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プロローグ 4

 目を開けたら、目の前にリリム先輩の顔が広がります。 

 リリム先輩はポンポンと私の頭をやさしく叩いてくれると、いつの間にか目に溜まっていた涙を指で拭ってくれました。



「どうやら思い出したようだな」

「はい、神様が言っていた集めているというのが天使のことなのですね」

「ああ、そうさ。アタシも昔は人間だったんだ。その世界はユイの居た世界とは別だと思うがな」

「そうですか……それで、私はこれからどうしたらいいのでしょうか?」

「ああ、そんなに慌てることはない。普通に生活していればいいさ」

「え? それで良いのですか? 神様の私兵となって戦えみたいな、ことを想像したのですが」

「ああ、まぁそういうことも偶……にはあるけど、でもユイは見習いだからな、とりあえず決まったことはない。体が馴染んで覚醒するまでは好きなことをしていればいいさ」

「はぁ、ではどれぐらいで覚醒ってするのでしょうか?」


 

 これが判らないと不安です。



「それも決まってない。アタシはこれを言うと恥かしいのだが、覚醒するのに50年程かかったしな。ま、不老不死だから怪しまれないようにすればいいさ」

「50年ですか……って、ゴジュウネン! 私の生まれてから育った全ての年月より多いじゃないですか!」

「だから、言ったろ不老不死なんだって。時間はそれ程問題無い。そして、ユイが過去を思い出している間に色々調べたが、すごいなぁお前。歴代最強の資質を秘めてるかもしれない。神様がスカウトする筈だわこりゃ」


 

 あまり、そんなのを誉められても嬉しくないのですが……



「後、そうだなぁ。見習いと言えどもユイは天使な訳だ。つまり、普通の人間より圧倒的な力を持っている。その気になれば、この世界の覇王になることも容易だ」

「私は、そんな気これっぽっちも無いですが……」

「なら、安心だな。稀に羽目を外す奴がいるんだわ。魔王とかそんな者は、大抵見習い天使のなれの果てというオチだったりする」

「質問なのですが、もしその魔王みたいになったらどうなるのですか?」

「ふむ。世界を全部滅ぼすみたいなことをしない限り放置かな。最悪な状態になるとアタシ達が退治することになるけど、まぁそんなに心配しなくてもいい。ユイの性格は天然そうだし問題ないだろう」



「はぁ。そうなんですか……」

「まっ、気軽に異世界ライフを楽しめばいいさ」



 誉められた気がしないのは気のせいでしょうか? 

でも、気が少し楽になります。


  

「後は、ああそうだ。アタシ達天使は魔法が使えるからな。それがアタシらの必殺技といえばそうなるかもしれない」

「魔法!」



 此処まで沈んでいた気持ちが一気に吹っ飛びました。

 なんて素敵な響きでしょう。

 女の子は誰しも魔法少女に憧れるものなのです!



「そそ、アタシ達のような成人した天使、これを聖天使というのだけど、聖天使の使う魔法に比べたら威力は低いけど、普通に使うことが出来る。ああ、でもユイの場合はひょっとしたらアタシと互角かもしれないなぁ。なんかチートでもしてるんじゃないかってぐらい基本が高いんだわ」

「そんなのはどうでもいいのですが、どうやって使うのですか?」

「いや、結構重要なんだけどな……」



 ステッキのようなもので魔法を使うとか、雰囲気があってとてもいいですよね!



「簡単にイメージすれば普通に使える」


 

 えぇ! いや確かにその方が万能で便利なのでしょうけど、乙女の夢的にそれはどうなのかと思うわけで……


 

「よし試しに、使ってみると判りやすい。あの湖面に噴水でも出してみたらどうだ?」



 私は言われるように、湖面を見ながら思い浮かべます。

 上がれ上がれーという感じで良いのでしょうか?



「…………」



「反応が無いですね……」


  

 しょぼんと肩を落とします。

 未知の力に期待したのに、拍子抜けです。



「おかしいなぁ。ああ、そうか!」



 リリム先輩の反応に少し期待します。

 折角天使になったのです。魔法ぐらい使いたいじゃないですか!

 さっきまで知らなかったのにと言っちゃ駄目ですよ。



「生まれたての天使には、封印がされてるんだった。無意識に大規模魔法を使われたら大惨事になるからな」



 それはあるかもしれませんと頷いてしまいます。



「ちょっと頭を触るぞ」



 リリム先輩が、頭に手を載せブツブツと呟いています。

 少しくすぐったいので、なでなでするのは止めて欲しいです。



「よし、終わったぞ! さっきと同じことをしてみるといい」



 先輩の手が外れ、今度こそはと期待を込めて、先程同様に上がれー上がれーと念じてみました。

 その瞬間、湖面が勢い良く吹き上がります。

 水しぶきがこちらに降り注ぐ程です。

 私は少し後悔していました。

 どうせなら、もう少し規模の小さいものを選べば良かったのです。

 あの中にお魚さんがいたら、さぞ迷惑なことでしょうから。

 ですが、これで私も魔法という素敵スキルを手に入れたのです。

 今日から魔法少女として暮らしてもいいんじゃないでしょうか!



「うわ、普通は初めて使うにしても結構苦労するんだけど、すごいな」

「え? 簡単に使えるんじゃないのですか?」

「いや、まぁ、慣れれば簡単なんだけど、それでもイメージするのが難しかったりするもんだよなぁ」

「そうなんですか、でも使えたから良いじゃないですか!」

「そか、まそうだな」


   

 リリム先輩はどうやら深く考えるタイプじゃないみたいです。



「まぁ、説明も終わったし、後は好きに暮らしてくれ、一応この世界の担当はアタシだから、見習い天使の世話をするのはあたしの責務でもある。困ったことがあったらいつでも聞いてくれて構わないぞ」

「あ、はい、でもどうやって連絡を取れば良いですか?」

「そうだなぁ。ちょい待って」


 

 リリム先輩は髪の毛を一本抜くと又ブツブツ呟きました。

 すると、綺麗なイヤリングが現れます。

 魔法、便利です! 



「これを渡すから、これにアタシをイメージして話しかけるといい。アタシと話しが出来るからな」

「あ、はい、判りました。何から何までお世話をかけてすいません」

「いやいや、これも仕事の内さ。それじゃーな」


 

 リリム先輩は翼をパタパタ羽ばたかせて飛んでいってしまいました。

 別に、来た時みたいに魔法で戻ればいいんじゃとか思ってませんよ?



 此処に一人の天使が誕生した。



 名前をユイといい、後に最強の天使と言われる者である。



  

プロローグがこれで終了です。

サボってないで、すのーでいずを書けとか言われたらどうしましょう。


※ 誤字、脱字、修正点などがあれば指摘ください。

評価や感想、コメントも是非にです。

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