プロローグ~俺の存在価値って一体…
初めまして、石端釜麻呂です。初登場となる今作品は、やはり不慣れな点も多く、文章の齟齬等あるかもしれませんが、とりあえず見なかったことにして楽しんでいただければ幸いです。また、作品の前書きと後書きは「書ける時は書く」というスタンスで行こうと思いますので、よろしくお願いします。
草生い茂る湿原にて、俺達の「サカモト号」はバギーならではのうなり声を上げて駆け抜けていった。後ろには発情期を迎え恐ろしいほどに敏感になっているオークのメスを引き連れながら。
「ちょ、父さん!?もう百メートルぐらいの所まできてるんだけど!」
「しょうがない。いたずらな殺生はできるだけ避けたいが、とりあえず撃退よろしく!」
「もう、わかったわよ!ほら、和樹、智樹、準備して!」
そう言うと彼女はスコープ付きの「ミッチェル」をひっつかみ椅子に座って横の赤いボタンを押した。するとバギーの天井は鏡餅よろしくパカッと開いた。そこから椅子はくるくる回転しつつ飛び出す。
十秒もしないうちに銃声とともにオークの断末魔が聞こえた。その後も何回かそれは聞こえたが、とうとう彼女は音を上げて下にいる俺達に向かって叫んだ。
「数多すぎてわざと死なないように撃つのめんどくさい!智樹、ショック弾用意!」
「…あいわかった」
老人のような重々しさを残して智樹は降りてきた姉と席を交換し上に上がっていく。
「距離八十、弾種ショック式、…発射」
バズーカから弾が発射されたのがわかる証拠に、豚の叫び声とも驚く声ともつかないような音が聞こえる。
どたどたとした足音も消え、湿原らしい静寂が空間を満たす。
車から出てナイフやら何やらを持ち出し他の動物を探しに行く父、母、祖母、姉、弟を見て俺は純粋にこう思った。
…我が家って異世界適合家族ナンバーワンなんだなぁ…