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緋蒼ライフ  作者: 百瀬日和
7/9

Date7 青

優子と付き合ってたっていう噂は嘘で、司が優子と一緒に帰ってたのは、優子からアタシのことを聞いてたから何だって。

確かに、アタシの誕生日を司に教えた覚えはなかったんだ。

アタシったら嫉妬なんかしちゃって恥ずかしい!!











ある日の帰り、アタシたちは近くの公園に寄った。





ベンチに腰掛けると、司は真剣な眼差しになった。






「俺、中学ん時、男子からはいじめられるわ、女子からは言い寄られるわで、散々な毎日を送ってたんだ」





その言葉に、アタシは言う言葉がなかった。






いじめられてたというのがアタシと同じだったから……







「……死のうとも思った」





その言葉を聞いた瞬間、アタシは無意識に言葉を紡いでいた。





「アタシも、司と同じだよ」





アタシは左の手首の内側を司に見せた。




うっすらと、何本もの傷が生々しく刻まれているその手首を……






無言で司も手首の内側を見せてきた。








やっぱり、アタシと同じだった。








「アタシもね、中学校の時、いじめられてたの。リスカは毎日で、飛び降り、首吊り……色々考えたけどね………でも、……でも生きててよかった…………だってあの時死んでたら、……司と出会えなかったもん………」




後から後から涙が溢れてきた。




司は、そんなアタシを静かに

でもしっかり抱きしめてくれた。






嫌な過去がひとつ、またひとつと消えていくようだった。









頭上から鼻を啜る音が聞こえた。






「司、泣いてる……?」





アタシも泣いてるから他人のこと言えないんだけど……顔を少し上げてみると、司は横を向いてたけど、頬が一筋光っていた。





「泣いてねーよ……」




少し鼻が詰まったその声を聞いて、アタシは司の背中に手を回してギュッと抱きしめた。







「アタシの前でだけ泣いていーよ。……司が辛いって思うことは、アタシも一緒に感じたいの…………どうすれば気持ちが軽くなるのか考えたいの……」




「日和……」





司の雫がアタシの頬を伝った。





男の人が泣いてるところなんて、初めて見た。






これからは、辛いことも楽しいことも、苦しいことも嬉しいことも、ふたりで共有したい。






「俺も、生きててよかった。……あんなにいらなかった命も、今は手放したくないんだ……」




「……アタシも……」




「……クサイけど












俺はお前を幸せにするために生まれてきたのかもしれない……」






司の笑顔がやけに眩しかった。

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