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第十八話「リッチの気持ち」.1



 ドラゴン、それは世界最強の存在――。


 ――と呼ばれていたのは今は昔。

 今では多くの種族が度重なる魔術による文字通りの種の魔改造。様々な道具の発展。種族的衰退などのいろんな要素が相まって、ドラゴンというものが最強種とは呼ばれづらくなっている――というのがこの世界の事情らしい。


「ドラゴンかぁ。会っては見たかったけど、戦えと言われると困るなぁ」

「初めてネメアと出会ったときも、怪獣やら神聖上位獣(ハイクラスビースト)の存在に、ゴーレムの目を輝かせておったからの」

「肉体的に性別はなくても、魂は男の子のつもりだからな」


 かつてはヤーム樹海にもドラゴンはいたらしいが、戦争の中で討伐された


「遺体も残っていないの?」

「ニンゲン共によって討伐され、骨の一欠けらに至るまで奴らに持ち替えられたわ。ある程度残っておれば、我がドラゴンゾンビとして蘇らせたものを」

「……多分、それを恐れて、持ち帰ったんじゃないかな」


 久方ぶりに、目の前のミイラが死霊魔術師だということを思い出した。


「それで、地底竜(ワイアーム)っていうのは、どんなドラゴンなんだ? 強いのか?」

「ワイアームは、蛇型ドラゴンの一種で、地上に出れば翼で飛行することも可能な個体じゃ。しかし、生涯のほとんどを地底で過ごす故、あまり見たことがあるものは多くない。地下のマグマを食料としていると言われるが、目撃例自体が少なく、あまり生態的にもわかっていないことは多いのぉ」

「なるほど。未知のドラゴンってところか」


 ワームと呼ばれる、芋虫や蛇に例えられるドラゴンが、地球にもいた。どちらかというと、空を飛ぶドラゴンの下位互換的な存在で、ゲームなんかでも雑魚扱いになりやすい。そもそも蛇と一緒くたにされてドラゴン扱いされていないなんてこともある。

 だが、この世界では真っ当なドラゴンで、むしろ目撃例の少なさゆえに、神秘性を保っている。たとえ地底に住んでいようと「、ワイアームも紛れもなくドラゴンだ。

 油断は、本当に命取りになる。


「何より問題は、倒しちゃいけないってところだよな」

「そこはネメアの時のように、説き伏せればよかろう」

「説き伏せる(肉体言語)――ってことか」


 マベッツの言葉に、俺はない肩を落とす。結局、強行突破しか方法はない。


「他に、ワイアームで何かわかっていることってあるのかな」

「うーむ、ドラゴンの最大の武器であるブレス。個体ごとに炎やら雷やらがあるが、ワイアームのそれは確認されていない。地底ゆえに使う機会が少ないため衰退したとする意見もあるが……」

「単純に、使ったところを見たことないってことだ」


 ならば、今日は新発見の日になるかもしれない。

 俺たちは、レコネの案内で、スプリガンの坑道へと向かった。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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