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第二十三話「先住者」.4


 悪魔の特徴を上げろと言えば、角やら翼、尖った尻尾が挙げられる。彼女は、そのうちの立派な角を持っている。それに尖ったエルフ耳が、人間離れした美麗な顔を引き立てている。

 女子だけど王子様――そんな同性に持てそうな雰囲気があった。


「わたしは内住者(ナンロル)のサンゴ。この子はブリューよ。よろしくね」

「ああ。俺はテフノ。君が助けてくれたのはリスボン族のハダンだ。それとみんな、出てきてくれるか。もう安全だぞ」


 戻ってきたハダンは、不安げに俺とサンゴを見る。その間に俺は車内に安全だと伝えてみんなに出てきてもらう。


「ハダンが助かった。ありがとう」

「お世話になりました。ありがとうございます、サンゴさん」

「懐刀と呼ばれた者たちか。次は気を付けることだね。ここでは、地上より実力主義だからね」


 それは、先ほどの一幕で身に染みた。次からは逃げるより応戦を考えよう。見た目でビビッて逃げてしまったため、次は立ち向かえるようにしないといけない。

 しかし、遅い。


「みんな、大丈夫か?」


 ゴーレムトレインの壁を取り除いて中を見る。そこには、ぐったりとした状態のルツたちがいた。


「うわぁぁっ! マベッツ様! ルツさん!」

「うーん、レコネ、ニア、大丈夫か? 聞こえてるかー?」


 目を回した彼女らが目を覚ますまで、しばし時間がかかった。


 *


「よくまぁそんなことで、表側から、ここまで来られたね」


 呆れ顔のサンゴは、その黒髪を振りながらマントを取る。くるくるとまとめると、それを小脇に抱えながら三つ首竜の頭に手を伸ばす。


「ブリュー、少し周りを旋回しながら警戒してくれるかな?」

「――!!」


 主人の言葉に、三つ首竜は同意したように咆哮を上げて飛び立った。魔獣を使役するデモンズ、その特徴に間違いなく当てはまる。俺がネメアを殴り倒して従えたのとは、まったく雰囲気が違っていた。


「マントを取って大丈夫なのかい? 我には地底の太陽でもきついのだが」

「そういう君はリッチだね。防寒用だけどこれ、使うかい?」


 冥闇魔術を得意としたと言うリッチと魔王。その子孫である二人だが、太陽光への耐性は違うらしい。差し出されたマントを、マベッツは手で制した。

 しかし、防寒用ということは、この空の上は寒いのだろうか? 一般的に上空へ向かえば向かうほど気温は下がる。だが日光の紫外線は山を登れば登るほど強くなる。

 その関係性が、この地下世界でも適用されるのか。


「マベッツは降りれたけど、ルツは大丈夫か?」

「む、無理ですかね? ちょっと、立てそうにないです……」

「レコネも似たような感じで、ニアは気絶しちゃってるか」

「飛ばされたボクはむしろ幸運だったかもしれませんね」


 思ったより回転した車内は大変だったようだ。


「悪いけど、仲間を休ませられる場所はあるか? 悪魔獣(デモンズ)……じゃなくて、この地下世界や、ナンロルのヒトたちについて、聞きたいことや話したいことがあるんだが」

「いいよ。ウチに案内するよ」

「本当か? 助かる」

「気にするな。それより、馬も何もなしで、本当に動くのか?」

「大丈夫。案内してくれ」


 初めて出会った地底人、否、ナンロルのサンゴは、快く俺たちを案内してくれる。

 その厚意に甘えて、俺は彼女の後ろをゴーレムトレイン改めゴーレム装甲車で走って行く。

 地底世界の探索は、順調な踏み出しを見せた。




少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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