Date8 白
いよいよクライマッーークス☆
何、このノリ……
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
別れ際、司は名残惜しそうにアタシを見つめた。
『また明日会える……』
それが100%だとは限らないから……
「また明日ね」
オレンジの夕暮れが、いつの間にか薄暗く淀んでいた。
司と別れてひとり、帰路を歩いていると、誰かに肩を叩かれた。
振り返ろうとしたその時――
「!!!!」
腕を回され、ハンカチを口に当てられた。
「大人しくしてろ。じゃねぇと殺す」
もしかしたらこの男、最近噂になってる通り魔かも……!!!
女子高生を無差別に殺傷してるっていう……
きっとクロロホルムか何かで眠らせて、アタシを傷つけようとしてるんだ!!
アタシは呼吸をしないようにしながら男の手を振り払おうとした。
通行人は誰もいない。
このまま連れ去られたら……
もう二度と司に会えないかもしれない……
(そんなの嫌だ!!!!!!)
肘で男の腹を突いて怯ませようとしたその瞬間――
「う゛あぁ……!!」
低い呻き声が聞こえ、そのまま男は路上に倒れ伏した。
状況が読み込めなくて気絶した男を呆然と見ていると
「大丈夫か、日和!!!?」
聞き覚えのある声がした。
「司!!!!!」
司は男の所持品を全て取り上げて遠くに投げると、アタシをきつく抱きしめてくれた。
「なんでここに?」
「何か嫌な予感がしたから日和の後をつけてきたんだ……家まで無事かどうか確認しないと気が済まなくて……」
「司……///……ね、何で男は倒れたの?」
「伊達に空手の有段者じゃねーんだよ」
「空手……司、カッコイイ!!!」
「ま、まぁな……///」