Date7 青
優子と付き合ってたっていう噂は嘘で、司が優子と一緒に帰ってたのは、優子からアタシのことを聞いてたから何だって。
確かに、アタシの誕生日を司に教えた覚えはなかったんだ。
アタシったら嫉妬なんかしちゃって恥ずかしい!!
ある日の帰り、アタシたちは近くの公園に寄った。
ベンチに腰掛けると、司は真剣な眼差しになった。
「俺、中学ん時、男子からはいじめられるわ、女子からは言い寄られるわで、散々な毎日を送ってたんだ」
その言葉に、アタシは言う言葉がなかった。
いじめられてたというのがアタシと同じだったから……
「……死のうとも思った」
その言葉を聞いた瞬間、アタシは無意識に言葉を紡いでいた。
「アタシも、司と同じだよ」
アタシは左の手首の内側を司に見せた。
うっすらと、何本もの傷が生々しく刻まれているその手首を……
無言で司も手首の内側を見せてきた。
やっぱり、アタシと同じだった。
「アタシもね、中学校の時、いじめられてたの。リスカは毎日で、飛び降り、首吊り……色々考えたけどね………でも、……でも生きててよかった…………だってあの時死んでたら、……司と出会えなかったもん………」
後から後から涙が溢れてきた。
司は、そんなアタシを静かに
でもしっかり抱きしめてくれた。
嫌な過去がひとつ、またひとつと消えていくようだった。
頭上から鼻を啜る音が聞こえた。
「司、泣いてる……?」
アタシも泣いてるから他人のこと言えないんだけど……顔を少し上げてみると、司は横を向いてたけど、頬が一筋光っていた。
「泣いてねーよ……」
少し鼻が詰まったその声を聞いて、アタシは司の背中に手を回してギュッと抱きしめた。
「アタシの前でだけ泣いていーよ。……司が辛いって思うことは、アタシも一緒に感じたいの…………どうすれば気持ちが軽くなるのか考えたいの……」
「日和……」
司の雫がアタシの頬を伝った。
男の人が泣いてるところなんて、初めて見た。
これからは、辛いことも楽しいことも、苦しいことも嬉しいことも、ふたりで共有したい。
「俺も、生きててよかった。……あんなにいらなかった命も、今は手放したくないんだ……」
「……アタシも……」
「……クサイけど
俺はお前を幸せにするために生まれてきたのかもしれない……」
司の笑顔がやけに眩しかった。