かくれんぼ
かくれんぼは終わった。 でも、隠れたままの子がいる。
僕は三上裕一。いつも石見君と新見君、山田君、野崎君、柏崎君と遊んでいた。
その日も、いつもの空き地でかくれんぼをしていた。
駐車場に、パン屋の名前が入ったトラックが、何年も動かずに止まっている。そこは子供達の秘密の隠れ家になっていた。
僕はプレハブの屋根の上に身を潜めた。そこからは、すべてがよく見えた。
野崎君が、そのトラックのコンテナの中に隠れた。鬼は山田君だった。仲間が次々と見つかっていく。
残りは僕と野崎君だけになったとき、異変が起きた。
野崎君の隠れていたトラックが、突然動き出したのだ。エンジンの低い唸りとともに、ゆっくりと駐車場を出ていく。
コンテナの中に、野崎君はまだいるはずだった。僕は屋根の上で息を殺した。降りてはいけない気がした。理由はわからない。ただ、身体が動かなかった。
結局、僕と野崎君は見つからないまま、かくれんぼは終わった。いつもそうなる。
僕は、野崎君が運転手に怒られているだろうな、とそれだけを思っていた。
数日後、野崎君が行方不明だと聞かされた。警察が動いているという。僕は口をつぐんだ。
山田君たちは「トラックに隠れたんじゃないか」と疑い、所有者の大人に話を聞きに行こうとした。
僕も誘われたが、断った。
それからまた数日が過ぎた。ニュースが流れた。山田君たちも、行方不明になったという。
僕は途方に暮れていた。その日の夕方、玄関の呼び鈴が鳴った。ドアを開けると、知らない大人の男が二人立っていた。
一人は警察手帳を僕に差し出した。しかし、もう一人の男の顔を見た瞬間、背筋が凍りついた。
その男は、静かに微笑んでいた。そして、ゆっくりと口を開いた。
「野崎君は、まだコンテナの中にいるよ」
読んで頂き有り難う御座います。




