羊の国から狼になろう
腕の中でまどろむ娘。
ご先祖様、もういい加減この娘、食ってもいいですよね?
毎度毎度毛皮に頬を染め、顔を埋めてはぐりぐりと懐く。
・・・く! 芽衣。顔を埋める場所が良すぎ・・・いや、悪すぎる。
理性で押さえ込むにも、そろそろ限界だ。
この滾る思いを形にして、君の柔肌で静めてもらいたいのだが・・・。
「くぅ」
愛しい娘は夢の中。
拷問か、拷問なのか、これは。たまに股k・・・(こほん)で懐かれるのが困る。居心地のいい場所を探しているのだろうが、時折頭をぐりぐr・・・するのが困る。困るのだ。
「・・・く・・・」
頭の片隅で悪魔が囁いた。
【男の腕の中で毎晩寝ているんだ。その気があるに違いないさ、食っちゃえよ】
悪魔め!
可愛い芽衣を毒牙にかけていいとでも!?
【食わなきゃ誰かに食われるぞ】
そんな不埒者はこの里にいない!
【・・・そうかな?】
「んむー」
ころころと転がってきた君が、わたしの毛皮にすりすりと懐いた。・・・ふと微笑が浮かぶ。
愛しい芽衣。
いつかその瞳に、獣姿ではない私を映して、その頬をばら色に染めて欲しい。
「んー、んん~?」
芽衣の眉がより、むくっと身を起こしたのはその時だった。
「・・・芽衣?」
珍しいな、起きたのか?
そう続けようとした頭は、次の瞬間白く染まった。
・・・あまりの衝撃で。
「・・・ごしゅじんしゃま、これ、じゃまれす」
ふわふわした眼差しで、寝ぼけているのが丸分かりの顔で芽衣が。
握り締めた。
「むー、これじゃまれす、じゃまー」
硬くてごつごつしてて、しかもなんか熱くてぇー、なんれこんな棒切れベッドに入ってるンれすかぁー。
・・・がしっと握り締めて、右に左に縦横無尽。
何か言うべきなのでしょうが、声を抑えるので精一杯です。それ以前に軽いパニックに陥りました。
「あんみんのぼーがいれすー。めいは、だんここうぎしましゅぅ・・・ぐぅ」
しまいに、握り締めたまま眠ってしまった。
・・・冷や汗が、出た。
その手を外すのにどれほどの理性を総動員したか。
今宵の私は、褒められていいと思う。
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そんな毎日が続けば、寝不足にもなる。
そして元凶が心配して看病に勤しみ、また寝不足になるのだ。
「・・・くそじじい・・・」
最近のノルディさんは、敬老? なにそれおいしいの? ところであそこにたむろする、不良老年、排斥していいよね?・・・系の物騒な思考回路しか存在しない。むしろそれ以外許さない。
「ご主人様! 急に動いちゃだめですよ!」
「・・・芽衣・・・それは、なに」
「エ、爺様方がプレゼントしてくれた、看護師の制服です」
ピンクの超ミニナース。
甲斐甲斐しくご奉・・・仕事中。
頭が痛い。
「ご主人様、香り草を食べやすく煮てポタージュにしてみましたー。はい、あーん」
「・・・・・・・・・・・・」
にこにこ笑顔でスプーン差し出され、期待に満ちた慈愛の顔で見られれば、白旗あげる他はない。
扉の向こうでうずうずしている爺どもを喜ばせる気はないのだが。ないのだが!
そっと、口をあけた。
しかし、おせっかい爺ども。
どこで探してきたんだ、この衣装。
芽衣のなけなしの白乳が、よせてあげて、みごとな隆起を表していた(職人技だな)。
上乳がつやつやしているのが丸分かりだ。顔を埋めたらふにゅっとして心地良いだろうな・・・。
長ミニのスカートからは、太ももの艶やかな滑らかさが(触らずとも分かる!)垣間見える。眼福だ。
腰の辺りは程よくくびれ、腰から尻への滑らかな隆起が・・・ああ、触りたい。
撫でて、揉んで、直に触れたい。
舐めて、噛んで、くすぐりたい。
「ご主人様?」
「・・・ああ、芽衣・・・これは、反則です」
理性を試すのは、もぅこれぐらいで勘弁して欲しいのです。
やわらかいナース姿の娘の腕を、握り締め、体勢を入れ替えてベッドに押し倒した。
「うわっ! ご、ごしゅじんさま?」
「今日は、このまま、添い寝してもらいますよ? 私が心配なのでしょう?・・・では、全快するまで一緒にいてもらわなくてはね」
朝も昼も、もちろん夜も。
耳元で呟けば、娘がひゃっと首をすくめた。・・・ああ。耳が感じるんだ、とほくそ笑む。
それから、真っ赤に染まったその頬に、くちびるをおとしながら、芽衣の唇に沿って親指をすべらせた。
その刺激に顔を真っ赤に染め上げ、私の視界から逃れようとする娘。
芽衣に、ようやく男として見てもらえた歓喜に胸を震わせた。
・・・これからだ。
君を捕まえて離さない。
「私が良いと言うまで、一緒にいるんですよ? どこにも・・・誰の元にも行ってはいけません」
その言葉に、娘がしばらくして、うなずいた。
もういいなんて、絶対に私は言いませんけどね。
ああ、狼が獲物を見る気分とは、こんな感じなのでしょうか。
確かにこの感覚は、癖になる、と思うのです。
でも長様、狼ぶってても、羊ですからー・・・。
握られてーコントロールスティックよろしく動かされてー。
泣いて良いかも。