第二十話「材料調達完了」.2
ルツの持つスキルは、父トバルと似ている。
その中には麻痺の魔眼があり、封印状態のスキルとして『覚醒眼』の名前があった。その開眼条件はいまだわからない。それなしでも、彼女の力は十分強力だ。
「動きが止まった! テフノ様!」
「簡易版ゴーレムトレイン、形成完了! 全員乗り込め!」
一気に大量の魔子を放出。ゴーレムトレインを形成すれば、金剛宝蛇竜の視線は俺に向く。それまで覚えていた眠気を吹き飛ばし、自分の巣穴に侵入して好き勝手する不届き者への怒りに満ち溢れる。
「だがもう遅いんだよ!」
すでにゴーレムトレインは形成完了。マベッツ、ハダン、レコネに続き、最後にルツが乗り込んで、あとは発進するだけ。
そう思った時、グローツヴルムの体内に超高濃度の魔子が発生。圧縮され、巨大な魔力塊として口元に現れる。
「ドラゴンのブレス!?」
「まずい、さっさと逃げよ! 吹き飛ばされるぞ!!」
マベッツの焦った声がする。言われるまでもない、すぐさま脱出するべきだ。というかすでに車輪は動いている。
外に繋がる洞窟へ向けて一直線に加速して――。
「ぐわっ!?」
突然、視界が暗転する。
違う、上から降ってきた岩に前方が塞がれた。グローツヴルムが振るった尻尾で飛ばされてきた岩が、ゴーレムトレインに直撃したのだ。簡易版で小さいため、横からの衝撃には重量の関係で強くない。
外装は回収した強化付与物質できているため問題ないが、車体が傾いたのはいただけない。
「ぬぬぅぅ、中のみんな、大丈夫か?」
「ててて……テフノ! 早う起き上がれ! 来るぞ!」
「わかってるって!」
車体側面からアームを出現、一気に車体を起こして走り出そうとする。だが、出入り口に落ちてきた岩が、こちらの侵攻を妨げる。
「岩石粉砕用ヘッド形成!」
それでも車体の形状や特性を変化させて対応しようとするが、それはわずかなタイムラグになる。
奴のチャージは、すでに終わっている。
「突破が間に合わない……防御形態!」
周囲に魔子を放出。さらに大量のエンチャント物質を集めて簡易的なシェルターを形成し、奴のブレスに耐えようとする。ワイアームは地の属性にあたるドラゴン。吐き出されるのはあらゆるものを打ち倒す砂嵐のごときブレス。
だが、奴の巣穴の周囲の土地は砂というより岩石が多い。打ち出されるのは、圧縮された岩石であろう。
つまり、隕石を叩きつけてくるようなものだ。
「衝撃に備えろ!」
さすがにドラゴンのブレスに生身で耐えられる生物は、ドラゴン以外にいない。ゴーレムの耐久力で、どこまで耐えられるか。
ふいに、周囲に広げていたセンサーに、小さな影が飛び込んできた。
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