第十五話「新素材を求めて」.2
期待に(胴体すらないけど)胸を膨らます俺に、マベッツは首をかしげる。
「そなたが何をそんなに楽しそうにしておるのか、正直よくわからんが……」
「それはごめん」
「この地の底より溢れる魔子に近づくというのなら、心して掛からねばならぬな」
ただ問題は、この先の地下空間がどうなっているか。
アカシックレコードからダウンロードできた情報では、確かにこの先に空間が存在する。およそ地下千メートル、そこに俺の探す地下世界があるはずだ。
ただ、この情報では空間があると言うだけで、そこに生物が存在できるかどうかまでは不明だ。未観測状態、と表示されているそれは情報不足ということか。
「けど、今の俺が作れるゴーレムの体じゃ、もしもの時の強度が心配だな」
「地の底の圧力というのは、潜れば潜るほどに強くなるのだろう? 厚みを持たせればよいのではないか?」
「それでもいいんだけど、俺が作るものは、大きければ大きいほど、魔力の消費が多いんだ。装甲の厚みを増したり、数を増やしたりすれば、相対的に消費量も増えていく」
「つまり、移動するだけでへとへと、と」
「ああ。その状態でもし目標地点の圧力がさらに高かったりしてみろ。俺ともどもみんなペシャンコだ」
アカシックレコードに情報がないと言うことは、知的生命体に属する者が、未だに観測したことがないということだ。この場合だと、未来に至るまで知的生命体による観測が行われなかったから、情報がないのかもしれない。
そう思うと、このまま無策で突っ込んだ場合、確実に圧力に押し負けるのだろう。
「金剛界曼荼羅はあくまで一時的なバリア機能でしかない。鎧袖逸飾も通常のセラミック装甲の域を出ない。厚みを増しただけじゃ、耐えられないかもしれないんだ」
「そのあたりは我にはよくわからぬが、つまるところより強い鎧が必要なのじゃろ?」
「その通り」
合金開発は俺が手を出せる分野じゃない。金属組成や耐久限度などの知識は学んでいても、その合金を造るためにどんなプロセスを踏んできたかまでは不明瞭だ。
「ならば、魔子が濃くなればなるほど強固になる素材を使えばいい」
「……それしかないな」
元の素材が強くなれば、開発にかかる時間それ自体を無視できる。
「手に入れるしかないな。強化付与された装甲材を」
サイクロプスも使わない希少金属を求め、俺たちは人魔統一国家へ行くことが確定した。
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