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第二十二話「広がる世界」.2


 地球の中心はどうなっているのか。

 SF作品はもちろん、多くの科学書、研究論文で、その内容は議論されてきた。その中で、まず真っ先にありえないとされたのは地球空洞説だ。

 少なくとも、地球に地底人は存在しない。


「俺だって、魔王が地下世界出身かもって聞いたとき、期待は膨らんだ。けど、同時に不安も感じたよ」

「テフノ様も、不安を?」


 テフノ様『も』――ルツの問いかけに、もちろんと俺は応える。


「そもそも、俺が想定していたのは、古代人の地下都市があるかどうかくらいで、この大地と遜色ない巨大な世界が、地下空間に存在しているかもしれないなんて思っていなかったんだ。あったらいいなとは思っていたけどさ」

「あったらあったで、困ったことなんですね」

「常識が通用するかどうかもわからないからね」


 現に、今ゴーレムトレインの外では超高濃度魔子を観測している。

 それを吸収した強化付与(エンチャント)物質装甲は、驚異的な強度を発揮するのと同時に、その表面に急速な劣化を観測している。まるで一気に時間が過ぎ去ったかのような、奇妙な現象だ。


「大量の魔子に影響されて、物質が崩壊しているのか? マベッツ!」

「我に聞かれてもわからぬぞ! このような超高濃度魔子、地上にももちろん、地下遺跡でも見たことがない!」


 マベッツも、全ての魔子関連現象を知っているわけではない。特に地上ではこんな高濃度の魔子溜まりが存在しないため、そこにエンチャント物質を突っ込んだらどうなるかなど、わかるはずもない。

 鉄が急速にさび付くように、エンチャント物質の装甲が劣化していく。これが通常装甲だったら、今頃どうなっていたことか。


「今更引き返せない。高濃度魔子領域の突破まであと十分かかる! それまで耐えて見せるからな!」

「うわわっ! すっごいギッコンバッタンしてる!!」


 ニアだけは楽しそうにしているが、周りは席にしがみ付いて振動に耐えている。

 気づけば地下十万メートルをすでに超えている。地球で人類が到達した、最高到達地点。そこから先を超えて、俺は潰れて果てた。

 今その最後を超えて、最果てへ。


「加速する!!」


 岩盤や土石に覆われている視界が、膨大な魔子の光に包まれていた。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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