第二十三話「先住者」.1
「初代魔王の種族であった悪魔種は、魔獣を使役する力を持っていたのと同時に、魔術師としても逸材であった。軍隊のように使役された獣たちと、最強の魔術師。人類がどうしてこれで滅ぼされなかったか、疑問なくらいよ」
ゴーレムトレインのタイヤを大型化し、オフロードタイヤのように変化させる。車両の数も少なくし、どちらかというと装甲車のような見た目に変化する。
岩盤を掘り進むために接触面積は小さくさせたほうがよかった。しかし、今回は単純に彼女らを運搬するだけなので、タイヤは大きく、車体は平べったく広くて問題ない。
「しかし、ここは広いのぉ。見た目に現実感がない故、少し狭いように思えてしまうな」
「地面が上に向かって伸びているせいで、どこか狭いように思えますけどね」
天井を開けて、ハダンは周囲を見渡す。俺たちのことを遠巻きに見る獣たちを、ハダンは睨み返すように見た。基本的に見たことのないものに対して、獣たちはヒトよりずっと警戒する。
四×十メートルの巨大装甲車、サイクロプスでも寝転がれるだけの大きさを持つ。地球で言うなら、ゾウとライオンの対決に近い。群れからはぐれた幼体ならともかく、成体のゾウに襲いかかるライオンはそうはいない。
「少なくとも、多少の動物たち程度なら、防壁さえ作っちゃえば問題なさそうだな」
「ネメアと同じくらいでっかいライオンもいますけど、襲い掛かってはきませんね」
「怪獣レベルの奴ら対策は必要になるなぁ」
地球の常識でばかり考えてはいられない。小型の生物でも、もしかしたら驚異的な捕食能力で、怪獣を倒せてしまうかもしれない。
「マベッツ、レコネ、周りにいる獣たちの姿、見たことはあるか?」
「刃王獅子に似た巨体じゃが、同じかどうかはわからんの。あれは決して地上でも数が多い獣ではない」
「先ほどから上空を大型の飛行生物が陣取っているようです。ドラゴン種の特徴が見えますが、正確なことは……」
見覚えのある生物もいれば、初めて見る生物もいる。
少なくとも、ここは地上にとって失われた世界だ。何が残って、どう変化したのか、地上にいた者たちには見当もつかない。
「もしかしたら、それこそ地球のSF作品みたいに、突然恐竜がぬっと顔を覗かせることだって――」
「グォォォ?」
獣の唸り声がした。走っている装甲車の真横。背びれのような巨大な岩の影を通り過ぎた時、それは現れた。
太ましく、強靭な爪を持つ健脚、後ろ足とバランスを取るように小さくなった前足。丸太のように太く鞭のようにしなやかな尻尾。
そして、見る者全てを威圧し、平伏させるような巨大な牙を持つ顎。
「Tレックスかよ」
「グォォォォォォォッ!!」
咆哮が、俺の加速を後押しした。
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