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聖騎士と暴風の止まぬ部屋

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております

 アサギが足を止めたのはまだ空を飛んでいるドラゴスケルトンの少し奥だ

 最初から位置取りを他のパーティメンバーが戦いやすい所にしようとしたのだ

 アサギは少しずつ高度を下げてくるドラゴスケルトンに対して挑発スキルを放つ

 地に降り立ったドラゴスケルトンはすぐにアサギの方向へ向いた


「----!!!」


 声が出せない身体で何かを叫ぶドラゴスケルトン

 アサギはその声に気圧されることなく攻撃を始めた

 相手は骨だけの竜なので聖属性付与は忘れていない、アサギの攻撃はザクザクとドラゴスケルトンのHPを削っていく

 ドラゴスケルトンも負けじとその牙や爪でアサギを攻撃してくる

 その時アサギがある事に気が付いた


「ねぇねぇ、なんでこのドラゴスケルトンが「悪竜エドラ」の練習になるのかな?だってこいつはいかにもドラゴン!って感じのトカゲみたいな四足歩行タイプのドラゴンだけど「悪竜エドラ」は人型だったじゃない?」


「なんだ納得して走り出した訳じゃあなかったのね、多分答えはこいつが人型に変身するか「悪竜エドラ」が四足歩行ででてくるかのどっちかよ」


「なるほど、そっか」


「どちらにしてもダンチョーが練習って言ってるんだから無駄にはならないでしょう」


「うん、そうだね!」


 ドラゴスケルトンは骨で出来た長い首を縦横無尽に振り回しながらアサギに噛みついてくる

 女王蟻の時は完全に身体ごと噛みつかれる事になったので防げなかったがドラゴスケルトンは口を思いっきり開けてもそこまで広がらないからなのか盾でダメージを減少させる事ができた

 これは直接戦ってみなければわからなかった点だろう

 勿論今度くるイベントの「悪竜エドラ」がそうとは限らないがその可能性があるとわかっただけでも試す事が増えてくるというものだ

 そして前足の爪によるひっかき攻撃、これもやっかいな攻撃方法である

 そもそもドラゴスケルトンは結構な巨体でありその巨体を支えているその前足の力は大したもので盾で防いだとしても結構HPを削られてしまう

 一回一回の攻撃が繋がってないからいいもののガードするタイミングを間違えればすぐに盾が弾かれてしまうだろう

 連続的な攻撃ではないとはいえ攻撃そのものは速いのだ

 盾が弾かれ身体に直接この攻撃が来たとなったらこの力だ、身体ごと吹き飛ばされ下手をしたらそのままアサギがやられ壊滅という事もありうる、一つ一つ丁寧に攻撃を防いでいかなければならない

 アサギは盾による攻撃は噛みつき攻撃後の大きな隙の時だけに限定した

 その時は首を元の場所に戻す為に攻撃が止まるのだ、その時だけは盾を動かせる、それ以外は防御中心ではあるのだが剣での攻撃が多くなった

 アサギ達の攻撃がドラゴスケルトンのHPを25パーセントほど削った時、ドラゴスケルトンは急激に翼をばたつかせ始めた

 空を飛ぶのだろうかと考えたアサギは攻撃の手を休める

 しかし思っていたよりもやっかいな状況が巻き起こり始めた


「アサギ!後ろ!竜巻!!」


「え?」


 アサギが後ろを向いた時にはすでに遅かった

 翼をばたつかせる事で竜巻を発生させたのだろう、その竜巻がアサギ目掛けて近づいてきたのである


「うわああああああ!!!!」


 アサギは竜巻によりダメージとスタンを喰らってしまう

 ダメージも結構な量だがスタンがまずい、アサギはドラゴスケルトンのひっかき攻撃を直接食らい吹き飛ばされてしまった


「アサギ!」


 すぐに回復魔法が飛んでくる、アサギのHPはすぐに全快近くまで回復した

 だがその直後に今度はセッキーがいる場所によこから竜巻が襲い掛かってきたのだった


「なんなのよ!この竜巻!!」


 セッキーも竜巻に飲まれてスタンしてしまう

 その間にもアサギはドラゴスケルトンの攻撃を受けてしまうがセッキーのお陰で竜巻に気が付いたオネがその場から逃げていたのでアサギの回復はなんとかなりそうだ

 なんとか転倒から起き上がったアサギは襲い掛かってきたドラゴスケルトンの爪を盾で防ぎながら辺りを見回す


「竜巻の動きってもしかしてランダムかな?全然関係ない方向に行ってるのもあるね」


「これは誰かが竜巻見てないとまずいか?」


「とりあえず私とオネさんは離れていないとまずいわね、2人ともスタンしたらアサギは無敵スキルがあるからいいとして竜巻に2、3回当たったらやられちゃうわよ」


「そうだね、とりあえずセッキーちゃんは右側から、私は左側からがいいかな」


「竜巻の動きは真っすぐとかじゃなくて不規則だから避けにくいわね」


「ねぇ、あっちゃん、ドラゴンの身体に何か光るオーブとか壊せそうななにかない?」


「えーっと・・・こっちからは見えないね、後ろからもないの?」


「うん、ないんだよね・・・とすると何かを壊して止める感じのギミックでもなさそうだね」


「なあ皆、気づいてるか?この竜巻さっきから全く減っていないぞ」


「まじか、ドラゴスケルトンが普通に攻撃してるって事は最低でもこの25パー削るまでは出続けるのか」


「最悪半分になったら更に増えていくかもしれないけどね」


「マーリン、私の方に竜巻が来たら教えてね、右とか左だとかじゃ混乱するから剣持ってる方か盾持ってる方って言って」


「わかった、アサギは俺の方に来てるとかわかるか?」


「んー、流石にドラゴスケルトンが近すぎて無理、ごめん」


「了解だ、俺は遠距離だからずっと前見てなきゃいけない訳じゃないからな、なんとかなるだろ」


「最悪食らっても私かオネさんが食らってなければ大丈夫よ」


「わー、プレッシャーだなー」


「オネーちゃんがんばって!」


 アサギ達は部屋の中を駆け回る竜巻を避けながら・・・時に喰らいつつもドラゴスケルトンへの攻撃を続けていく

 アサギはマーリンが剣!とか盾!とか言うたびに反対の方向へ移動しなんとか竜巻に当たらずにいたがそれによりドラゴスケルトンの攻撃が直撃してしまう事もあった

 だがなんとかしてドラゴスケルトンのHPを半分まで削る事に成功する


「あー・・・翼の動きが終わった、ようやく竜巻終わりか・・・」


 HPを半分無くしたドラゴスケルトンは足元に竜巻を出し高く高く飛びあがったのだ


「空飛んだってのは良い予感しないけどね」


 だが空に飛んだドラゴスケルトンはあっさりと降りてきた

 しかし今度は足を地につける事はなくなり身体を起こし宙に浮いている

 それによりさっきまでよりも前足による攻撃が速度を増した


「ここで単純な攻撃力アップみたいだね!」


 アサギはその攻撃を防いでいく

 さっきと1番違う所は一つ一つの攻撃の隙間がなくなった事だ

 最低でも三回、多い時で五回ほど攻撃が連続で来る、噛みつき攻撃後はやはり首の位置を戻す為に攻撃は止むが回数が決まっている訳ではないのでその都度その都度どの攻撃が来るのかをしっかりと読み切らなければいけない

 もし初撃で吹き飛ばされその後四回連続で喰らったらHPが無くなってしまうかもしれない

 アサギは前足の動きに注目ししっかりと攻撃を防いでいった

 だがそんなアサギに予想外の方向から衝撃が走る

 竜巻がまた来たのかとアサギがそちらに視線を向ける

 だがそこにあったのはドラゴスケルトンの尻尾であった


「ああ、そういえば「悪竜エドラ」も尻尾使ってきたね!」


 アサギはそう言いながらも視線を前足へと戻した

 尻尾の攻撃は先ほど直撃はしたがスタンはしなかったし吹き飛ばされもしなかった

 そこまでのダメージも確認できない、それならば尻尾の攻撃は捨ててもいい

 むしろ前足が来ない分だけラッキーとまで思えるほどだ

 そんな思いをドラゴスケルトンが読み取ったでもいうのだろうか

 急にドラゴスケルトンの前足が両方一緒に上に上がっていく

 今まで両方一緒に動いた事はなかったので同時に来るのかとアサギは盾を自分の身体の前で構えたがアサギに攻撃をしてきたのはまたしても尻尾だった

 ドラゴスケルトンはその場で器用にバク宙をしてきた

 だがこの攻撃はどちらかと言えばアサギへ対する攻撃ではない

 確かに尻尾は盾にあたったがそれよりも四足で着地する時の衝撃で後ろで攻撃を加えていたまぁちゃんとダガーへの攻撃がメインのようである

 まぁちゃんは常に回避スキルをCTごとに使っているのでなんとかダメージは無かったがダガーは攻撃を食らってしまっていた

 幸い一発で全てのHPが消し飛ぶという事はなかったがこれからはその攻撃にも注意を向けなければいけないので若干攻撃頻度が下がるかもしれない


「あっぶねえええええ!!!」


 そして食らっていれば多分即死であったマーリンの眼前ギリギリの所を尻尾は通過していた

 マーリンがもしあと一歩でも前に居たら食らっていたであろう


「色々やってくるドラゴンね、ほんとに」


 また前足を浮かせてドラゴスケルトンはアサギに対して攻撃を加え始める

 アサギ達はドラゴスケルトンの攻撃を注意深く観察しつつ攻撃を続けていった

 そして最後の25パーセントを残すのみとなった

 またドラゴスケルトンが全ての足を地につけ翼をばたつかせ始めた


「また竜巻くるぞ!!」


 マーリンの叫びと時を同じくして竜巻が発生しはじめる

 しかし先ほどよりも竜巻が太くなり帯電しているようだった

 パッと見ただけでもダメージが多くなっている事がわかる、しかも移動速度までもがあがっている

 アサギは竜巻を避ける為に一度ドラゴスケルトンから距離を取った

 当然ドラゴスケルトンはアサギを追いかけるのでまぁちゃんとダガーはさらにそれを追いかける形となる


「こんなんどうすりゃいいんだよ!!」


「待って!!・・・今度のは規則性があると思う!!真っすぐにしか進んでないのよ!」


 ドラゴスケルトンのHPが75パーセントから50パーセントの間に発生した竜巻はダメージが少なかったが動きに規則性がなくどこへ行くのかがよくわからない感じだった

 しかし今度の竜巻はどう見てもダメージは大きいが規則性があり躱そうと思えば先読みしながら躱せるもののようだ


「この竜巻は多分パーティの誰かしらをランダムに狙っているのよ、で、発射した瞬間に通るルートは固定されるみたいだからそのルートから外れれば当たらないと思うわ」


 この竜巻がどこから発生しているかというとそれは部屋の外側を覆っている大きな竜巻からだ

 大きな竜巻から一定時間ごとに内側の方に竜巻が発射されているのだ


「竜巻がでるのはどうやら時計回りみたいね、8回で部屋一周よ、時間も決まってるっぽいから時間が来たらどこ向かってるか見て逃げれば十分間に合うわよ」


「そんな事言われても私そっち見れないよ!」


「最悪今回に限ってはアサギは喰らってもいいわよ!しっかりヘイト取っておきなさい、回復は私とオネさんでなんとか死なないようにやるから!あとはアサギ以外は皆発射口と自分の直線状にアサギを入れないように移動して、毎回アサギが巻き込まれてたら流石に壊滅しちゃうわよ」


「えーっと毎回部屋の外側のどこかから竜巻がでてそれは時計回りに動いてて、その発射口とその時にいた自分を結んだ線にアサギを入れないように動く、と・・・難しいな!」


「ほんと難しいわね、流石エンドコンテンツよ!!」


「ああ、そう言えばそうだったね、専門職にクラスチェンジしてからくるようなダンジョンだったの忘れてたよ」


「なんだかんだでアサギちゃんが安定してるからそういえば忘れてたわね」


「そりゃあうちのタンク様はパラディンロード様だからな!」


「じゃあそのパラディンロード様に竜巻を当てないようにしないといけないな」


「まあ、あと少しよ、頑張りましょう!」


 部屋の中は暴風が吹き荒れている

 ドラゴスケルトンのHPはあと少し、果たしてアサギ達はその残り少しを削り切る事ができるのであろうか


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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章の読みやすさは〇 文体の雰囲気は明るく、1人1人の書き分けもきちんとできていて、会話もすんなり入ってくる。 文章構築力はしっかりあります。 [気になる点] 話の進んでいる感があまりない…
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