聖騎士は踊るよ、どこまでも
タイトルを考えてみた
ぶいぱら!VRMMOの世界で宗教を立てた私は聖騎士となり魔王の前に躍り出る!
か
これが私の聖騎士道!
もっと他に思いついたら変えてみます
とりあえず上案に変えておこうかな
聖騎士と書いてパラディンと読ませたい
フクフ副団長との稽古が充実したものとなったアサギは夕ご飯を食べる為に教会を後にしログアウトしていた
前日にカレーを食べたのなら次の日はカレーうどん、これは世界のルールである
ご飯を食べ終わり忙しなくもお風呂を済ませたアサギはちらりと時計を確認する
「よし、間に合った!わー、ドキドキする、モブと戦うのは初めてだし・・・ダンチョーが言うにはアクティブなモブは相当なプレッシャーがあるらしいけど・・・んー・・・まずはノンアクティブで練習だな、うんうん!」
ダンチョーの言葉にまだ見ぬ敵をびびりながらもアサギは「まおクエ」の世界へログインしていくのであった
「あー、しまったな・・・集合時間は決めたけど場所考えてなかった・・・」
だがやってしまったものは仕方がない
聖騎士は失敗してもめげないのだ
「んー・・・じゃあ人が居そうなところに行きますかね」
アサギはプレイヤーやNPCで賑わう中央街にやってきた
そこにはアサギとは違いすでに戦闘をしてレベルをあげているであろうプレイヤーがわんさかいた
と言うかゲームを始めて2日連続でログインしているのにレベルが1のままのプレイヤーなどアサギだけであろう
レベルがあがっているであろうプレイヤーを見てアサギは少し焦っていた
(わー、私もちゃんとレベルあげないとなー・・・んー、でもダンチョーがプレイヤースキルも育てないと意味ないって言ってたし・・・両立が大事よね、なら別にそこまで焦らなくてもいいかも・・・?)
聖騎士は多少の事ではくよくよしないのだ
それにしても人が多い、同時ログイン数がかなりの物になったとは聞いていたがここにはどれくらいの人が居るのだろうか、果たして友人2人は見つかるのか、そう考えていたアサギの耳元に聞きなれた声が届く
『おーい、今どこにいるのー?』
「ん?」
『個人チャットだよー、チャットの設定変えないと恥ずかしい事になるよー』
『ああ、個人チャットなんてのがあったんだ!ありがとう、席子ちゃん、じゃなかった、セッキー!』
『どーいたしまして、でアサギはどこにいるの?うちらはもう合流して南側にある門の中にいるよ、まだ王都から出てない』
『あ、うん、わかった、すぐ行くからもうちょっと待っててね!』
『ダーーーッシュ!!』
『はーい!』
アサギは駆け出した、ログインした時の不安感は多少の物になっていた、これから出会うであろう敵との戦闘を想像し、強くなっていく自分にワクワクしながら駆け出したのである
・・・誰かが物陰から見ている事には気づかないままに・・・
アサギが南側の門の手前に行くとかなりの人数のプレイヤーとそのプレイヤー相手に一儲けしようとするNPCや何かを熱心に勧誘しているかのようなNPCなど人が大勢いた
中央街も混んでいたがこちらも混んでいる、それはそうだろう、王都から出れる門は3つしかない
その内南の門からでてすぐの「チッケーナ草原」は適正レベルが低く初心者にはぴったりなのだ
東や西の門の目の前も大体似たようなモブが出現する設定になってはいるのだがそちらは少し狭い
サービス開始2日目という事もあって初心者だらけの王都周辺はどこもかしこもごった返しているのである、少しでも快適に狩りがしたいのは皆同じだろう
その雑踏の中からアサギは自分の知り合いの名前が頭の上に浮かんでいるプレイヤーを見つけ近づいて行った
「ごめんね、おまたせ!」
「おう、おせーぞー」
「ちゃんと場所を決めてなかったんだから私たちだって悪いのよ、だから気にしなくていいわ、それにしても・・・貴女結構金髪似合うのね、目の色も変えて・・・あとちょっと背も高くしたの?いいじゃない、かっこいいわ」
アサギは金髪に憧れていたのだ
それは何故か?勿論聖騎士っぽいからである
だがリアルの世界ではアサギは高校生、校則で禁止されているし髪が痛むのを気にして染めた事はなかった、なにより本人的にはあまり似合わないんじゃないかと思っていた
しかし友人に褒められた事でアサギはとても喜んでいた
「そ、そうかな・・・?くふふ、嬉しいな、やっぱ聖騎士と言えば金髪だもんね!ね!マーリン!」
「もちろんだ!」
今のアサギはアサギの理想の聖騎士に限りなく近づいている、外見はほぼ理想と言っていいだろう、あとは強さだけだ、その強さを得る為には敵を倒せばいい、今から友人と3人で狩りにいくのだ、ますます理想に近づいていくアサギは上がる口角を止める事は出来なかった
「またニヤニヤしてるよ、この子は・・・」
「くふふふ、だって楽しみなんだもん!それにしてもセッキーもマーリンもあんまり見た目いじらなかったんだね」
「ん、ああ、なんかあまりにもリアルと変えすぎると動きにくいって聞いてたからな、だから俺は全然いじってないぞ」
「マーリンはそうだね、でもセッキーは・・・おっぱい大きくしたでしょ!!!!」
「「ブッ!!!」」
「ば、馬鹿、男子がいる所でそんな事言わないでよ!ちょっとマーリン!どこ見てんのよ!セクハラでGMコールするわよ!!」
「う、うわぁ、ごめんごめん、あ、アサギが悪いんだ!そんな事言われたら見ちゃうのもしょうがないだろ!!」
「えー、そうかなー?マーリンがスケベなだけなんじゃないのー?」
「な、なに言ってんだよ、もう!3人揃ったんだしさっさと狩りにいくぞ!最初だしそこらへんのノンアクティブやって連携確かめてから移動、って感じでいいか?ここ人多いからあんまりモブも沸いてなさそうだしさ」
「そうだねー、セッキーのおっぱい見てるマーリンが通報されないうちに移動しよっかー」
「も、もう見てねーよ!!!」
「はいはい、じゃあセッキーもマーリンもいくよー」
「「おー!」」
うん、やはり友人と一緒にやるゲームは楽しいな!
「がんばろーう!!」
「「おおーー!!!」」
アサギは困惑していた
人が多すぎるので「チッケーナ草原」での狩りは諦め「マダチケーヨ草原」まで足を延ばし狩りを始めてみたものの適正レベル的には今のアサギには少し強め、他の2人からしたらちょうどいいくらいの相手にもかかわらず
「アサギSTRに振ってるの?聖騎士なんだからVITからだと思ってたわ」
パラディンロードになった時に貰った剣で切りつけたモブは1発でそのHPを無くしていく
アサギは首を横に振る
「いや、今さっきレベル上がったけどSTRにはまだ1も振ってないよ」
「え?じゃあそのパラディンロードになった時の剣が強いって事か?アサギ、ちょっと装備の非表示設定外して見せてくれよ、今なら周りに人もいなさそうだし」
「う、うん、わかった」
システムを弄り非表示設定を外した事伝えると2人はアサギの装備を自分の目の前に表示させた
「うわ、すっご・・・強いな、これ、あ、はやくまた非表示に戻しておけよ」
「え、てか剣だけじゃなくて冠も凄いわよ、VITあがるし、あとINTの上がり方も普通ならありえないんじゃない?この数字」
「私も今初めて知ったよ・・・まず確認しておけばよかった・・・」
「んー・・・これは他の人に見せちゃダメなやつね・・・」
「ああ、そうだな・・・今はまだダメだな、どうする?最初に貰った初心者用の剣も持ってるんだろ?とりあえずそっち装備しておくか?」
「そうだね・・・ちょっとこの剣はバッグで寝かしておいた方がよさそうだね」
アサギは少しだけガッカリしている
「そんな顔しないの、どうせすぐにトッププレイヤーが強くなって周りと比べてもおかしくなくなる時がくるわよ」
「う、うん、ありがとう・・・そうだね、それに私の役割は火力じゃなくてタンクだもんね!」
「そーゆー事だ、大体俺なんかまだ1回も魔法撃ってないんだからな!アサギが強いと俺が暇で暇でしょうがなくて手元が狂ってアサギに魔法当てちまう所だよ!」
「フレンドリーファイヤーはないから当たる事はないけど魔法が飛んでくるのはちょっと怖いな・・・」
「アサギにそんな事したらマーリンがHP減っても回復魔法は使わない事にしようかな~?」
「え、待ってよ、HP低いんだからそれは困るよ!」
「あら、大丈夫よ、うちのパーティには聖騎士様がいるんだから、ね、アサギ」
「んむ!大船に乗ったつもりで任せるがよい!!!」
3人は笑い合いながら楽しそうに狩りを続けた
セッキーもマーリンも、もちろんアサギもなかなかの連携を見せサービス開始から2日目の夜、やっとアサギはレベルをあげる事が出来たのである
「でもダンチョーがプレイヤースキルも大事って言ってたからね!2人とも!この世界はステータスだけじゃあ決まらないよ!」
レベルは少し上がったし、これでダンチョーに少しは吹き飛ばされる事が減るだろうか?そんな事を考えながらアサギは盾を構えモブの前に躍り出るのであった




