1回目:女の子にメールを送ってみる。
本編1話です。
高1。春休み目前の日曜日。
男友達4人が俺の家に来ている。
「なんか飲み物飲む?」
「おーっ。さんきゅ」
「俺コーラがいい〜」
「あったらね」
2階の自室にみんな集まっているから1階の冷蔵庫に
飲み物を取りに行く。
冷蔵庫の中にはオレンジジュース、牛乳、おはぎがあった。
コップとオレンジジュースのパックを持って2階に上がる。
友達Aが俺の携帯を持っていてその周りで3人も俺の携帯を覗き込んでいる。
「なにやってんの?」
別に見られて困るようなデータはない筈だから
携帯を勝手に見られて怒るような事はしない。
ジュースをコップに注ぎ終わった後に俺も携帯を覗き込んでみると
皆が見ていたのはアドレス帳だった。
「霧島麗・・・これって女?」
「あー。そうだよ。それが?」
「神谷、女のアドこの人しかいないじゃん」
と笑われる。
「女のアドなんて知る必要ないし」
「それじゃこの唯一、アド知ってる霧島麗との関係は?」
「まさかの彼女?」
「近所の人だよ」
「へえー。タメ?」
「うん」
「学校どこ?」
「南高じゃなかったっけ?」
「女のアドは必要ないのになんでこの人だけアド知ってんの?」
そういえばメアドをどうやって聞いたのか覚えてない。
「覚えてない〜
別に、最近会ってないし、メールもしてないし」
「なんだよー。せっかくメール出来る女友達なのに〜。
神谷にとってアド知ってる女の子って貴重じゃん。
もったいねえ。てか可愛い?」
「だからしばらく接点ないんだって。言っちゃえば友達以下じゃね?
顔は〜・・・俺が最後に見たときは普通に可愛かったよ」
「ふぅん。友達以下ならメールしてみていい?」
そう言って、友達Aが俺の携帯を操作し始めた。
「ん?どゆ意味?」
俺が携帯を覗くと、メール作成画面で
本文には
『今から会おうぜ!
会って伝えたい事があるんだ!』
と打たれていた。
「これを麗ちゃんに送る気かっ!?」
「麗ちゃんって呼んでんのかよー。結構親しくね?
まぁ、うまくいけば神谷くん初彼女かもよォー?
振られてもどうせ接点ないんだしプラマイゼロっしょ。
送信っと」
まさか本当に送るとは思ってなかった。
俺がみた時には既に送信完了の画面が。
いくら好意のない女の子だからと言っても
ご近所だぞ・・・
しかもずっと会って無かった上にメールさえしてなかった
男からいきなり「今から会おうぜ!
会って伝えたい事があるんだ!」
なんてメールがきたら誰でも引く。
俺が絶望していると友達達が叫ぶ。
「おっ!返信きたし!」
「んーっと。
『今からお昼だからちょっと・・・
2時以降じゃだめ?』」
ええェェー!
「会っていーのかよっ!」
「おー。良かったじゃん〜
いい感じだよー」
「俺は『きしょっ!いきなり何?
もう2度とメールしてくんな!』って来るのかと・・・」
「さーてと。なんて返信しようかな」
流石にこれ以上こいつらの勝手にさせとくとまずい。
俺は携帯をひったくって直ぐ返信をする。
『ちょっと話したかっただけ』
と送った。
そうすると直ぐに返信が返ってくる。
『そうなの?
じゃあ2時から暇だし会いますか?』
え・・・?
予想外の返信だった。
周りで見ていた友達が面白そうに携帯を奪って
なにかを打って送信した。
「おいっ!
なんて送った!?」
「すげーいい流れだったから『すきだ』って送ったー」
「はぁ!?
2時から暇だし会いますか?で、すきだ。っておかしいだろ!
それ以前に・・・もう、色々おかしすぎるだろ!」
「でも返信きたよ。
『どういう意味のすきですか??』
ってきた!あははっ。これどうすんの!」
完全に友達達は楽しみまくってる。
もうどうにでもなっちまえよ・・・・
「ねーねー。ちくわぶっておいしいよね。って送ってみてよー」
持参したのか、ちくわぶを食べていた友達が言った。
ちくわぶとは・・・知らない人も多いだろうがそういう食べ物があるのだ。
「おーっ。いいねぇ〜。意味不さが」
みんな爆笑してやがる。
俺は笑えねーんだよ・・・
まじでちくわぶはねーだろ・・・
てか麗ちゃんはちくわぶなんて知ってんのか?
まぁ、これでおちょくられてるって気付いて
終わるだろう。
「うおっ。返信きたぁ!
『ちくわ?おでんは好きだよ』
だってさ。なんだこの子は。ちゃんと返信してくれるとか神か??」
やっぱちくわぶ知らないしっ!
・・・麗ちゃんはどんな気持ちで返信してんだ?
ちくわぶは関東の方は知らない方は多いかもしれませんね〜・・・
気になったら検索してみてください 笑