三年後からきた男! 私の一平ちゃんを返せ!
皆さん、御機嫌よう。私だ。
君と私の仲だ、挨拶はいるまい。と言っても、君は私のことなんか覚えてもいないだろうけれどねえ。矛盾していて意味がわからないだろう? 私だってわからない。私はあまり話が上手い方ではない。ある程度はそちらで汲んで頂きたい。
まあ、ようするにだ。
私は今年四十五のどこにでもいるしがないサラリーマンであって、君などは多分巷でその姿を何度も目撃しているであろうから、そういう意味では私も、君になんらかの私独自の事情を話す必要がないほどには、君に了解せられているであろう、と。まあそういうことが言いたかったのである。なんのことはない。
君は東京在住か? もしそうならばJR中央線か、地下鉄日比谷線でもしかしたらお目に掛かることもあるだろう。眼鏡にハゲ、中肉中背、くたびれた皮の仕事かばんをぶら下げた男が私である。もしよろしければお声などかけてくれるとちょっと喜ぶかも知れない。名刺交換などは大得意だ。望むところである。
さて、話を戻す。というか始める。最近は若い社員に話が長いとよく文句を言われる。
諸君には非常にどうでもよいことだろうが、私は独り身である。毎日毎日せっせっせと働いては、そうして得た金を安酒とカップ麺によって消費し、胸焼けに苦しむ日々である。ああ、誰か私に味噌汁を作ってくださる、酔狂な女人はおらぬのか。あな悔しや、悔しやのう。
こら、そこな若娘よ。きもいとか言わない。別に口説こうとしているわけではない。幾分か回り道をしてしまったが、私が帰っても冷たいマンション扉の向こうには何者もいないはずである、ということだけ了解していてくれればよいのである。
さて、しかし先日、私がくたびれて帰りつき、風呂に入りながら飯を喰ってさっさと眠ってしまおう、と滅茶な考えを巡らせながらドアノブに鍵を差し込み、回してみたまでは良いのだが、おや、おかしなことに手ごたえがない。試しに捻ってみると扉は空いている。
あら、私は今朝、鍵を閉めるのを忘れていたかしら。そう不思議に思って首を捻り、玄関に上がってみれば、奥の1KのKから「おい、帰ったのか」と声がする。男の声である。屈強な、若い力のある声ではなく、やるせなく萎んだ悲哀の籠る声である。
はて、と私は首を傾げ、最初は空き巣かと疑ったものの、私の家に盗むような金はないし、また、親しげに「おい、帰ったのか」というような台詞を、盗人が住人にかけてくるはずもない。
相手の声はしおしおの弱ったものである。ええい、恐るるに足らず。ままよ、と私は意を決してキッチンへと歩みを進めた。
果たして、そこには一人の小汚いおっさんがいた。
おっさんは妙な顔をしていた。どこかで見たような顔である。眼鏡をかけている。ハゲである。傍らにはくたびれた皮の仕事かばんとカップ麺の器が置いてあり、手には半分ほどになったワンカップが握られている。
「私の一平ちゃんが!」
私はすぐさまカップ麺を取り上げ、中身を認めたものの、空であった。
「貴様! いったいどちらさまだ!」
私がおっさんの胸倉をつかみ上げると、おっさんは「ぐぇ」と潰れたカエルのような声で呻いた。
「苦しい、ストップ、ストップ!」
若者どもよ、日頃上司に厳しく言われ、うちの上司マジうざーい、とか言っている者たちよ。なるほど、確かに君たちのストレスは日に日に鬱屈し、圧縮され、さながら電子レンジで温めたゆで卵のようになっていることだろう。先日やってはいけないということを知らず温めてしまい、飛んだ目にあった。だがしかし、おっさんのストレスをなめてはいけない。切れる若者がいれば切れる中年だっている。
「吐け! そして新たな一平ちゃんを私によこせ!」
「ま、待て。落ち着け。カップ麺なんぞいくらでもあるだろうに」
「コンビニへ行けばな! だがここはコンビニではない! コンビニへ行って来い!」
「コンビニコンビニうるさいぞ。大家さんに叱られる!」
私が手を放してやると、おっさんはげほげほと咽込んだ。肩で息をしている。
と、そこでハタと私は気付いた。
似ているのだ、そいつの顔が。
毎朝鏡で見ている顔に。
私の顔に、似ている。
「ふっふっふっふっふ…………」
私の顔を持ったおっさんが笑い始めた。
「き、貴様! まさか――」
「そう、そのまさかだ……」
「そっくりさんか!?」
「誰がそっくりさんだ! そっくりさんわざわざお前んちまで訊ねてくるのか!? アホか!」
「では誰だというのだ」
「ふふふ……」
そしておっさんは宣言するように言った。
「私は未来からきた、貴様自信だ!」
「な、なんだってぇ!?」
後半へ、つづく。
◆
(前回までのあらすじ:未来からきた私が私の一平ちゃんを食べてしまっていた。返せ、私の一平ちゃん! 返す為にコンビニへ行け!)
「ふむ、確かに私にそっくりだ」
「左様。私自信であるからな、当たり前だ」
私は目の前のおっさんの顔をじっくりと眺めた。
その顔は確かに私に似ている。面影がある、とかではない。現在の私にとてもよく似ている。はて。
「しかし貴様、いつの未来からやってきたのだ?」
「うむ。大体三年後くらいからだ」
「近―い!」
私は唸った。
「近いぞ私! なぜ十年前とか二十年前とかに移動しないのだ!? なんのロマンも無いではないか!」
「ふむ。私とてこんな最近に時間旅行などしたくなかった。しかし、私の世界の科学力では、これが限界だったのだ」
三年後の私は両手を広げて見せた。
「どうだ、三年後の私は!」
いや、どうと言われても。
私は正直な感想を述べることにした。
「変わり映えせんな。ただのおっさんだ」
「貴様に言われたくないわっ!」
「逆切れだとぅ!?」
拳を振るってきたので、私は応戦した。
「喰らえ! 三年前パンチ!」
「ぐぁっ! やめろっ! この年の三年がどれほど大きいか知らんのか!」
やめてーと涙目で訴えかけてくるものだから、私は怒りを鎮めることにした。なにごともメリハリが肝心である。怒る時は烈火のごとく怒り、静まる時はそよ風のごとくあれ。
「一万歩譲って、貴様が未来の私だとしよう。そこは認めるのにやぶさかでない」
「そんなに譲ってくれるのなら、もう二十歩ほど譲って一平ちゃんの件を許しておくれよ」
「それは断じて許さん。後で買ってくるがよい」
ちぇ、と三年後の私は舌打ちをした。なんだその顔は。腹が立つ。潰れたコオロギのようである。私は日頃こんな顔をして舌打ちをしているのか。これは舌打ちを控えねばなるまいな。
「それで、貴様はいったいどういう目的で私の元にやってきたのだ?」
「ふふふ、決まっているだろう。過去の自分、つまり貴様に影響を与えることによって、未来を改変するのが私の目的だ……」
「ほう、未来の私にいったいどんな不都合な運命が……」
「この体たらくを見ろ!」
おっさんは萎れた胸を張った。
「不都合だろうが!」
「三年前パンチ!」
「暴力反対!?」
「問答無用!」
私だって必死に生きているのだ。それをこの体たらくだと? 万死に値する!
「ま、待て! 落ち着くのだ! 絶対に良い話だから! 絶対に得な話だから! 気を静めて聞いてくれ!」
ちぇ、と私は舌打ちをした。
「うわー、なにその顔。私そんな顔でいつも舌打ちしてたの?」
三年後の私があからさまに落ち込む。
「いいから、その得な話とやらを話すがよい」
「おお、そうであった。これを見てくれ……」
三年後の私が懐から取り出したのは、なんのことはない。ただの新聞紙である。ふん、と私は鼻で笑った。
「どんな未来アイテムが登場するかと思えば、そんなものか。片腹痛いな」
「ふ、甘いな君は。驚くほど思慮が浅い。そんなことだからこの年の四月に……おっと、この話はよしておこう。関係のない話だ」
「ん? ちょっと待て。今年の四月? 来月じゃないか。なんだ! 言え! 四月に何が起きるのだ!」
「まあまあ。それよりほら、見ろ。これがなんだかわかるか?」
くそ、気になる。が、それは後でじっくり聞くことにして、私は三年後の私が言う箇所に目を凝らした。
三年後の私が示したのは、数字が沢山書いてあるページである。字が小さくて読めない。
「ちょっと待っていてくれ」
私は部屋の隅から拡大鏡という名の虫眼鏡をとってくると、新聞を地面に置き、目を細めた。後ろから「情けない姿だな」と声がした気がするが、無視する。だって見えないんだもん。老眼をなめるなよ。
新聞のページはどうやら株価の動きをまとめた箇所らしかった。見やすいよう『日光製紙』という企業名にマーカーが引かれている。そして――
「終値……五万、六千二百……?」
三年後の私がにやりと笑った。
私は四季報をひっくり返し、日光製紙という企業名を探してみた。終値は七百円台である。
「半端ないじゃないか!」
私は叫んだ。
「半端ないじゃないかぁあああ!」
三年後の私が耐えきれなくなったとばかりに高笑いを始めた。
「わっはっは。見たか未来の力を! その株をいまのうちに買っておけば、大判小判がざーっくざーっく……」
「いや待て私。これはまずいぞ」
「なに!? なぜだ!?」
私は溜息を吐いた。
「証券取引法違反だ……」
「ええええ!?」
三年後の私が驚愕を顔に浮かべる。
「普通そういう所気にする!?」
「当たり前だこんなもの。要するにインサイダー取引ではないか! 違法取引、ダメ、ゼッタイ!」
「いや、確かにそうだけれどもさぁ」
三年後の私が頭を掻く。
「君はこのご時世に何を言っているんだね。ばれなければ良いではないか。私は未来からきたんだぞ? 訴えられる訳がない」
懐からタバコを取り出し、咥えた。私はそれを取り上げる。
「匂いがついてしまう。吸うなら外で吸ってくれ」
「おお、そうだったな。すまんすまん」
三年後の私はタバコを戻し、ふぅ、とひと息ついた。
「正直に言おう」
「おう。言え」
「君な、今年の四月な」
「おう、どうした」
「リストラされるのだ」
「よし、今すぐ株を買うぞ!」
「見てくださいこの転身の速度!」
三年後の私が泡を喰う。
「いくらなんでも変わり身が早すぎるぞ貴様! 誇りはないのか!」
「うるさい! 誇りなんぞ燃えるごみの日に出してしまえ! 君はこのご時世に何を言っているのだ!」
「同じ台詞が返って来た!?」
三年後の私が愕然とする。
「大体貴様! さっきは『ダメ、ゼッタイ!』とか意気揚々と宣言したではないか! あれはもういいのか!」
「『ダメ、ゼッタイ』? 小学生かお前。ばーかばーか!」
「ひどい言いようだな!?」
私は銀行へ向かおうとしたが、この時間ではもう閉まっているということに気がついた。
「仕方ない、明日朝一で証券取引所に行くぞ。会社は休む!」
「無遅刻無欠勤だけが取り柄だったのに……」
「ふん、どうせ首を切られるのだ。会社なんぞ知ったことか!」
「まあ、確かにそうなのだがね」
三年後の私が嘆息する。
「あ」と、そこで私は気付く。
「おい、三年後」
「なんだ三年前」
「これ、私は買ってしまって平気なのか? パラドックスという奴が起きるのではないか?」
パラドックスというのは確か、よくタイムマシン物の映画で「過去の自分に会ってはいけない」とかそういう風に言われている物である。バック・トゥ・ザ・フューチャーでドクが頻りに言っていたやつだ。
例えば、未来の私が過去の私を殺したとする。すると私はいなかったことになるので、私を殺すはずだった未来の私も存在しなくなる。すると私は殺されないので未来の私も存在することになり……と、そうやって延々と話が巡り巡ってしまうということがパラドックス、だったような気がする。
「タイムパラドックスを起こすと宇宙が崩壊する、とか、そんなようなことも誰かが言っていた気がするぞ? 大丈夫なのか?」
「ああ、いや。それについては平気なのだ」
と未来の私は答えた。
「ほう、なぜだ?」
「なぜなら、世界の時間軸はひとつではないからだ」
私は疑問符を浮かべた。
「意味がわからん」
「解説してやろう」
彼が言うには、この世界というのはひとつではなく、似たような世界がいくつもいくつも、重なり合うようにして存在しているのだそうだ。
先ほどの例を用いて、例えば未来の私が過去の私を殺したとする。すると私が殺された世界と殺されていない世界とに世界は分裂を果たし、ふたつの平行世界ができあがるのである。世界は右と左、やったやらない、そういった選択肢の数だけ分裂し、いまでは天文学的な数の平行世界が存在しているという。
「まあ、ようするに」
未来の私は得意げな顔をした。
「私が君に何かした所で、別の平行世界たる私の世界には何の影響も無ければ、宇宙が崩壊するようなことも起こらない、というわけだよ」
「うむぅ、なんだか面倒な話だな」
私は眉根を寄せた。
ん、待てよ?
「おい、いま、貴様が私に何かしたところで、貴様の世界にはなんの影響もないと言ったか?」
「ああ、言ったが?」
「ということは私が株で儲けても貴様には何の影響もないということか?」
三年後の私は、ふーん、と得意げに鼻を鳴らした。
「ああ……まあ、あれだ……そういうことになるな」
「何をしに来たのだお前は!? 馬鹿か!?」
「ええい、馬鹿は貴様だ! 人の話は最後まで聞けぃ! 確かに私のいた世界には何の影響もない。私はリストラされ、満足な年金も貰えず、路頭に迷って身寄りもなし。踏んだり蹴ったりの余生を過ごすことになるだろう」
「最悪ではないか! ちょっと涙出てきた!」
「ああ、そうだ! 最悪だ! こんなことなら最初から自衛隊にでも志願しておくんだったといまでも後悔している! 昨日私が何を喰ったか知っているか? うまい棒のからしめんたいこ味二本だ! 近所のスーパーで店員に変な目で見られながら買った! このひもじさが貴様に分かるかっ!?」
「やめてくれ! やめてくれぇ!」
「だから食べたかったのだ! 一平ちゃん超食べたかったのだ! 食べながらちょっと泣いたんだぞ私は!」
「ぐあああああっ! やめろおおおおっ!」
我々は落ち着くまでにしばらく時間を要した。
「つらい思いをしてきたのだな、私よ」
「うう、すまない。すまない」
泣き始めた三年後の私に、私はハンカチを渡してやった。ハンカチだと思っていたら眼鏡拭きだった。怒られそうだから黙っておこう。
「しかし、それではどうするのだ。どうやってその不幸な運命を打開する?」
「打開だなんて、そんな野蛮な真似を私はしないよ」
「なに? どういう意味だ? 貴様はこれから、自分の世界に帰るのだろう? わざわざ時間旅行までしてここにやってきて、それでのこのこ元の世界に戻ることに、どんな意味があるというのだ?」
くはははは、と未来の私は笑った。やれやれ、という風に首を左右に振る。
「いいか? 君は明日、朝一で取引所に向かい、株を買う。その株は軒並み値上がりし、君は億万長者になるだろう」
「ああ、多分そうなるだろうな。その点については礼を言う」
私はぺこりと頭を下げた。三年後の私が続ける。
「だが、そうして君が金を儲けた世界は私の世界ではない。私の財布には一銭も入ることはない」
「ああ、多分そうなるだろうな。その点についてはいたしかたない」
くっくっく、と未来の私がにやりとする。
「ならば答えはとっくに出ているではないか。まだ分からないのか、三年前の私よ」
「なに? どういうことだ?」
「ふふふふ。君は金を儲ける。しかし私は元の世界に帰っても億万長者にはなれない。ならば――」
そこで一度言葉を区切り、言い放つ。
「元の世界になんぞ、帰らなければよいのだ!」
「なん……だと……? それは――」
「そう、その通りだ。私はもうあんなボロクソの未来なんかに帰ってやるつもりはなぁいのだ! 頼まれたって帰ってやるもんかこのクソッタレばーかばーか! よってこれから、数年後には億万長者になるであろう君の家に居候させてもらうぞ! よろしくね、三年前の私! 仲良くしようね!」
「三年前パンチ!」
「ぐっはぁあああ!?」
殴られた未来の私はべっちゃりと床に突っ伏した。
「なぜ! なぜ殴った! 上司にもぶたれたことないのに!」
「それはパワハラとか面倒な諸事情がいろいろと組み合わさった結果だ! 断じて誇れる話ではない!」
私はふん、と鼻を鳴らした。
「私の部屋に居候だと? 自分の世界に帰るつもりがないだと? そんな都合の良い話があるか馬鹿者! 恥を知れ、恥を!」
「な、なにを言う!? ボロクソなのだぞ! 君をまっているのはボロクソの人生なのだぞ!」
「知ったことか! 貴様のその根性が気に入らんと言っているのだ! 確かにボロクソは嫌だ。私が貴様の立場だったならば、同じ行動をとってしまっていたかも知れない。いや、とってしまうだろう。それは私のことだ、私が一番よく知っている」
「だ、だったらなぜ……」
「だからこそ、だからこそ私は悲しいのだ! なんだその顔は! みっともないと思わないのか? 貴様がいまボロクソなのは、いままで貴様がボロクソになるような人生を送ってきたからではないか! その責任を放り出して、私に金儲けをさせ、あろうことか私の家に居候する!? そんな人生などやめてしまえ、馬鹿者!」
「仕方がないではないか! 私だって正々堂々戦いたかった! だがもう遅いのだ! 私はもう四十八なんだぞ! 可能性なんてどこにもないではないか!」
「ああ、無い!」
私は断言した。
「貴様が無いと思っている限りはな!」
「――っ!」
三年前の私は絶句しているようだった。
「私は決めたぞ。こんな新聞はもう見ない! 取引所へもいかなければ株も買わない! 日光製紙? そんな企業名なぞ知ったことか!」
私は新聞を丸め、窓の外へと放り投げた。新聞紙はばさばさと羽ばたくように揺れ、闇の中へと姿を消す。
見れば、三年後の私は「ううう」と背中を丸めて呻いていた。三畳間に点々と小さな水たまりができる。
「泣くな!」
私は怒鳴った。
「泣く暇があったらさっさとコンビニへ行って、一平ちゃんを買って来い! ひとつでは許さんぞ! カートンでだ! 仕方ないから金は出してやる!」
三年後の私に、私は財布を投げつけた。私は三年後の私の背中へと近づく。
「そして帰ってきたら――」
私は私の、肩を抱いた。
「これから貴様がどうするか、まずはそれから話しあおうではないか」
驚いたように、三年後の私が顔をあげた。私は彼に、本物のハンカチを差し出す。
「いいのか、いますぐ帰らなくて」
「本当はそうしてほしいところだが、まあ――」
一言。
「一平ちゃんを喰い終わるまでくらいなら、付き合ってやるさ」
そしてもし、答えが見つからなかったら、その時はまた、新しい一平ちゃんでも買ってこようと私は思った。
◆
(次回予告:私と協力し、ボロクソ人生の打開策を探し始める三年後の私。しかしそんな我々に驚愕の新事実が突き付けられる。伸びきった一平ちゃん、訊ねてきたタイムパトロール、そして現れる、六年後の私。「やあ、六年前の私と三年前の私! 私は六年前の私にとっては六年後の私で、三年前の私にとっては三年後の私だよ!」
や、やめろ! 頭がおかしくなるだろうが!
次回、《我はおっさん》 六年後、襲来)
つづく?




