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異世界オカマバー~マスターは世界の全てを知っている~  作者: カクテル
ロクデナシと卑怯な剣
15/18

剣の街【サヤガ】とチョロ君

やっぱり投稿します~書く手が止まらない止められない、編集はちょくちょく進めるとしますんで時々見返してくれたらなんか変わってるかも?

 


 さて、、、依頼を受けたのは良いんだけどね?どうすれば良いのか全然分かんない、、あのウニとか言うやつに弱点でもあれば話は早いんだけど、、


 ま、先ずはアイツを尾行しようかな?いったいどんな人物なのかを判断して、関係性を探る!そして弱みを回りの人物から弱みを握って外堀を埋めて本陣を攻めるのさ!フハハ!


 既にボクとウニには関係性の炎が極細だが燃えているのだ、この炎を辿ればぁ~?直ぐに見つかるって寸法さ!!


 お爺さんの道場は山の中腹にあり、町までは階段をずっと下りて行けば目の前にあるらしく、山の隣に町があるというすごい山の近くにある町らしい


 ついでにここは剣の町【サヤガ】と言うこともお爺さんから教えて貰った、そういえばここの情報とか街の名前とか何も教えて貰ってなかったな、、デミコお姉さんめ、、行き先ぐらい教えてくれても良いのに、、


 ボクは剣の街【サヤガ】なんて聞いたことがないが剣を生き甲斐にしている人たちの間ではとても有名な街なのだとか、ここには剣を作るに適した金属が多く採掘され、質のいい剣が量産されているらしい、


 その質のいい金属を求め腕の良い鍛冶士が集まり、その鍛冶士が作る質の良い剣を求めて剣を極める人々が集まる事で出来た集落らしい。


 この街は国境沿いの山脈のど真ん中にある為、回りは山で囲まれて来ることが困難な上に何処の国にも納めていない土地に在るため何処の国にも属さない独自の法治集落なんだとか


 ま、とにかく剣士が多くて治安も悪く、これといって法律もなく領主も貴族もいない、衛兵もいない腕に覚えがないと死ぬと言われる町だ!と説明を受けたが、、うん!帰りたい!でも帰れない!仕事だもの!!


 ボクは階段を下りながら段差を下る毎に気分も落ち込んでいく、美少女には優しい町だと良いな、、剣の腕に覚えはないし、、はぁ、、、






 ーー数分後、、、



 長い!!!階段が長い!!!


 え?嘘でしょ?かれこれ2000段は下りたハズ!?

 なのに全く下に着かない!!終わりも見えない!!景色も代わり映えない!


 下りだからそこまでは疲れてはいないけど!足がなんかおかしくなりそう!階段を下りるときになんか頭が混乱して時々足がもつれるし、足がかくかくしてきた、、


 だ、ダメだ少し休憩を、、、とるか、、



「はぁ、、階段長すぎるよぉ、、」


「大丈夫ですか?そこのお嬢さん?」


 ボクが階段に座って休憩を取っていると下から声がした、そちらを見ると背中に木刀を入れるための袋を背負う美女が居た。



 ロングストレートヘアーの茶髪、スラリと伸びた手足、ラフな動きやすく、慎ましい印象を受ける灰色のシャツとズボンを履いた無表情でクールな雰囲気のあるお姉さんが現れた。


 その眼差しは鋭く、睨まれているようにも見えるがその心は心配の色だ、敵意もないし、ボクのことを純粋に心配してくれていると分かる。


「え、ええ、少し疲れたので休憩を、、」


「ここに来るのは初めてですか?」


「は、はい」


「左様ですか、初めての方にこの階段はさぞやキツいでしょう、、何せ5000段はありますから、、女性の貴方なら尚更。」


「ご、5000段、、、」


「でも、貴方は頑張った方ですよ、ここは大体4000段、、あと1000段も上れば道場に着きます。」


「あの、、ボクは今下りてて、、」


「、、、、、そうですか、、すみません、余計なことを言って、、、」


「いや、すみません、、、貧弱で、、」



 まさか1000段しか下りてなかったとは、、その上まだ4000段残ってるとか本気か!?死ぬぞ!長すぎるだろ!不便!楽な道を用意しろよ!


「にしても、、、こんな山奥でメイド服、、?貴方は何処の流派の人ですか?それとも旅の御方?」


「あ、ボクは、、ハリ・ニードル様にご依頼を受けてお仕事でここにいるんです、、まぁ、、旅の人と変わりないと思っていただければ、、初めてこの街に訪れますし、、」


「師範に依頼を受けて、、?あぁ、申し遅れました、私は下守剣が弟子、《マチバ》と申します。」


「あ、ボクはリスタルと言います、多分これからちょくちょく道場にも顔を出すと思うのでよろしくお願いします。」


「はい、よろしくお願いします、、それで、下りるのがキツいのなら背負って上げましょうか?貴方は鍛えてないみたいだし、そのような服装では動きづらいでしょう?遠慮は要りません、我が下守剣は弱きを守るのが教え、、ほら、乗ってください。」



 そう言うとお姉さんはこちらに背中を向け、おんぶの姿勢、、うん、舐めないでよね!いくらボクでもさぁ!疲れたからって女の子に背負われて下山とかそんな情けない真似が出来るかっての!!


勿論!!丁寧にお断りしますよ!!




















「ありがとうごさまいました、マチバさん、、今度からはご迷惑をかけないようにしますので、、」


「はい、今度から用事があれば私に言ってください、師範に言伝なら致しますので、私の家のドアにでも伝えたいことをメモして挟んでくれればお届けします、私の家はこの先の《ガグズ工務店》と言うお店の2階の部屋を借りてますのでそちらに、それでは私は稽古がありますのでお別れです、、では。」


「あ、はい、何から何までありがとうございます~。大変助かります、、またよろしくお願いします~。」



 感謝の気持ちを伝えるとマチバさんはまた階段を上るために山へと走り出した、、速いなぁ、もう見えないや



 ボクはリスタル、疲れたなら楽な方を選ぶ男、、



 ボクはマチバさんにおんぶされて下山した、それだけに留まらず町の真ん中まで運んで貰った。大変楽チンでした、階段を走るように駆け下りるマチバさんはすごい身体能力でした、、



 え?男のプライドは?今のボクは女の子♪だから男じゃないのさ!故に男のプライドなぞない!!たとえ悪評を広められてもボクはそんなの慣れっこだからね!ボクが今まで生きてきてボクにとって良い噂を聞いた試しがない!


 それに美人のお姉さんにおんぶして貰うとかご褒美でしょ?うん、柔らかいし、安定感が心地よかった。またお願いしよう


 町はもう活動を始めていたのか人があちこち歩いていたり朝の走り込みをしている剣士がチラホラいるがその殆どが男だな、、流石剣の街、、



 なんだろう、その男共がこっちを走り込みをしながらチラチラ見てくる、、、、歩く人もこちらをチラチラと、、全く不躾な、、


 

 あー、そりゃそうか、今のボクってミニスカメイド服か!まぁ、、メイド服は目立つか、、他の町で仕入れした時はどっかの国の王都とかだから使用人としてメイドは珍しくないけど剣の街なんて物騒な町にフリフリした格好は流石に奇抜か、、?ここには女性も少ないみたいだし、メイド何て居ないのか、、


 ま、女装に慣れたボクに羞恥心など無い、堂々と歩こう、、何処かの王都でもチラチラ見られてたしね、見られる耐性はとっくに付いた


 先ずは下着だ、今、ボクはミルディさんの悪辣なイタズラにより女物を仕方無く履いているのだ、、流石に男物の下着に変えたい、スースー度が半端ない、嫌ならば何故履いてるのかと言われたらノーパンの方が倫理的にヤバいでしょ?、女装でミニスカノーパン男とか変態まっしぐらだ


 だが、パンツも女装のうちと言い張れば趣味で済む、そう済むったら済む、更にボクの場合は職業柄致し方ない、そう、、ボクには数多くの免罪符があるのだ、だから女物のパンツでも仕方無いのだ



 とは言え、自主的に履き続ける道理もない!早く男物のパンツを買わねば!



 と言うわけでお店探しだ!いざ!剣の街を探索かいしぃ!!




 歩いて数分がたった、、ボクは一つの叫びを必死に我慢していたが、とうとう呟いてしまった、



「鍛冶屋と道場と武器屋しかねぇ、、、何なんだこの街。」


 ボクはこの街の異常さに嘆いていた、馬鹿の一つ覚えみたいに鍛冶屋と道場と武器屋しかないのだ、普通のお店が一軒もなければ普通の住居もない


 鍛冶屋が四軒も並ぶ箇所があったりバカデカイ道場があったり、武器屋、武器屋、鍛冶屋、道場挟んで武器屋、、と多すぎる、、


 何だよ全く、、短剣専門店とかは分かる、でも、投げナイフ専門とか小手専門店とか剣の柄専門店って、、専門過ぎるだろ、、それでこんな朝からお客さんがどの店にも必ず一人は居るとか頭おかしい、



 ボクが溜め息を吐きながら歩いているとこちらに近寄る人物がいた。



「た、旅のお、お嬢さん!なにかお困りかな?良かったら僕が案内して上げようか!?」



 それは若い男だった、年はボクより下だろう、十代後半かな?黒い緑の短髪に青色の道場服と木刀を腰に差してる。


 内心真っ赤に照れて必死に笑顔を作っているがその笑顔はかなりひきつっている、本人は頑張っているが結構して笑顔を作っているのだろう、、


 ボクに向けられた好意の炎でボクは理解した、、あぁ、ナンパか、、


 デミコお姉さんの魔法の道具によって姿を変え、変装しているボクは正直に言ってかなりの美少女だ、元の男の面影が一切無い上に整った顔立ちで金髪のツインテールと言う男受けが良い髪型をしている、


 可愛さがどれぐらいかと聞かれたら学校で一番可愛い子とタメを張れるぐらいには可愛い、更に見た目も若く見えるのか一番若く見られた時は15歳と勘違いされてお酒を仕入れなかったのは苦い思い出だ


 男のボクがナンパされる、、別に始めてじゃない、前に仕入れの時に1日で二回もナンパされた時は凹んだが、それももう慣れた、この仕事は慣れ(諦め)がとても重要だと言うことに気付いたのだ、、


 ナンパされてしまうのなら、、逆に利用してやろうではないか!!ボクはリスタル!!人の心を操る事に関しては他人よりも自信がある男っ!!女に惚れてる男ほど操りやすいものはないんだよ!!



「えー?良いんですかぁ?ありがとー!優しいのね!お兄さん!」


 散々、、何度も!通常営業中に男に媚びて売上を伸ばしたボクのぶりっ子舐めんなよ!!男だから男がされて嬉しい行動分かるんだよ!!更に駄目押しで恩恵で好みもバッッッチリ分かるからね!どんな男もイチコロよぉ!チクショー!!



「実ぅは、、服を買いたいんだけど、どこもかしこも道場か鍛冶屋で困ってたの、、お兄さん、、何処に服屋あるのか教えてくれない?」


 ボクは低身長を生かしてお願いするために少し頭を下げて上目遣いと両手をあわせて精一杯のお願いポーズ!


 これは女に声掛けるのも緊張するチェリボーイに効果抜群!シャイな野郎は純粋無垢な女の子が好きだと相場が決まってるからねぇ!そんな純粋無垢な女が居ると本気で思い込んでるからまんまと引っ掛かるんだよねぇ!!フハハ!!


「ね!良いでしょ!観光ついでに寄ったんだけど慣れない山道で服を破いちゃって仕事の衣装しか着れなくて恥ずかしかったの、、だから早く着替えたくて、、」


 顔を赤く染め!スカートアピールするように摘み、恥じらうように目線を横に外す!元気一杯の明るい子かと思いきや実は恥ずかしがり屋で照れている美少女っ!!どうだっ!


「あ、ああ、服屋ね!も、勿論知ってるよ!オススメの店があるんだ!あ、案内するよ!」



 お、効果抜群すぎて怖いねぇ、もう惚れてら、男ってホントチョロい、、どうせ修行の日々で女に対する耐性とか全く無いんだろうな、可哀想に


 男だけしか居ない道場で修行の日々、嫌になって朝サボってたら驚く程の美少女が歩いてた!声かけるしかないっ!って所だろうな、悲しい野郎だ、、



「ほ、ほら!こっちを曲がるんだよ!」


「ワー、すごい親切で紳士的っ!この街は物騒って聞いてたけど貴方は違うのね♫」


「い、いやぁ、、あはは」



 チョロいチョロすぎて心配なる、、今までいろんなお客さんに媚びたけどこんな簡単なの始めてだ、学生時代裏工作で人を操るために好感度を上げたこともあるけどこんなに簡単なことはなかった、、よし、君は今からチョロと呼ぶよ、、よろしくチョロ君。


 て言うか何処を曲がるとかいちいち要らねぇよガキじゃ無いんだぞ?分かるわ、女舐めんなよ?


 その後他愛ない会話とかチョロ君の男らしさアピールのくっだらねぇ自慢話延々と対応して案内して貰う、



「あ!あそこ!あそこだよ!服屋は!この街で3軒しか無いんだよ!」



 マジかよたった3軒??すくなっ、ちゃんと下着あるよね?無いとか困るんですけど、このチョロ君のどうでも良い対応して無駄働きとかいやだぁ、、


 因みにこのチョロ君は本名を《チョロズ》と言うらしい、、ほぼ正解じゃんボクの予想。



「と、ところでなに買うの?女物ならあそこのお店で、、男物はこっち、その他は真ん中のお店で~」


「えーと、大きめのフードと、動きやすい服と下着かな?」


「し、した、、、な、なら!真ん中のその他のお店がおすすめだよ!うん!く、靴下とかは真ん中なんだ!」


「ホント親切ね!ありがとう!ごめんくださーい!もうお店やってますかぁ?」



 下着と聞いて興奮したチョロはほっといてお店に行こう、もう用済みだからさっさと離れたい、流石に案内したら終わりだと思って帰ってくれないかなぁ、、?


「あ、よ良かったら僕が選んで上げようか?ほ、ほら!ここ最近の流行とかさ!」


 道場着しか着てないような奴が流行を語りますか、、服屋が3軒しか無いこの街に流行があると、、下心丸見え、感情を見なくても分かる、離れたくないってね!


 下着買いたいって聞いてなかったのかな?着いてくるとかキモいんだけど、、、放置したらずっと着いて来そうだな、、ここいらで本性出すか?



 いや、、、こいつがこの街で顔が広いとも限らない、大事には出来ないし、、あ!いーこと思い付いたぁ、、フフフフ



「あら?見ない顔ね?お店は開いてるけど、、何か買いたいのかい?お嬢ちゃん?」


 服屋の店主はおばさんだった、エプロン着けた一般的な男性よりも一回り大柄な女性だ。


 よくよく見たらお店の奥の壁にデカイ剣が飾ってあり、この人も多分剣士だと分かる、、おばさんがあの大剣を振る姿を幻想するととてもしっくり来た貫禄と言う奴だろうか、物騒なこの街では武器を携帯していないとお店も開けないらしい。



「えっとぉ、動きやすい服と大きめのフード付きローブと、()()の下着ください!」


「!?!?」


 チョロはボクの男物の下着が欲しいと言う発言にかなり驚いてた、おばさんも少しだけ困惑の感情、だが、そこは商売人、自分の疑問を捨て置き、しっかりと店の案内をしてくれた。



「大きめのローブはあっちの棚だよ、男物の下着はローブの列にあるハズだよ、あと、動きやすい服は隣のお店にあるよ、うちは小物や装飾品専門だからね女物の服は隣さ」


「ありがとうございます!いろんな種類があって良かったぁ、、お店がここしかないって言うから、少し心配で、、」


「まぁ、、殆どの奴らが道場に入門して殆どの時間を道場着で過ごすからねぇ、、服屋よりも道場着を作る店の方が多いのさ、、」


「今ので完全にこの街のおかしさが良く分かりましたよ、本当にここは剣の為の街ですね。」


「あぁ、観光に向いてない武骨な街だろう?あたしらの誇りの街さ。」


「「アハハ!」」


 早くこの仕事を終わらせよう、この街は色々可笑しい、服屋の店長もバリバリの武闘派とか信じられない。もしかしたら子供ですら剣豪かもしれないし、このチョロもかなり強いかもしれない、さっきの自慢話を聞く限り道場で弱い方らしいけど、



「にしても嬢ちゃん、興味本位で聞くけどね、男物の下着なんてどうするんだい?」



 チョロが待ってましたぁ!と喜び、答えを聞くのに少し緊張している、必死にこちらに興味ないふりしながら靴下眺めているが、耳がこちらに全集中しているのがよーーくわかる、、


 しかし、ボクは一つの考えと言うか作戦があった!思い付きでなんの保証もないけど可能性はあると見た!!



「えっとぉ、、実はここの人に一目惚れしたんですけどォ、何かプレゼントしたいなって!うちの地元だと下着送るのが求婚の文化がありまして!やってみようかと!」


「へ、へぇ、、かなり変わった文化だね、、」


 うん、ドン引きしてるね、そりゃそうだ今適当に考えた適当な文化だ、もしかしたら世界の何処かにはあるのかもしれないが、少なくともボクは知らない、でもここの文化よりはましだろ?



「ひ、一目惚れってだ、だだだ、誰に?」



 お、諦めずに来るか、予想通りだとは思ってたけど諦め悪いね、ボクにとっては都合が良い、、聞きたくもない自慢話聞かされた分は搾り取らないとね?


 精々利用させて貰うよ!フハハ!!ボクに搾り取られると良い!



「えー?こんなところで話すのもなぁ、、お兄さん優しいし口固そうだから教えて上げても良いけど、、もう少し落ち着いた所が良いな、、朝ごはんも食べてないし、、そうだ!この街って、食事処あるの?よかったら朝御飯食べながら話しましょ?」 


「え、あ、しょ、食事処ね!あるさ!二軒!!」



 うん、少ない、、この街って山から見た感じ結構広そうなんだけどなぁ、、、



 まぁいいや、食べれたらなんでも良いか、、ただし残飯以外で、、残飯はもう二度と食べたくない、ボクはもうグルメなんだ、美味しい料理に完落ちしてるのさ。


「それじゃおば様、このローブと下着4セット下さいな。」


「あいよぉ、全部で、、えーと、3200鉄紙だね」


「じゃぁ、、金紙(1.000)4枚で。」


「はい、銅紙(100)8枚のお釣りね!毎度!!」


「それじゃ行きましょ!チョロ、、ズ君!」


「え、うん!」



 あぶねぇー、思わずチョロ君って言いかけたわ、ま、下着も買えたし満足なんだけど、、次はコイツからウニの情報探らないとね、、あと、腹ごしらえ。



 チョロの案内で食事処に行くが案外近い、、どうやらここいら一帯は鍛冶屋や道場、武器屋以外の建物が並ぶ区間らしく一応纏めてあるらしい、人が多くいろんな市場が開かれている、


 食料が売られている市場は下っ端らしい剣士が数多く往来し、食料を買い漁っていた、、それもかなりの量を、、あれ全部道場の人が食べるための食料なのかな?下っぱはお使い?



「ほ、ほら!荷物とか重くない?持って上げようか?」



 チョロがそんなこと言ってくるが、、正直渡したくねぇ、いざとなったら逃げられるようにしておきたいし、、


 あとこんな服数枚で重いと思われるとか舐めてんの?女性が荷物持って貰いたいのは重いからじゃねぇよ、男に甘えたり、非力アピールしたいんだよ好きな相手にしかしないっつーの


「ううん!大丈夫だよ!これくらいへっちゃらだから!」


「そ、そう?そこまで言うなら、、大丈夫なんだよね?」


 あー、ウゼェ、取りあえずニコニコして誤魔化してさっさと食事処に入る、、2軒しか無いと言われていたが片方は朝なのに盛況で長蛇の列が出来ていた、もう片方はガラガラだ、


 迷わずボクはガラガラの方へ


「あっ、そこは!だめ!」


「え?何かダメなの?」


「いや、、そこの店長なんだけど寡黙と言うか頑固と言うか、、威圧感があって怖いだ、、もう片方のお店は若い看板娘がいて大人気なんだけどね、」



 良く見たら長蛇の列には男しかいなかった、、そしてボクの方を凝視した後、横にいるチョロに殺意の目線を送っている。


 ここの男はあんなのばっかなのか?飢えすぎだろ、そんなジロジロ足見んな!キショイ!


「別に味が悪くなければどこでも良いじゃない!」


「そ、そうだけど、、」


「それに、、ボク、静かな所でご飯食べたいな?今から秘密のお話しするんだし」


「うん、こっちにしようか、今すぐ行こう。」


 ボクの上目遣いポーズ、第二弾にあっさりやられたチョロは迷わずガラガラの店に突撃していた、手玉に取るのがこんなに簡単な男は早々いない、、うわぁ、、コイツ使えば今後の裏工作が捗りそうだなぁ、、恋に盲目な奴はいつでも扱いやすい、、男も女も、、、



「ごめんくださーい!」



 お店に入ると聞いていた通り寡黙そうで無口なオッサンが腕くみしてこちらを睨んでいた、筋肉質で腕が太い、さらには額のキズ、鋭い眼光!店の奥にある立派な大太刀!!


 しかーし!店主の感情の色は青!真っ青!ド緊張していらっしゃいます!寡黙じゃなくてただの人見知りのようでした!あんな見た目して可愛いな!



「ん、、」



 それだけ店主は言うと店の角にある席を見て黙り込んだ、どうやらあそこに座ってくれって意味だろう、ボクは迷わず進むが、、チョロはその眼光にやられて怖じ気づけ付いたのか手足を止めていた。


 ボクはテーブル席に座り、チョロを手招きする、一応隣に座って来ないように隣の椅子には荷物を置いておいた。鉄壁のガード!



「座らないの?」


「え、や、ああ!もも勿論座るさ!」



 ボクの前に座るチョロはボクをチラチラと見ながらも店主の方も目を離さない、店長の目は鋭くこちらを見つめているからね、さっきから注文を取りに行くかどうかを悩んであたふたした感情を燃やしているからね、、、、あの店主可愛いな、癒される。



 ボクは気にせずメニューを見て軽いものを注文する、あとは、飲み物かな、階段下りてたら喉乾いたけど飲み水が鞄に入って無かったんだよね。



「チョロズ君は何か頼むの?」


「あ、いや、僕は道場で食べてきたらから、、要らないよ、、だから好きに頼んで良いよ!ぼ、僕が奢って上げる!」


「え!ホント!?やったーありがとォ!チョロズ君最高!」



 なにも言ってないのに奢ってくれる、いやーこの見た目最高だよねぇ、、美人は特だぁ!!フハハ!男の姿じゃこうはいかない!デミコお姉さんの魔法の道具最高!!



「それじゃ!店主さーん!このサヤガ定食とリルゴの果実汁下さい!」


「、、!あ、あいよ、。」



 注文を取りに来ようと勇気を出して動こうとしたところにボクがすかさず注文を入れる、このチョロに怖がられて逃げられても困るからね。驚いてビクッと体を強ばらせた店主が愛おしい、、


 料理は直ぐに来た、パンと鳥ささみサラダとまるで筋肉を鍛えるためにあるようなシンプルなメニューだ、、通りでサヤガ定食、、この街の名前が使われているだけあり、筋肉を付けるための鶏肉って訳か、、


 因みにリルガとは木に生える赤い果実のことで甘酸っぱくてもっとも知名度が高い果実と言っても良い、大体何処にでも生えてるので飲み物としても安心して飲める、、味が分かっているからハズレがあると言うことがないからね。



「美味しそう!!ありがとう!店主さん!」


「ん、、、」



 他の人が見たらぶっきらぼうな態度で料理を運んで感謝の気持ちも軽くあしらわれたと感じて気分が悪くなるだろうが、、ボクは店主の緊張と感謝を伝えられて嬉しがっている姿が丸分かりなので見てて可愛い。


 ボクはパンをかじり、少しづつ食べる、一気に頬張っても良いけど、目の前にチョロがいるからなぁ、、さっきからこちらを見てさっきの話について聞く為に切り出すかどうかを悩んでいる、、


 端から見たら黙って食事中の女の子を見つめる不審者だ、普通に怖いし気まずい、気になるならさっさと話掛けろや待ってんじゃねーよ


 そのまま何も喋らずパンと鶏肉サラダを食べ終わりリルガの果実汁を一気飲みして一息、、、


「ねぇ、さっきから黙ってこっち見てるけど、、私の顔そんなに変?」


「え!?えれ、いいや!変じゃないよ!なんなら可愛いから!いや、なんでもない!!」


 可愛いと言っておけば良いとでも?何でもないのに凝視してたとかもっとヤバい、、チッ、ボクから切り出さないといけないの?コレ、、めんどくさ



 そういや、この前も一人で食事を取ってる時誰も喋らなかったっけ、なんかデジャブを感じるね。


 ま、食べ終わったし、お店に長居しても迷惑だ、さっさと本題に入ってコイツの相手を終わらせよう。


「それでね!ここに来て一目惚れした人なんだけどね!ウニって言う人でね!」


「う、ウニって、、あの、黒白の髪の毛の?」


「え!知ってるの!?」



 ボクの作戦はこうだ、美少女の好きな人がウニと言うことで対抗心燃やしたコイツからウニの悪い情報探れないかなぁ、という行き当たりばったり作戦だ


 惚れた相手に恋敵(ライバル)の良い情報なんて言わないだろうし、少しでもアイツの情報や暗い噂の一つや二つ教えてくれたら御の字だ



「知ってるも何も、この街じゃ有名人さ、、」


 おっ、どうやら知ってるみたいだね、良かったぁ~コイツのめんどくさい対応が無駄にはならなかったようだ。



「そんな有名なの??」


「アイツは、、とにかく強い、この街で最強とも言われてる、、たが、性格が終わってるんだよ、、」


 へーアイツそこまで言われる程に強いのか、、、確かに素人目線でもかなり強いし、、逃げ足も早かった、何より部屋に人が来ることを関知して奇襲を仕掛けるほど勘も良い。



「性格が終わってるって、、、どんな風に?」


「ああ、傍若無人、唯我独尊、この街で好き勝手暴れてる奴さ、、皆から嫌われると同時に憧れられている。」


「憧れてるの?性格が終わってるのに?」


「剣の腕は誰にも負けない、、それはこの街で剣を磨く者として崇拝の対象ですらある、、剣の腕が強ければ許されるのがここのルールだ。でも、いろんな悪い噂がある、悪い噂が有りすぎるんだ、、あの男だけは辞めておいた方が良いよ、、後悔する。」


「えー、強いなら良いじゃん、それがこの街のルールなんでしょ?」


「確かにここは無法地帯、どの国にも属さない剣の街、、だけど治安が無いとは言ってない、、剣の強さこそ全てと言われちゃいるが通貨も回ってるしある程度のルールはあるさ、、でも、アイツはその剣の強さこそ全て、強さこそがこの街のルールと言われていることを体現した野郎さ、、」


「具体的には何したの、、、?ウニさんって、、」


「まず、無銭飲食は当たり前、店主が追いかけてもねじ伏せる、ギャンブルして遊ぶ金が無くなれば適当な道場に入って道場破りして、道場の看板を奪ってこう言ったのさ」



『看板返して欲しかったら俺から買えよ、自分の流派の看板なんだ、、、安すい値段では買わねぇよな?』


「そんな道場破りを日々繰り返しては色んな人に復讐されるんだけど全部返り討ちにするっていう無茶苦茶な奴なんだよ!寝込みを襲っても何故か逃げられるし後日逆に闇討ちされたって噂もある!」


 うーん、思ってたよりもヤバい奴かも知れない、コレを改心させろだって?無茶振りが過ぎる、、、あの爺さんの無茶苦茶な部分孫に遺伝してない??


「金の使い方も荒いし、女も平気で取っ替え引っ替えだし、だけどこの街じゃ、、強いからって許されてる、、だから辞めておいた方が良いよ、アイツだけは、、」


「ふーん、そんな奴なんだウニって。」


「そう、そんな野郎なんだ、止めときな、、他にいい人が居るって!」


 ボクはもうチョロに興味はなかった、聞きたいことも聞けたしこれ以上知ってることもないらしいし、、 



 何よりもうこれ以上話す時間は無さそうだ




 なぜかと言われたらさっきからお店の入り口で殺意まみれのチョロとおんなじ道義を着た男が十人ぐらい今にも襲い掛かりそうな獣の形相をしてるからね。


 多分同じ流派の人達だろう、サボったチョロを探してたらボクとデート紛いの現場を見て怒りと羨ましさと、劣等感の炎が燃える燃える、、


 店主が人の多さに表情が完全に固まった、お代は払ってくれるって言ってたし、もうチョロに用はないかな?


「それじゃ、ボクはそろそろ行くね?ちょっと用事があるんだよね。」


「えっ、あ、そ、そうなんだ、、」


「フフッ、別に今生の別れって訳じゃないからそんなに寂しそうな顔しないの!暫くはこの街に滞在する予定だしまたね~♪」


「え!う、うん!!勿論!!また会おう!!」


「じゃねー♪」


 ボクは席を立ち店の入り口へと向かう、ボクを見つめてチョロも店の入り口へ目線を向けて、、



「あっ、、、」



「よぉ」「やぁ」「チョロズぅ?」「良い度胸だ」

「こっちこいや」「コロス」「削ぐ」「捥ぐ」



 今日一番の青い焦りの感情、、同じ流派の人はゆっくりとチョロに近づき目が笑っていない笑顔でチョロの肩を掴み、とても良い笑顔で口を開いた。



「「「「さぁ、稽古しようか?地獄を見せてやるよ」」」」



 ボクは店を出て振り向くことはなかった。


「あああ!!!許してぇ!!仕方無いじゃん!!あんな可愛いこ逃がせるかよ!!」


「ウルセェ!!稽古サボって抜け駆けしてんじゃねぇよ!!剣の道に異性は要らず!ここでシネェェ!!」


「いっちょ前にデートしてんじゃねぇよ!!雑魚が!!恋愛は免許皆伝してからって暗黙の了解なんだよ!!だから今いなくても寂しくありませーん!!」


「おらっ!あの娘俺らにも紹介しろや!チョロズ!!お前なんかに勿体無いわ!」


「いたっ!うごぉぅ!!ぶへぅで!?あ!!!!名前!名前聞いてない!!まって!ぶべっ!?まってぇぇ!!!!君の名はぁぁァァァァ!!!!ゴッ!」



 取りあえずトイレ探して下着を変えよう、、うん、チョロには強く生きて欲しい、僕みたいなのに手玉に取られること無く全うな相手に恋して欲しいものだ。



 ボクは叫びを全て無視ししてトイレを探した。

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