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飛鳥とのプリクラは・・・・かなり恥ずかしい

飛鳥とプリクラ!何か甘やかすってよりも普通のデートみたいになってるのは気のせいでしょうか?と、言うか!飛鳥と東城先生の時は毎回こんな感じです!

 東城先生と過ごした時間……甘やかしたと言っていいのかは疑問だが、本人は満足したようで、一応、無事に済んだと言っていい。残るは飛鳥一人。どうなるのやらと不安は絶えない


「ついにやって来たよ! 恭クン!」


 風呂から出て東城先生と二人、部屋から戻ると零達がいた。だから何だというわけではなく、いたってだけの話だから別に気にする必要はない。話はここからだ。部屋に戻ると飛鳥が出入口で待ち構えており、スリッパを脱ぐ間もなく俺はゲームコーナーへと連行され、今に至る


「やって来たってゲームコーナーじゃねーかよ」


 超人気の遊園地に来たわけじゃなし、特別感は全くしない


「そうじゃなくて! 私の時間がやって来たって意味で言ったんだよ」

「あ、なるほど、そういう事ね」


 紛らわしいな……口には出さないが、そう思う


「零ちゃん、闇華ちゃん、琴音さん、東城先生と私の番に回って来るまでどれだけ待ったか……それがついに私の番……やって来たと言わずに何ていうのかな!」


 拾ってきた順番……いや、ここに来た順版の関係で飛鳥が一番最後になるのは仕方のない事だ。名前のあかさたな順なら東城先生が一番最初、二番目が飛鳥、三番目が琴音、四番目が闇華、五番目が零とこうなる。拾ってきた順でも名前のあかさたな順でも琴音は三番目なのはすごい


「悪かったよ。そんで?飛鳥は何をご所望だ?ハグか?添い寝か?混浴か?それとも、膝枕か?」


 ゲームコーナーに来て添い寝や混浴、膝枕って言うわけないか。我ながらハグ以外の提案はアホの極みだと思う


「恭クン、ゲーセンに来て添い寝や混浴、膝枕って言う女の子が世の中にいると本気で思ってる?」


 飛鳥から向けられる可哀そうな物を見るような視線。ハグはともかく、混浴や添い寝、膝枕はねーよな


「いや、ハグ以外は正直ないと思っている」


 ハグだけならプリクラで写真撮る時のポーズとしてはありだ。


「まぁ、ハグならプリクラですればいいからアリだね。でも、それ以外はさすがにない」

「ですよねー」


 飛鳥からのガチ指摘に心が折れそうになる。俺ってこんなにメンタル弱かったか?


「何で添い寝や膝枕、混浴が選択肢として出てきたかは聞かないでおくとして、恭クン、私のお願い言ってもいいかな?」

「おう、何でも言ってくれ。俺に出来る頼みなら聞く」


 毎度毎度しつこいとは思う。頼みごとをされた時にこれを言わないと落ち着かないんだ、その辺は勘弁な


「私は恭クンに出来る事しか言わないよ?」

「だとしても言っておかないと落ち着かないんだよ」


 飛鳥達を信じてないわけじゃない。他人からものを頼まれるだなんて一人暮らしを始め、飛鳥達を拾う前まではなかった。だから無茶振りをされるのではないか?と疑心暗鬼になってしまう。口では信じていると言ってもな


「恭クンもしかして私達の事信じてないの?」


 そんな俺の心の内を露知らず飛鳥は痛いところを突いてきた


「信じてるさ。自分のプライベートスペースで寝食を共にする程度にはな」

「私が言ってるのはそういう信じてるじゃないんだけどな……」


 飛鳥の言う信じているという意味が理解出来ない。自分が寝食をする空間に置く程ってのは答えとして間違っているというのか?


「飛鳥の言う信じているってのはどんなのか是非とも聞かせてほしいものだ」


 喧嘩になるのではないかという不安を抱き飛鳥に問う。認識の違いは早いうちに無くしておいた方が今後の為だ


「私が言ってる信じているって言うのはね、どんな時でも裏切らない、相手の醜いところまで受け入れられるとかの信じているだよ。頼み事をされた時にこの人は自分に出来ない事を頼まないだろうっていう安心感とかもそうだね」


 なるほど、飛鳥の言う信じてるってのは要するに本音で語り合える仲という事か


「どんな時でも裏切らないとか、相手の醜いところまで受け入れられるってなら俺はどうなんだろうな……まぁ、頼み事に関しては一人暮らしを始めて飛鳥達を拾うまでされた事ねーから単純に慣れてないだけだから前置きとして出来る範囲でなって言ってるだけだ」


 飛鳥の言う信頼の基準は今の俺にとっては分からないものばかりだ。どんな時でも裏切らない奴、自分の醜さを受け入れてくれる奴に出合った事がない。身内を除いて


「私基準だと恭クンはオールクリアだよ。神矢先生のせいで私の精神が一時的に子供に戻った時、切り捨てる事なく側にいてくれたし、パニックになった時もだけど。それに、キミは自分に出来ない事を他人に頼まないでしょ?」

「神矢の一件で飛鳥の側にいたのはまぁ……、アレだ……。教師陣がお前を見捨てても俺だけは側にいようって保護欲だ。で、頼み事は……あんましないから何とも言えない」


 本心を言えば俺の頼み事なんてハッキリ言ってショボいものばかりだ。だからなのかそうだと断言できない


「そっか。ねぇ、恭クン」

「何だ?」

「今の言葉は私を……ううん、私達を信じていると捉えていいのかな?」


 信頼なのか、ただの依存なのか……いくら考えても答えは出てこない。だが俺は飛鳥達の事は他の奴よりも信じている


「ああ」

「それって信じていいの?」


 目を潤ませ俺を見る飛鳥の姿は子供返りを起こした時の姿と重なって見えた。そんな姿を見せられたら……


「ああ、信じていい」


 こう答えるしかない


「じゃ、じゃあ、恭クンに毎日メッセージ送っていいの?」


 零達はメッセ関係の頼み事を最後にしてきたが、飛鳥は最初のようだ。まぁ、同じクラスに……これは言わなくていいか。


「ああ、俺でよければいくらでも話し相手になるぞ」

「本当?」

「ああ、本当だ」

「じゃあ、毎日学校にいる時はメッセージ送るね?」

「好きにしろ」

「やった!」


 満面の笑みを浮かべ喜ぶ飛鳥。そんなに俺とメッセージでやり取り出来るってのが嬉しいのかねぇ……


「やった! って休み時間になったら会えるのにどこに喜ぶ要素があるのやら……」


 クラスは違えど同じ校舎にいる。国語・数学・英語の時は同じ教室にだっているんだぞ?メッセージでやり取りをする意味なんてなくね?


「恭クンとはいつ何時だってお話したいんだよ」

「さいですか」


 女の子にここまで言われると照れ臭いものがある。決して悪い気はしないけどな


「ところで恭クン」

「ん?まだ何かあるのか?」

「恭クンは……さ……」

「ああ」

「女の子と二人でプリクラ撮った事って……ある……かな……?」


 頬を赤く染め、チラチラとこちらに視線を向けながらプリクラ撮った事ある?なんて聞かれたら勘違いされんぞ?


「中学時代も今も交友関係が閉鎖的な俺が女子と一緒にプリクラを撮った事なんてあるわけがないだろ。むしろ飛鳥はどうなんだ?中学時代や前の高校の時に男子と二人でプリクラ撮った事あんのか?」


 同学年とはいえ飛鳥の方が年上だ。俺にとっては星野川高校が初めての高校だが、飛鳥にとっては二度目の高校だ。それなりに交友関係があっても不思議じゃない


「ないよ。星野川高校でも前の学校でも」


 飛鳥の答えは俺が想像していたのとは大きく違っていた。初めて彼女を見た時は男だと思っていたから気にも留めずに交友関係広そうだなぁ~と頭の片隅でそう思っていた。それが実際はどうだ?ないだと……?マジか


「えーっと、意外だな。飛鳥なら交友関係広そうなのに」

「確かに友達は沢山いるし、ゲームセンターにだって行った事くらいはあるよ?でも、やるゲームはいつもレーシングばかりでプリクラとかUFOキャッチャーとかには目もくれない人達ばかりだったから」


 それはそれである意味すごいな


「って事は……」

「うん、男の子とプリクラ撮るの初めてだよ」


 ハニカミながら初プリ宣言をする飛鳥。言いようによっては卑猥に聞こえるのは何でだろう?


「そ、そうか……」

「うん」

「「……………」」


 何で俺は飛鳥が初プリだと知って動揺した?何で飛鳥は黙るんだ?わけが分からない


「と、とりあえず行くか」

「そ、そうだね……」


 俺と飛鳥は一先ずプリクラのある場所まで移動する事に。移動の間、俺達は互いに一言も喋らなかった


「どれにする?」


 プリクラコーナーに着いたはいい。しかし、どれにするか迷う。零達が一緒だった時は彼女達の誰かが決めたものに入るだけで選ぶ必要がなかった。今は違う


「あ、アレがいいんじゃないかな?」


 飛鳥が指さした先には俺が零達に引きずり込まれたプリクラ機があった


「飛鳥がいいってなら俺は構わない」

「うん、アレがいい」

「じゃあ入るか」

「うん」


 俺は飛鳥の手をギュッと握る


「きょ、恭クン!?」


 突然手を握られて驚く飛鳥。心なしか頬に赤みが差してるように見える


「い、嫌だったら止める」


 握っておいて今更だが、いきなり手を握られるのは誰だって嫌だと思い、俺は飛鳥の手を離そうとする


「ま、待って!」


 離そうとした俺の手を今度は飛鳥がギュッと握り返してきた


「な、何だよ?」

「い、嫌じゃ……嫌じゃないから……このままがいい……」

「えっと……」

「お願いだから……このままでいて……」


 当人がこのままでいろと言うなら俺はそれに逆らわない。何より今は飛鳥の時間だ


「分かった」

「うん……」


 何で俺はいきなり飛鳥の手を握ったんだと自問自答してみるも答えは出ない。相手が飛鳥じゃなく、零だったらどうだ?闇華だったら?琴音や東城先生だったら?果たして俺は同じ事をしたんだろうか?



 悶々とする中、飛鳥と共にプリクラ機に入った俺はこれまた悶々としながら撮影に臨んだ。順調に撮影が進み、いよいよ最後。今まではハグとか、彼女の頭に彼氏が顎を乗せろとか簡単な指示だったが……


『最後は彼女さんが彼氏さんの頬にキスだよ! 熱いの行ってみよ~』


 最後の最後でとんでもない指示が飛んできた


「マジか……」


 今までが簡単だった分、最後の最後でハードルが高い


「あ、あはは……」


 俺が愕然とする中、飛鳥は飛鳥で苦笑いを浮かべている。


『準備はいい?いっくよ~?』


 そんな俺達を余所に機械は無情にも撮影準備に入る。人間の羞恥心とかその場の気まずさを機械が理解するのはいつの未来になるんだ?


「え、ちょ、ちょっと!?」

「恭クン! やるしかないようだね!」


 動揺する俺と戦闘準備が整った勇者のような事を言う飛鳥。これじゃどっちが男か分からない


「マジか……」

「恭クン、私にキスされるの嫌かな?」

「悪い気はしない」

「そかそか、嫌じゃないのか」


『いっくよ~! 3・2・1……』


 プリクラのカウントダウンが開始される。それと同時に何故か俺の心音も高鳴っていく


「ああ、嫌ではない」

「ふふっ、恭クン!」


 嬉しそうな笑みを浮かべた飛鳥がこちらへ抱き着いてきた。そして……


 パシャっ!


 一瞬のシャッター音と共に柔らかくしっとりとした感触が頬に伝わる。


「あ、飛鳥さん?」


 撮影が終わり、機械から『また来てね!』と元気な声がする中、飛鳥の方を見る。すると……


「け、結構恥ずかしいね……」


 顔を赤くし、俯いていた。


 撮影が終わり、次は落書き作業なのだが、俺はこの時にどんな落書きをされたのか、自分がどんな落書きをしたのか全く覚えてない。それほど頬にキスされたのが衝撃的だった






今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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