八英傑
「王を倒せって… どういう事だよ?」
いきなりの爆弾発言に驚いてしまう。王を倒せって唐突だな。
(ふむ、隼輔はこの世界に来たばかりだからな。どこから話せばいいか…)
(15年前、過去の話だ。 北の大陸、通称魔大陸だな。 魔大陸の長ー魔王ーがこのクレテセリア全土を征服する為。侵略を仕掛けてきた。 その侵略に対抗する為、各国は強大な力を持つ英雄たちを集め侵略を退かせた。 その英雄たちは八人いてー八英傑ーと人は呼ぶ)
(八英傑…)
世界を救った八人の英傑か… すごい奴らなんだろうなきっと。
(八英傑はクレテセリアを救った英雄となり様々な称号、特権を与えられ神にもその功績を認められて神聖な道具を授けられた)
(その道具は神の祝福のご加護があり、英傑の証の側面もあるが道具にも絶大な能力を加味するモノだ)
(しかし、この神から授けられたモノ。正しくはー聖遺物ーを与えられたものはその国の土地神として君臨し、外部の国に訪れることは出来ない。 聖遺物が拒否反応を起こし自身も朽ちてしまうデメリットもあったんだ。 そこで八英傑は一人一国に根をおき、国の発展のために尽力して過ごしていた)
(……狂ってしまったのはそれからだ。 八英傑たちは魔族の血を大量に浴びたからか、それとも元から狂人だったからか、ある国は暴力や犯罪が蔓延した修羅の地に変わり、ある国は国の発展と称して悪逆の限りを尽くしたりと豹変したように変わってしまった。
東の大陸が戦争状態なのは英傑の一人が原因だしな。 この国もそうだ。如何様な制度を作り上げた理由…詳しくは私も分からないがヤツは元々そんな人間ではなかった。断じてな)
(でも、それじゃ王を倒しただけでこの国を救う根本的な解決にはならなくないか?)
(いいや、変わる)
(簡単な話だ。 ヤツらの聖遺物を壊せばいいんだ)
(聖遺物を…壊す?)
(そうだ。 元から奴らは強大な力を持つが加えての聖遺物だ。 彼の地から出ることはできないという制約はあるが聖遺物の恩恵を受けて魔力の上限もなくなりまた、不死身な肉体を持つ超人と呼ぶべき怪物になっている。聖遺物を壊すことは前提条件になるだろう)
(ーー奴らを倒すことが出来ればきっと国は変わる。 国のトップになっている奴もいれば英雄として特別な称号や爵位をもらい国を操っているもの。兎に角、国の方針には八英傑が関わっているといっても過言ではないだろう。英傑ゆえに民は彼らに逆らえない。逆らえば殺されるだけだからな。 ゆえにヤツラを叩く。 さすれば国は変わる)
(…成る程な。 八英傑の聖遺物を壊す。 で、先ずはこの国の王を倒す。それでいいんだな?)
(いかにも)
使命というのはよく分かった。 しかし簡単に言ってくれる。 英傑を倒すって…
(でも、俺の力でその八英傑っていうのは倒せるのか? すごい奴らなんだろ?)
(結論から言うと無理だな。 お前はまだ弱い。 足元にも及ばないだろう)
(じゃあ、どうするんだよ?)
(案ずるな。 そのために私がいるのだろう? 誰と契約したと思っている? お前のイマジンの可能性は無限大だ。 想像力を働かせることが出来れば非力なお前でも勝機はある。 頭を使うんだよ)
(それに、私の目的は貴様と合致している)
(え?)
(平和な世を作り上げるんだろ? 私も一緒だ。 悲惨な現状を変え、この世界の民には笑ってほしいものだ。 お前はどうだ?)
カーズがこんなこと言うのは初めての事なので面食らってしまう。 俺と一緒、か。
(俺は…)
(勿論決まってるさ。 この世界を変える。 約束したんだアシュリーと。 彼女が望んだ世界を俺が叶えてみせるって。 だから)
(…だから、その話。 乗るよ。やってみせる、いや必ずやり遂げてやるよ)
(そうか。 隼輔、いい目をしてるな。 …これからは力をどう使っていくかを考えろ。悪を倒し人を守る。そんな力にな)
(ああ、分かった)
八英傑や聖遺物がどうであれ俺の目的は変わらない。 アシュリーの夢を叶える。それだけだ。
(…で、これからどうするんだ? 下層に行くか?)
(いや、今夜は確か、王立記念日のパレードだっただろう。 一度王の顔を見ておくのも悪くなかろう)
そういえば、宿屋の主人が言ってたな。 街も準備で慌しいようだったし。
(そうだな、分かった)
(下層には何があるか分からんからな。 夜までは準備に徹するべきだろう。 恐らく下層は1日で帰れるような場所ではない)
(よし、そうと決まったら準備だな!)
(ああ、私は寝るからパレードに近づいたら起こせ。 くれぐれも用心しろよ)
(心得た。 任せてくれ)
そうと決まったら、市場だな。
辺りを見渡す、それにしても人の足が多い。 式典の準備やら衛兵の配備やら観光客で賑わっているのだろう。 早めに買い物は済ませなきゃな。
俺は早足で市場に向かった。
今回はやたらと説明描写ばかりで読みにくいかも…




