表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/137

聖騎士と動き出す古代の兵器 その3

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております

 さっきまでとは「防御システム」の攻撃の頻度はかなり変わって速くなっている

 さっきまでは振り下ろすだけだった攻撃がそれにパンチを追加してきているのだ

 単純に考えて攻撃頻度は2倍、そして手をグーに固め回転させる事で多分火力もあがっているのだろう

 アサギのHPの減り方は比べ物にならないものになっている

 それに加え「防御システム」の背中から湧き出てきた小さい「防御システム」により火力陣のHPも削られているのでアサギへ飛んでくる回復魔法は減っていた

 しかしそこはセッキーとオネの回復魔法の使い方のうまさ、そしてアサギの防御のうまさによりなんとか常に満タン近くまでHPを保てている

 このままいけば小さい「防御システム」の数も減って行きまた安定していくだろう

 アサギはそう信じ目の前の「防御システム」の攻撃に集中していた

 そして徐々に小さい「防御システム」の数も減っていった時また「防御システム」が腕を上げ地団駄を踏み出した


【これで地響きは3つ目、相変わらず1個目のが消える感じはない・・・ヒーラー、なるべく範囲魔法をかけてあげてくれ、基本はアサギさん中心のヒールでいい】


 アーサーはそう言いながらセッキーとオネを見てこの2人だけでもなんとかなるのかもしれないけど、とは思っていたがそれは言わないお約束だ


【火力陣!時間をかけると更に地響きが増えて攻略できなくなるぞ!ガンガン行くぞ!!】


 おー!と声が上がり小さい「防御システム」を全滅させた火力陣が「防御システム」の背中に火力を集中させていく

 アサギはこういう仲間を鼓舞していくのはしっかりと見習わないといけないと感じていた

 今後PT以上の人数で攻略しなければいけないダンジョンやイベント、こういったレイドモンスターなどが増えていくだろう

 その時にパーティメンバーを集める、結束させる、これだって十分実力と言えるだろう

 自分にできるかはわからないが少しずつでもやっていかなければいけない


【え、えっと、多分私はまだまだ耐えれると思うので!「防御システム」のヘイトは絶対に流さないので出せる所まで出しちゃって大丈夫!だと思います!】


【ああ、そうだな、アサギさんは雑魚召喚の時も「防御システム」を殴り続けていた、火力陣がヘイトを奪う心配はもうないだろう、よし、ヘイトの心配はいらねぇ!俺もガンガン火力だしていくぞ!】


 やはりあの攻撃が自身に向かってきたら怖い、そんな思いが無意識のうちにプレイヤーに芽生えているのだろう

 それはそうだ、「まおクエ」ではそこまで大きなモンスターは多くはない

 レベルが上がるにつれ少しずつ大きくはなっているがそれでも「防御システム」の様な巨体はそうはいないだろう

 そしてもちろん現実世界になっていない

 言ってみれば重機と戦っているようなものだ

 だからどうしたって恐怖はある、それを笑顔で真正面で受けているアサギがおかしいのだ

 いや、まあ、アサギだけがタンクをやっている訳ではないのだが

 ゲームの中とは言え女王蟻に思いきり噛みつかれて叩きつけられてすぐに立ち向かえる方が絶対に少数だろう

 火力陣、特に遠距離攻撃を選んでいるプレイヤーは攻撃される頻度が少ない

 近距離攻撃なら範囲攻撃などで巻き込まれたりするのでダメージや攻撃を食らうという事に慣れてはいるが遠距離攻撃は慣れてないのだ

 それにヘイトを自分が奪ってしまうという事は戦列が乱れるという事だ

 1発や2発の攻撃で死んでしまう、死なないように逃げなければいけない、逃げるとモンスターはそれを追いかける、そのモンスターを追いかけタンクも動く

 こうなるとなかなか復帰させるのは難しいだろう

 その場で死んだ方がはやい場合もあるが「まおクエ」はフルダイブMMO、迫りくる敵を前にその場で立ち尽くせるプレイヤーが何人いるだろうか

 そんな考えが絡み合い、無意識に火力を落としているプレイヤーは少なくない

 だが今、目の前にいる小さな女の子はあの巨体を一度だって後方へ、火力が居る方へ振り向かせていない

 ならばもう少し火力をあげれるのではないか

 実際は連続で繋げられるスキルも少し間隔をあけて撃っていたが繋げて撃っても平気なのではないだろうか

 本当は今持っている武器よりももうちょっと攻撃力がある武器を持っているが一度ターゲットを奪った経験から少し使いにくかったものがあるがこのタンクなら奪う事はないのではないか

 詠唱が長く威力もあるが一瞬でダメージがでてしまうのでヘイトを奪いやすいロマン技、ロマンコンボがあるが強い敵に使いもしこっちに攻撃がきたらどうしよう、そう思うと使えなかったがアサギさんならそのヘイト分くらいもうとっくに稼いでるのではないか


【あははは!いいんだよ、皆!全力だしちゃって!!絶対、絶対私がこいつの攻撃を受け止めるから!!】


 アサギの言葉が背中を押す

 その一言で近距離火力陣は更に一歩「防御システム」へ近づいた

 遠距離火力陣が飛ばしてくる攻撃も間隔が狭まった

「防御システム」のHPの減り方が目に見えて増えていく

 だがそれでも「防御システム」の視線はアサギを向いたままだ

 まだ行ける、まだ出せる、CTが長い為に最後の最後まで使えない火力を増す切り札を切る時が楽しみだ

 火力陣全員が全てを出し切れるその時間を待っていた


「あの一言でこんだけ変わるもんなんだな」


「そりゃあ私達は常にあっちゃんがタンクしてるんだもん、攻撃に遠慮なんかした事ないけど他はそうも言ってられないんじゃない?」


「自分に攻撃がくる可能性がほぼないならそりゃあ攻撃もしやすいってものだ」


「まあなぁ・・・俺なんか毎回全力だしてるけどアサギから1度もターゲット奪った事ないからなぁ」


「それは私だって同じよ、あっちゃんからヘイトを奪うなんてどうすればいいのかさっぱりよ」


「だな、俺だけ武器を新しくした時だってアサギさんは余裕でヘイトを持ち続けていたからな」


「ちょっと!アサギからターゲット流れたら全滅する可能性があるんだから少しは遠慮しなさいよね!」


「ふふ、このパーティじゃ、ううん、アサギちゃんじゃそんな心配なさそうだけどね」


「まあ、確かに私もその心配はしてないけどね、むしろ取れるもなら取って見なさいって感じかしらね?」


「ハッハッハー!取れる気がしねぇや!!」


「同じく!」


「俺もだ!」


「気持ちだけでもそう思ってやりなさい!」


「「「おー!」」」


 みるみるうちに「防御システム」のHPは減っていった

 そして残すところあと25パーセント・・・の前にまた「防御システム」が地団駄を踏み、地響きのアイコンが4つに増える

 もはや無視できないレベルのDOTダメージにまでなった


【タイミング悪いな!せめて雑魚召喚後にしてくれりゃいいのにな!背中が開いた!来るぞ!!】


「防御システム」の背中が開き小さい「防御システム」がまたわらわらと出てくる

 武器は先ほどと同じスレッジハンマー・・・と弓を持つ奴がいた


【遠距離がいるぞ!まずはあいつらからだ!ヒーラーに攻撃が流れちまう!】


 遠距離攻撃の敵というのは移動がない、こちらが近付いてヘイトを取る前に回復魔法を使うヘイトでターゲットがヒーラーに流れてしまう

 それでも近距離攻撃なら移動中にヘイトを取り返せばいいのだが遠距離攻撃だとその場からすぐに攻撃を仕掛けてくる

 つまりはヒーラーにダメージが入るまでの間隔が短いという事だ

 攻撃から逃げにくいという部分でもやっかいなので先に処理したい所だ

 アサギは背中を閉じた「防御システム」の攻撃を受けている

 相変わらずぐるぐると回っている拳を頭上で受け、そして真正面に来る拳を受ける

 すると「防御システム」は再度姿勢を起こすのでその隙にアサギはなんとか1体でも小さい「防御システム」からヘイトを取ろうと視線を外すがなにかが目の前に迫ってくるのを感じて急いで盾を構えた

 それは「防御システム」の足だった

 攻撃パターンが1つ追加されたのだ

 下にいるアサギを殴る為に前へ出し折り曲げた膝を伸ばす時についでに喰らっとけと言わんばかりに蹴ってきているのだ

 ついでの癖になかなかダメージが大きい、しかもノックバックもあるらしくしっかりと防がないと吹き飛ばされそうだ

 アサギがここでやる事は攻撃をしっかりと防ぐ事、そして


【皆!「防御システム」の攻撃パターンが変わったけどちゃんと防げてます!!雑魚倒し終わったら後は作業みたいなものだからスキル全部使っちゃってください!!】


 その言葉で先ほどまでの火力がさらに上がっていく

 強力ではあるがCTが長くそう簡単には使えないスキルを使い始めたのだ

 直接攻撃力が上がるスキル、詠唱速度があがるスキル、攻撃が幾重にも重なるスキル

 さまざまではあるがその全てが火力が上がるスキルであるのは間違いない

 小さい「防御システム」がさっきまでとは比べ物にならない速度で光の粒子となって行く

 その間にもアサギは「防御システム」の攻撃を完璧に防ぎ切っている


【残りは「防御システム」だけです!もう少しです!!】


 そこからは早かった

 もはや誰もがアサギからヘイトが流れるとは思っていなかった

 だから最後の最後まで火力が途切れる事がなかった

 声にならない声をあげながら「防御システム」が膝をつく

 それは攻撃の為ではない、そう、「防御システム」のHPが尽きたのだ

 膝をついた「防御システム」は少しずつ光の粒子となり消えていく


『「ハバガヒロ街道」の「防御システム」が討伐されました』


【うわ、全体チャンネルに討伐流れるんだ、え、えっと!お疲れ様でした!!】


【お疲れ様!!】


「「「「「「「おつかれー!!!」」」」」」


「勝った勝った、何ドロップしたのかなー」


「それだ!それにより今後「防御システム」に張り付くのかどうかが決まってくる」


「張り付くにしても討伐完了が知らされちゃうんじゃ厳しいんじゃない?」


「いいや、今回参加した奴等なら思ったはずだぞ、アサギがまたメインタンクやってくれないかな、ってな」


「あー・・・それはあるかもね」


「確かに、あるな」


「だろ?つまり俺らは呼ばれるのを待つだけって事だな、ははは」


「あら、マーリンだって強くなってないとマーリン以外来てくれないか、って言われちゃうかもよ?」


「あはは、マーリンが弱かったら私が誘われ時にマーリンは蹴りますねって言うから大丈夫だよ」


「おいおい、それはないだろう!?俺だってちゃんと強化すっからさ!勘弁してくれよ!」


【よーし、じゃあドロップの確認をするぞー!】


 さて、「防御システム」は何を落としてくれたのだろうか

 47人の視線がアーサーに集まっていく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ