表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/93

第十九話「坑道突入」.4


「この巨体、金剛宝蛇竜(グローツヴルム)と呼ばれる、特異個体ではないか?」


 マベッツの疑問に、全員の視線が彼女へ向く。

 何それ? という表情のルツたちに、マベッツは解説を加えた。


「宝石や貴金属を大量に捕食したワイアームが辿り着く進化形態でな、この巨体と表面に浮かんでおる宝石のような輝き。上位神聖獣(ハイエストビースト)がさらに進化した個体として、長年発見数の少ない研究対象とされておったわ」

「なら余計に手を出さないほうがいい。さっさと回収するもの回収して、帰るとしよう」


 ハダンの頭から飛び降りると、地面に魔子を広げていく。なるほど、このワイアーム――グローツヴルムによく似た気配を感じる。だがお目当ての強化付与(エンチャント)物質であることに変わりはない。

 俺の広げた魔子とよく馴染み、形状の変化もさせやすい。


「よし、これならたくさん回収できそうだ。ゴーレムトレインを造ったらこのまま帰ろう」

「あの、テフノ様……」

「ん? 何?」


 ズズズ、と何か動く音がする。ルツの視線を辿っていくと、ギラリと光る双眸がこちらを睨み下ろしていた。


「さっきまで爆睡してなかった?」

「おぬしの魔子を感じ取って、巣穴を荒されたと思ったのやもしれんな」


 冷静に答えるマベッツは、直後に全速力で走り去っていた。


「全員伏せろ!」


 俺の声に反応して、ルツやハダンが頭を庇うようにしゃがみ込む。同時に俺は周囲のエンチャント物質を腕に整形し直し、地面にいる俺たちを庇う。

 大音響の咆哮、振り下ろされた尻尾を土の腕が受け止めた。


「なんとか……こいつを沈めさせないと……!」

「テフノ様、ボクが!」

「任せる!」


 ハダンのすぐそばに、エンチャント物質で造った刃を出現させる。彼はそれを握ると、地面を蹴ってグローツヴルムの体を駆け上がる。魔王の懐刀と呼ばれたその機動力には目を見張るものがあった。宝石のような鱗は簡単には刃を通さない。


「無理して攻撃する必要はない。俺が回収できるまで、時間を稼いでくれればいい!」

「承知しています!」

「ハダンくん、私も援護を!」


 ルツは懐からサイクロプスの小刀を取り出すと、それで指先を刺す。プクリと血の玉が浮かび上がると、それをグローツヴルムへ向けた。


「雷獣、招来。ブロントテリウム」


 指を弾くと同時に、血の玉が飛ぶ。それは彼女の魔子を含んでおり、空中で形を成していく。

 空中を走る雷の塊が、体を走るリスボンを追いかけるグローツヴルムの眼前へ迫る。


「ハダン、戻ってこい!」

「はっ!」


 空中で姿勢を整えたところで、空を蹴って戻ってくる。初めて会った時はサイクロプスに襲われていた彼らが、さほど強い種族と感じる機会はなかった。

 だが、空中での姿勢制御、グローツヴルムを駆け上がる速度。その種族の異名に偽りはない。


「マベッツ、やってくれるな?」

「任せておけ。ハイエストビーストに、我が冥闇魔術は効果てきめんであるが故!」


 したり顔で言い放つマベッツの手の中には、漆黒の雷が球体上になって唸りを上げていた。


少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ