口は災いの元なのです。
どこが不定期連載なのでしょう。
作者の言うことは信じちゃ駄目ですね。
それにしても凄いです天使。
私は日本語で話しているつもりなのに、相手にちゃんと通じているじゃないですか!
これは、国際通訳としても生きていけるかもしれません。
そう考えている間に、悪役Aさんが動きだしたようです。
しかし、妙に苛っとしたものを相手から感じるのは何故でしょう……
「うわ、見た目はすげー可愛いのに、なんでそう残念なんだ」
蔑む目を向けられてしまいます。
……別に怒ってませんよ?
た、だ、これはアレですね? 挑戦でしょう!
こういう失礼な人にはお仕置きが必要ですよね!!
『魔法 フレアアロー♪』
私が笑顔で前方に手を向けて宣言すると、悪役Aに向かい無数の炎の矢が飛んでいきます。
覚えているでしょうけど、この宣言やポーズに何も意味はありません。
私は念じただけで使えるのですから。
でも、魔法を使ってるぞ! みたいな雰囲気がでるでしょ?
私が助けたということをアピールしないといけないのですから、多少は派手なこともしないと駄目なのです!
「な、え、うがぁ!!」
炎の矢は全て悪役Aに直撃しました。
パタリと地面に倒れます。多少焦げた匂いがするので焼き加減レアというところでしょうか?
しかし、折角追尾機能も付いてたのに、意味が無かったのが残念です。
50円の葉書を出すのに、80円の切手を貼って送るぐらい勿体無い気持ちになりますね。
「「「てめー。なんてことしやがる!!」」」」
私の実力を認めたのでしょう。悪役BとCとDが此方に注意を向けます。
ですが、同じ台詞ってどれだけボキャブラリーが無いのでしょう?
だからヤラレ役とか言われるのです。
その他の二人は護衛の方と戦っている最中です。
先程みたいな失礼な視線を向ける人はもういません。
初めからそういう顔をすれば、もう少し優しい倒し方をしてあげたというのに、駄目駄目ですね。
さて、優しい倒し方とはどんなのが良いのでしょう?
体を上空30m程に持ち上げて落とすのも良さそうです。
他には大気中の空気を全部消失させるというのも効果的でしょうか?
ですが、白い泡等吐かれるのは気持ち悪いかもしれません。
あれ? こんなことを考えていると、どんどん私ってば苛めっ娘になっていく気がします。
「おい、こら! なんで黙ってやがる。また魔法でもいきなりぶちかます気か!」
悪役Bが怒鳴っています。
短気ですねー。
「あ、すいません。そんな気はこれっぽっちも無いんですよ。どうしたら手加減して倒せるかを考えていたのです」
「は? 手加減だ? お前何様だってーの」
この発言は悪役Cです。
うーん。天使ですとはやはり言えないでしょう。
「そうですね。圧倒的な強者というところでしょうか。本気を出せば貴方達程度なら、2秒で消し去れますよ」
「は、デマばかり抜かしてるんじゃねーよ」
ついに悪役Dも話してくれました。一人が全部話してくれると楽なのですが……
それにしても困りました。言っても判ってくれないようです。
私はこれでも平和主義者なんですよ。
けど仕方ありませんね。ご飯の為には倒さないといけないのですから。
「それでは、ちょっとした技を見せてあげますので、それで引いてくれると助かります」
悪役、B、C、Dは明らかに動揺して、少し腰が引けてます。
それはそうでしょう。先程仲間が黒焦げにされたのですから。
まぁ、私も鬼ではないので、そこまでは『たぶん』しません!
「では行きますよ! 『魔法 エアーカッター』」
「「「ま、待て!」」」
問答無用に手を前方に出すフリをします。少しこれ疲れるので楽な方法を今度編み出しましょう。
この魔法は、高圧縮させた風の刃物で相手を切り裂くものです。
私の意識に沿った風の刃は、B、C、Dの鎧をズタズタに切り裂いていきます。
多少、体も傷つけたようですが、大した怪我ではない筈です。
最終的には、パンツ一枚にひん剥いてやりました。
そこは、私も乙女な訳でして、これ以上は出来ません!
「ひぃー、ぎゃーーー、わーーー」
B、C、Dは哀れな格好のまま逃げていきました。
護衛の方と戦っていた悪役ズも形勢が不利になったのを悟って退却します。
完全勝利という奴ですね。
しかし、この転がっている悪役Aをどうするのでしょう?
まぁ、私が気にしても仕方ないですが……
それに、悪い事をしたら罪を受けるのは当然ですしね。
あれ? 私ってば天使っぽいことをしてるじゃないですか。
良い行いをすると気持ちいいです。
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