Date9 桃
その後、男を警察に自首させた司は、表彰された。
何てったって、指名手配犯を捕まえたんだからね。
司は言った。
「俺、ホントに生きててよかった。死んでたら、日和を守れなかったし、社会にも貢献できなかった……」
アタシが司を真っ直ぐ見つめると、そっと腕を回されて引き寄せられた。
「お前の体温をこうやって感じられるのも、命があるおかげなんだな……………好きだよ……日和……」
「アタシも……司と出会えたのも、命があったおかげなんだから、感謝しないとね……」
命を顧みず、アタシを助けてくれた司を、アタシは心から惚れ直した。
司の唇がアタシの唇に触れたとき、アタシはホントに生きてることを実感した。
高鳴る心臓
頭に上る血
そして体温――
全てが『生』を物語っていた。
アタシは司と『生きていく』そう思った。
アタシの思い出話はこれで終わり。
司とは、進路の関係で別々の大学に行ったんだけどね、
『日和のそばで、日和と生きていきたい。そして、日和を幸せにして、自分が生まれてきた意味を確かめたい……結婚しよう』
アタシは司を人生のパートナーに選んだ。
司にそっくりの女の子も生まれた。
この子には、アタシたちみたいな辛い思いはしてほしくないの……
人生は楽しいものだって、感じてもらいたい。
確かに、楽しいことばかりじゃないけど、でも、辛いことばかりでもない一度の人生。
それを無駄にしてほしくないんだ。
今は辛くても、数年後、笑顔で生きているアナタがいることを祈ってるよ!!!
最後まで読んでくださり、感謝の気持ちでいっぱいです
ほかの作品もよろしくお願いしまーす