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5話 証明


 呼吸を乱して今にも足を止めてしまいたい欲求振り払いながら、大杉は必死に学校へ走り続けた。

 家から学校まで15分。

 走れば5~10分の間であれば学校に到着できる。

 

 (頼む。 間に合えッ)


 途中、信号につかまり荒れた呼吸を整えているとスマホの着信に気が付いた。

 着信先は『ハカセ』だ。


 『あ、繋がった。 お前今何処に――』

 「ごめんハカセ! ちょっと今急いでるから後でまた連絡する!」

 『あ~待て待て。 何が起こっているのか分からないがこれだけ聞いとけ』


 信号も変わりスマホを切ろうとしたが、ハカセの忠告は昔からよく当たるのでスピーカーにして制服の胸ポケットにスマホを入れて再び走り出す。


 『お前の言う【死に戻り】をする同級生の事だが、もしかしたら色々とまずいかもしれん』

 「まずいっていうのは! 具体的にどんなッ?!」

 『死に戻りっていうのは本来ビデオゲームでゲームオーバーになって特定の地点に戻されるシステムの事だ。 それが実際に現実で引き起こすって事は、その同級生は現実というなのゲームで何度もゲームオーバーしているという事になる』

 「だけどそれって別に困る事じゃないよね! 何がそんなにまずい事なの?!」

 『まずいって言うのは、その死に戻りがあと()()使()()()()()()()()()()()だ』

 「え?! 死に戻りって回数制限があるの?!」

 『ヘイジ。 現実はそもそも死んだらそこで人生は終わるものだ。 だけど今回、キミの同級生は何等かの形で死んでも生き返る【死に戻り】というチート能力を手に入れた。 だけどこの能力が完璧じゃない事は()()()()()()()()()()

 「えッ!?」


 学校が見えてきた距離の所で一度足を止めて胸ポケに入れたスマホを取り出す。


 「それどういう意味?!」

 『あぁ、オレの知り合いが言うにはそういう常識では測れない現象が他人に影響を及びだすという事はその現象じたいに限界が近いという証明になるらしい。 つまり――』


 今までは死んだ事自体を他人が認識できていなかった『死に戻り』が、ヘイジが認識して記憶する事が出来る様になった事で生き返る回数のストックが出来たのではないかとハカセは説明する。


 『とりあえず、もしかしたらキミの言う同級生が死に戻りを発現出来る回数(ストック)はもう無いのかも知れない。 それを出来るだけ早く伝えてやった方がいいかもしれないな』

 「わかった! 色々ありがとうハカセ! それじゃまた!」

 『待て。 そもそもキミはそんなに慌てて何処に向かってるんだ?』

 「その死に戻りをしている西条さんの所ッ!!」


 学校に到着するまで残り1分ほど。

 すでに門も目前であとは西条が学校に滞在しており、なおかつ何処に居るのかもすぐに分かればいいのだが・・・。

 

 「・・・え?」


 だけど、大杉が門をくぐる前には西条を探す必要はなくなった。

 門の前では大勢の生徒が集まっており、それを教師達が離れるように大声で呼びかけている。

 その人混みの隙間から見えたのは、首から血を流して倒れている西条の姿だった。

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