3 新たな楽園を求めて。
10月の終わり頃。
彼の脚は、以外にも10本のままでした・・・。
「けっこうたくさんのダニを食べてたのにな・・・。」
彼は少し落胆してました。
もっと早く成長して、脱皮を繰り返して、その度に胴体の節がどんどん増えて、それに連れて脚もどんどん増えると思ってたからでした。
「もしかしてだけど・・・ダニばっかり食べてても、ダメなのかも知れないなぁ・・・。」
そう思った彼は、これまでは簡単に食べる事ができたダニばかりを襲って食べてては、効率が悪いと思えてきたのでした。
そして「それなら!もっと大きな獲物を襲って食べれば、もっと体を大きくできるんじゃないのか!?」と思いました。
しかし、彼にとってダニは、一方的に襲って簡単に食べる事ができますが、もう少し大きな獲物だと、反撃されてしまって危ないかも知れません。
「僕には、自在に曲がる体と、長い脚で獲物を抱え込めるし、それにこの丈夫で強い顎と、そこから出せる毒がある・・・!だったら、僕と同じぐらい大きさで、強い顎や牙を持ってないヤツなら・・・捕まえて殺して食べられるんじゃ無いのか?」
そう考えた彼は、それまで何度も近くで見たり触ったりしたことのある、ダンゴ虫やワラジ虫なら、簡単に食べる事ができて、しかも、栄養価が高いのではないかと思ったのでした。
「そうか・・・。アイツらも、僕の食べ物として神様が用意してくれたてのかも知れないぞ!」
だったらと思った彼は、さっそく朽ち木の中で木を食べてるワラジ虫を探しに、枯れ葉から枯れ葉かを渡り歩いて、朽ち木を探しに行きました。
彼に地理勘は特に無かったので、朽ち木にたどり着けるかは運しだいでしたが、それでも彼は、湿気を頼りに移動しました。
長い道中でお腹が空くと、彼はダニを咥えながら移動しました・・・。
「いつか僕は、快速を手に入れるぞ!」
食べて、脱皮が出来れば、体の節が増えて脚も増える。
同時に太く体が大きくなり長くもなる。
そうなれば、もっと大きくて、もしかしたら、ダニなんかよりもずっと美味しい虫を食べられるようになるかも知れない!
かれはそんな思いに駆られて、朽ち木を求めて旅を続けた・・・。
それから4日後の夜。
彼は勘を頼りに、偶然にも朽ち木にたどり着いた。
「居た!居た!居た!」
彼は月夜に複眼を輝かせた。
「ワラジ虫に・・・ダンゴ虫!」
さらに探すと。
「大分前にチラ見した事があった、シロアリもいるじゃないか!!」
「あ・・・いや、シロアリは反撃が怖いな・・・。となると、この朽ち木は危ない・・・。」
彼はそう思うと、この朽ち木を後にした。
しかし、そこからそう遠くない所で、彼はハグレワラジと出会った。
これは紛れもなく彼の一方的な補食チャンスだった!
「旨かった・・・。」
今まで体格差で敬遠してきたワラジ虫が、こんなにも美味しくて、しかも楽に補食できる事が分かって、彼はとても嬉しくなった。
こんな気持ちは、産まれて初めてダニを食べて以来だった。
「僕の為に、こんなにもたくさんの虫達がたべられるのをまってくれてるなんて、僕って本当に幸せもんなんだな・・・。」
彼は補食者としての地位に満足して居た・・・。
まだまだ、脚が10本しか無いのにもかかわらすにだった・・・。
そして、秋も終わりに近付いて来たある日のことだった。
ガサガサ!っと、音がして止まった。
自分よりも大きな生き物が枯れ草の中から近付いてきて・・・そして、動きを止めた音・・・。
「さっきの音は、なんだ!?」
自分を探してるのか?
それとも、なにかで近くを通りがかっただけなのか・・・!?
彼も動きを止めて、その何者かから見付からないように気配を消した・・・。
触覚までも動きをとめて、目と臭いを頼りに辺りを探る・・・。
彼は、産まれて初めて、自分が補食される側になってるのではないかと思い、恐怖した・・・。
つづく




