第十五話「新素材を求めて」.4
スプリガンは、人魔統一国家の掲げる平和統一に迎合できなかった。長年戦ってきたからというのもあるだろう。マベッツが知るスプリガンの集落は、リッチの集落に近い場所にあり、人間との戦いの最前線になったと言う。
だからこそ元の集落を捨てたとも考えられる。
「それで、今のスプリガンたちはいったいどこにおるのじゃ? 我は奴らの移住地を知らなんだ。うまく隠し通しておるのだな」
「スプリガンはもともと小さな種族ですから、森の中を歩けば非常に見つかりにくく、土を操る術に長けていますからなおさら隠れるのは得意なのでしょう」
「そのスプリガンたちの住居の近くに、坑道でもあるのか?」
「スプリガンたちが住んでいるのはもっと南の地域で、山岳地域ではありません。しかし、その装飾品には強化付与された宝石が使われておりました」
だから、ルツはスプリガンの集落に行くことを提案したのだ。
「それは、ボクも見た覚えがあります!」
ハダンにも覚えがあるようだ。子どものように手を上げた彼は、ルツの言葉に同意した。
「スプリガン殿はボクたちの集落にやってきて、統一国家からの圧力を受けていないか、他の種族から攻撃されていないかなどを聞いてい回っていました。この樹海の守護者と呼ばれていたスプリガンたちは、集落を変えてもボクたちを気遣ってくれていたみたいです」
「スプリガンたちは、君たちを守ってくれていたんだな」
「はい! 彼らは、僕たち樹海の者たちにとっては英雄のような存在です!」
ヒーローのことを語る子どものような顔をするハダンに、なんだかほんわかした気持ちになりながら揺れながら頷く。
そんな種族だったら、会いに行っても怒られることはないだろう。
「よしわかった。この風穴周辺の採掘は後回しにして、スプリガンの所に行こう」
話している間も、この周囲のスキャンは行っていた。しかし、魔子の発生源が地下にあり、その周囲に資源となりそうなものはあまりない。どちらかというと、風穴の壁面や、より火山に近い場所に流れ出た鉄鉱石などが確認できた。
普通にサイクロプスたちに発掘と精錬を頼めば十分強い素材になる。
だが、それ以上に強力なものができれば、地下世界への探索はより進むだろう。
「ゴーレムトレインで集落の近くまで進もう。スプリガンたちと交渉して、エンチャント物質を手に入れるんだ」
「案内は私がいたしましょう。私のことを覚えていてくだされば、話は遠しやすいかと」
「ボクもお手伝いします! その、ボク自身がスプリガン殿とお話ししたことはないんですけど」
樹海の守護者、そう呼ばれる者たちがどのような答えを返してくるのか。
地下世界を開拓していくためには、エンチャント物質が必要になる。同時に、突如現れる怪獣から身を守るための力としても必要だ。
「よし、ゴーレムトレイン発進準備完了。南方向へ向けて移動を開始する」
次に仲間にするべき者たちは、スプリガンだ。
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