻略しましょ」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は蜜が流れている木の所でカブトムシが来るのを待った
少し経つと足音が聞こえてきたのでアサギを残し他の5人が少し離れる
「アサギ、じゃあお願いね」
「はーい、いくよー!よろしくお願いしまっす!!」
走ってきたカブトムシに向かいアサギは挑発スキルを発動する
今回はどうせ逃げるのだからと木の方へカブトムシを向かしている
攻撃パターンは最初に戦った時に大体掴んでいるので問題はない
前足の攻撃は防ぎ、角による攻撃はなるべく躱す
まずはなにもなくカブトムシが木の方に逃げるまでHPを削る事ができた
「おー、木の方に走ってく走ってく、あ、蜜吸ってるー」
「おー、ガンガンHP回復してんな、今魔法当てたらどうなんだ?」
マーリンが炎の弾を飛ばしカブトムシにぶつける
すると先ほどよりもダメージの通りがよくなった
「おい、ダメージがさっきよりもでかいぞ、羽根広げてるから柔らかい所がでてんのか?とにかく攻撃した方がいいぞ」
マーリンの声に慌ててカブトムシに近づき全員で攻撃を加える
確かにこちらが与えるダメージは先ほどよりも多くなっている
「もしかしてこれ回復中に回復以上のダメージを与えないと詰みってパターンか?」
「ありえない話じゃあないわね、そうするとなるべく木の近くで戦った方がいいって事になるわね、アサギ、カブトムシの食事が終わったら次の所まで引っ張ってそこで戦闘しましょ」
「うん、わかった、こっち向いたら連れてくね」
攻撃をしているとカブトムシが食事をやめアサギの方へ向き直った
蜜を食べる前より少しHPが回復してしまっている
アサギは挑発スキルを撃ちながら移動を開始した
カブトムシに追いかけられながら逃げているその姿はなんともいえないものがあった
「結構足早いから逃げてる時でも攻撃喰らっちゃうね、これ途中で私とセッキーだけ次の木の所に来た方がいいかもね」
「なるほど、それはありかもしれないわね、多分食事の時間は一定だと思うから何秒かたったらアサギと私で次の所に先回りすれば移動中に攻撃される心配はないわね」
「うん、流石に後ろから襲われてると盾で防げないからね、バック走の練習でもしておけばよかったかな!」
「転んだら追いつかれて大変な事にならないか、バック走って」
「自分で転んだら転倒扱いになるのかな、そういや、試した事なかったな」
「そう言えば「まおクエ」の中で攻撃を受けた時以外で転んだ事なかったわね」
「その辺はAIがなんかいい感じにフォローしてくれてんじゃないか?よくはわからんけど」
「あはは、それならちょっとやってみようかな」
アサギはくるっと向きを変え付いてきているカブトムシの方を向き後ろ向きに走り出し
「お!おお!!攻撃を防ぎながら走れてる!これはタンクには必要な動きかどべっ!!!」
盛大にこけた
「あー、だめだった・・・途中まではなんか結構バランスが取れてて行けると思ったんだけど足場が悪すぎたから普通に転んじゃった」
倒れても転倒扱いにはならずにすぐに立ち上がれはしたもののその間に数発カブトムシに殴られてしまった
「やっぱ今度からは私とアサギが先に移動するのがよさそうね」
「だな、その前にヘイトをしっかり稼いでもらわないとな」
「そうね、防御が柔らかくなるからアサギには光の剣でも叩き込んでもらってから移動開始がいいかもしれないわね」
「そうだね、食事前にもしっかり挑発スキル叩き込んでおかなきゃね、よし、ついた!攻撃再開だよ!」
2本目の木の所についたのでアサギは再度向きを変えカブトムシとにらみ合う
カブトムシが前足を振るってくるのでアサギはそれを盾で防いだ
そしてカブトムシがまた足を全て地面に降ろしたので角で攻撃をしてくると思ったアサギはギリギリまで攻撃を待つ
だが今度は足を下すだけでなくカブトムシは羽根を広げていた
「やば!」
アサギがそう声を上げた瞬間に今まで以上のスピードがアサギのすぐ右横を駆け抜けていった
6本の足だけでなく羽根をつかい空気を後ろに押す事で推進力を高めたのだろう
アサギがもし逆の方向に避けていたり、遅かったりしたら今の攻撃を食らっていただろう
「こわー、今まで以上に気を付けないと」
「今のは喰らったら相当HP減らされるだろうな」
「多分ね、1発で死ぬかどうかはわかんないけど避けれそうなら避けた方がいい感じの攻撃ではあったね」
「確かめるの?」
「ん、いやー、とりあえずは避けてみるよ」
「了解、別に食らってもすぐ回復するからいつでも食らっていいのよ」
「ありがと!セッキーとオネさんはいっつも頼もしいね!」
アサギはその後も角をしっかりと避け続けた
速くなったとはいえ攻撃が来るタイミングさえわかれば一直線の攻撃なのでなんとかなるようだ
攻撃を加え続けているとカブトムシがアサギから視線を外した
どうやらまたお食事の時間のようだ
「おっと回復だ、どうする?1本目の所いく?」
「そうね、ちょっと攻撃したら行きましょうか、光の剣と挑発スキル使ってね」
「はーい」
アサギは複数の挑発スキルを使った後剣を肩に担ぎ最大まで溜めた光の剣をカブトムシの背中に叩き込んだ
そしてついでと言わんばかりに盾で殴り爆発させる
「こんなもんかな、いこっか」
「ええ、時間計ってるから食事が終わったタイミング教えてね」
「おう、わかった」
「流石セッキー!私全然考えなかったよ!」
「1回目と2回目で差があるかはわかんないけどね」
アサギ達は1本目の蜜が流れている木に向かい走り出した
カブトムシが走るルートを通り遺跡の前を曲がった頃にマーリンから声がかかる
「カブトムシが動き出したぞ」
「はーい!」
「わかったわ、早く追いかけてきてね」
カブトムシが木から離れアサギの事を追いかけていく
アサギ達は一足先に1本目の木の所までたどり着いた
「あれ?木の蜜無くなってるよ」
「あら、ほんとだ、てことはさっきの所で戦っても平気なのかしらね」
「多分そうかも、ちょっと惜しい事したかな」
「まあ、次はそうすればいいわ、ほら、来たわよアサギ」
カブトムシが曲がり角を曲がりその姿が近くなっていく
アサギはそれを迎え盾を構えた
カブトムシの索敵範囲内にアサギが入るくらいまで近づいた
そこでカブトムシは両前足を高く上げそのまま振り下ろし
「ええ!!?飛んだ!?」
足を地面に叩きつける反動を利用したのかカブトムシが羽根を広げ飛びあがる
そしてアサギに角を向け
「あー、これ絶対やばい」
一気にアサギに向かい突っ込んできた
ガツン!盾に衝撃が走る
カブトムシはそのまま地面に突き刺さる事なく角が当たったらすぐに地面に降りまた前足でアサギを攻撃し始める
アサギが食らったダメージは最大HPの三分の一ほどだ
だがこれは完全に防御が成功しダメージを軽減しての数字だ
そう考えると結構な大ダメージだ
アサギの予測通り真っすぐに突っ込んできたからこそ防ぐ事ができたがその衝撃でアサギは転倒してしまった
「アサギちゃん大丈夫?」
「一気にHP減ったぞ、何があったんだ!?」
カブトムシの後方から4人が走ってくる
セッキーに回復をかけてもらいながらアサギは立ち上がると
「カブトムシが飛んで突っ込んできた、いやー、怖かった」
「連続で来なさそうだし、オネさんも来たし、なんとかなりそうかしら?」
「うん、大丈夫、流石にあれだけじゃあ死ぬ事はなさそうだしね、それよりもう蜜はないんだし早く終わらせちゃお」
もうカブトムシに回復する手段は残されていない
あとは攻撃を気を付けていればカブトムシは倒せるだろう
そう簡単な話であるとよいのだが




