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聖騎士と王都に迫る黒い影

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております

 イベント用のフィールドへの移動開始時間となったのでアサギ達はNPCに話しかけ転送をしてもらう

 そこは王都の目の前の門であった


「NPCがいなくなってるから転送してきたってわかるけどここで戦うのは結構緊張するな」


「そうだね、私達がやられたらそのまま王都がやられちゃうね」


「空を飛べる敵だものね、そりゃここまできちゃうよね」


「結界って概念がNPCの中にもあるんだから多少は王都にも結界が貼ってあるんじゃないのか?」


「あってもよさそうだけどそんな話は聞いた事ないわね、闘技場とか教会の稽古場なんかは守るってより中で人が死なないようにて結界だしね」


「あったらあったで若干緊張感も減っちゃうからつけてないのかな?」


「かもしれないねー」


『皆!そろそろイベントが始まる!相手はドラゴンの「悪竜エドラ」だ!メインタンクは今回はアサギさんに任せてあるから支援をしてあげてくれ!』


「おっと、アーサーの演説が始まったな」


「えーっと、王都に「悪竜エドラ」のお尻を向ければいいのかな?」


「あー、その辺は話し合いしてきた方がいいんじゃない?」


「そうだね、ちょっと行ってくるね」


 アサギはアーサーと話す為に門の前から少し離れた所で叫んでいるアーサーの元へと向かっていく

 アーサーがこちらを見たので個別チャンネルで話しかけようとした時


『皆も知っているかもしれないがそこにいる女性がメインタンクのアサギさんだ!イベントが始まるとエドラのターゲットになるから濃く表示されるのでわかるとは思うがサインを付けて支援しやすくしておいてくれ!』


「う、うわぁ・・・」


「おーおー、完全に注目されているな」


 アサギは急いで個別チャンネルで話しかける


『あ、あの、アーサーさん、ちょっと恥ずかしい・・・』


『あ、ごめんごめん、でも知ってもらわないとすんなりと動けない人もいるかもしれないから勘弁してくれ、アサギさんだって負けて王都に「悪竜エドラ」が攻め込むのはいやだろう?』


『う・・・まぁ・・・そうです・・・ね、はい』


『それで、何の用だろうか?』


『あ、タンクの時は「悪竜エドラ」のお尻を王都に向けたほうがいいかな、と相談に来ました』


『ああ、そうだな・・・正直「悪竜エドラ」の大きさがわからないから何とも言えないんだが確かにその方がいいかもしれない、範囲攻撃がもしあったら王都に当たってしまうかもしれないしな、それはちょっと見た目的によくないだろう』


『そうですよね、じゃあそんな感じでやります』


『ああ、頼んだよ!』


 アサギは話が終わったらそそくさとセッキー達がいる場所に戻っていった


「おかえり、メインタンクさん」


「うー・・・凄い見られてた気がした」


「そりゃそうだろう、まあ、でもイベントが始まったらそんな事気にしてられなくなるって」


「うん、まぁ・・・そうだね」


「よし、じゃあもうそろそろだし準備しておくか」


 そしてイベントが始まる時刻になった


『我が子らよ、呼びかけに応じて召喚されし外遊人よ、我が声が聞こえるか?我は光の神ヒッカリー、予言を与えるものである、東の空をみよ!黒い影が近付いている!!あ奴を何とか倒してくれ!!』


 光の神による全体チャットが響くとプレイヤーの誰もが東の空を見上げた

 空は黒い雲で覆われているがその黒のなかに赤い炎が見えている

「悪竜エドラ」が炎を吐きながらこちらに近づいてきたのだ

 その身体は最初に出会った人型のドラゴンの形ではなくドラゴスケルトンの様に四足歩行のドラゴンであった


「とりあえず近くに来てからヘイト取ってー、だね」


『皆!アサギさんが「悪竜エドラ」のヘイトを取ったら奴のケツを王都に向けてくれることになっている!攻撃はそれからだ!ファーストアタックは絶対にアサギさんに取らせるんだ!途中でヘイトが流れたら討伐は失敗する可能性もある!気を付けてくれ!まずはヒーラーを何人か残して王都の中で位置調節を待っててほしい!』


 その言葉で門の前から人が少しずつアサギから離れていった

 門の前には数人のヒーラーが残ってはいるがアサギの近くにはいない

 これで「悪竜エドラ」のファーストアタックは完全にアサギが取れるだろう


「はー・・・クラスチェンジ終わらせておけば光の剣で迎えるんだけどそうもいかないよね」


「アサギ、頑張ってね」


「負けるなよ」


「あっちゃん!ファイト!」


「アサギちゃん無理しないでね」


「アサギさん、攻撃は任せてくれよ!!」


「うん、皆ありがとう!!じゃあ「悪竜エドラ」討伐始めようか!!」


 アサギは発言するチャンネルをパーティチャンネルから全体チャンネルに移した


『皆さん!今回メインタンクやらせてもらいます、アサギです、私は耐える事くらいしかできないので支援と攻撃よろしくお願いします!絶対に勝ちましょう!』


「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」」」


 そしてアサギは「悪竜エドラ」を睨みつけた

「悪竜エドラ」がどんどん近づいてくる、その身体は最初に会った時よりも、そして骨の迷宮の地下三階で出会ったドラゴスケルトンよりも大きかった

「悪竜エドラ」もどうやらアサギの存在に気が付いたらしい、飛行速度をあげ一気にアサギの元へ近づいてきた


「あの感じ・・・まじに特殊AIなんじゃねぇか?」


「どうでしょうね、とりあえずアサギが1番目立つ場所に居た事には変わりないからまだわからないわ」


「悪竜エドラ」がアサギの前に降り立つ

 そして凄まじいほどの咆哮をあげアサギへと向け右の前足を振り下ろしてきた

 アサギはそれを盾で受ける、相当な攻撃力だ、だがなんとか止める事ができた

 その次に「悪竜エドラ」はまた右足で今度は振り払うようにアサギに攻撃をしてくる、アサギはそれを後ろへと躱し挑発スキルを発動し「悪竜エドラ」の尻尾を王都へ向けさせるべく移動した


『まだだ!まだでちゃいけない!アサギさんが位置を決めて動かなくなったら一気に左右から攻撃だ!!』


 アーサーの声を耳に入れながらアサギは走った

「悪竜エドラ」の首がそれを追い、そして身体をアサギの方へ完全に向けると


『お待たせしました!攻撃お願いします!』


「「「「「「「「うおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」」」


 イベントに参加したプレイヤーが雄叫びをあげながら「悪竜エドラ」に迫る

 矢が、魔法が「悪竜エドラ」に当たる、そして走ってきた近距離職の剣が、槍が「悪竜エドラ」の皮膚を切り裂いていく

 今回のイベントは女王蟻のように大きい相手なので近距離攻撃はしっかりと相手に当てなくてダメージが通るようになっているようだ

「悪竜エドラ」はHPを徐々にだが減らしていく、だがその視線はアサギの方を向いたままである

「悪竜エドラ」の攻撃は今の所右の前足のみで行われていた

 上から振り下ろすか、横に薙ぎ払うかの二パターンである

 アサギはそのどちらも吹き飛ばされる事なくしっかりと盾で防いでいる

 横薙ぎの攻撃をがっちりと防いだ時は周りにいるタンク職から賞賛の声が上がったほどだ

 だが「悪竜エドラ」という存在はこんなものではない事をアサギは理解していた

 初めて会った雪上での戦いの時とは姿かたちは違っているがまだまだ見せていないものがあると感じていたのだ

 だから目の前に居る「悪竜エドラ」だってそうなのだろう、アサギはそれを耐えながら待っていた

 HPが5パーセントほど削れた時「悪竜エドラ」が翼を広げるとその身体が若干浮き始めた

 身体が浮くという事は足で身体を支えなくてもいいという事だ

 アサギは右の前足の薙ぎ払いを防いだ後すぐに襲ってきた左の前足の爪を盾で防いだ

 ほっとしたのもつかの間、「悪竜エドラ」は右の前足を一直線に突き出しアサギを貫こうとしてくる

 それを横に避けた時「悪竜エドラ」は翼を動かし始めたのが見えた

 その途端、王都の門の高さを越える竜巻が発生した


「やっぱ竜巻くるよな、どう動くんだ、この竜巻は」


 その竜巻は太さは大したものではない、精々がプレイヤー2、3人分と言った所だろうか

 だが数が多い、今は十本ほどの竜巻が動いているのが見える

 竜巻が王都の前を駆け巡り巻き込まれたプレイヤーのHPを削っていく

 この竜巻はドラゴスケルトンの最初の竜巻と同じようでランダムに動いていく竜巻のようだ


『火力陣!出来るだけヒーラーの回復を待たずに各自ポーションを使え!そして竜巻からなるべく逃げるんだ!あの竜巻は「悪竜エドラ」の身体に当たっても消えないで動いてくるぞ、反対側から来るのに気を付けろ!!』


 竜巻に飲まれないようにと動き始めるとどうしても攻撃の勢いが落ちてしまう

「悪竜エドラ」のHPバーの減り方は最初に比べると若干遅くなっていた

 その間も「悪竜エドラ」は攻撃の手を休めてはくれない

 アサギへと二本の前足と牙で攻撃を加え続けていた

 アサギが一番警戒している攻撃は身体を少しひねり出しながら繰り出してくる突き攻撃だ

 最初は運よく避けられたが横を通ったその衝撃から当たれば吹き飛ばされる可能性があると感じた

 もし吹き飛ばされてしまえば「悪竜エドラ」はアサギを追いかけてくる、そうなると他のプレイヤーも動く事になってしまう

 最悪吹き飛ばされる前には届いてた回復魔法も届かない距離まで吹き飛ばされた影響で回復が間に合わなくなる可能性もある

 突き攻撃を繰り出す前に「悪竜エドラ」は若干身体を捻る、その動きを見るとアサギは盾でその攻撃を滑らせながらなんとか左右に避けていた

 しかし攻撃のパターンはそれだけではなくまだまだ増えていくようだ

 今度は「悪竜エドラ」が頭を持ち上げる

 アサギはドラゴスケルトンの時の様に回転してくるのかと盾を構えた

 しかし「悪竜エドラ」の攻撃は予想とは違っていた

 まずはアサギに向けて一発、そしてその後に周囲に向け何発も炎の弾を吐き出していた

 その炎の弾は当たると同時に周囲を巻き込んで爆発するようだ


『範囲攻撃だ!近接火力!前足よりも後ろから攻撃するんだ!結構ダメージでかいっぽいぞ!!』


 アーサーの声にあるようにアサギは結構なダメージを受けた

 着弾と爆発で2回ダメージを食らっている、もしこれが全部アサギに向けての攻撃だったらやられただろう

 今の炎の弾で何人かがやられ復活ポイントに戻っていったようだ


 相当数が参加するイベントという事もあって「悪竜エドラ」のHPは相当な数字に設定されているらしい

「悪竜エドラ」との戦いは始まったばかりである

 アサギは最後まで倒れる事なく「悪竜エドラ」の前に立ち続けられるのだろうか

 そしてこの「悪竜エドラ」はどちらのAIで設定されているのだろうか

 それはこの先になったらわかっていくのであろう

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