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第十四話「アザーワールド」.4


「よし、風穴の調査は完了だ。みんな、さらに地下へ向かうぞ」

「さらに地下、となるとかなり魔子の反応が濃いぞ」


 マベッツが下を見ると、皆一様に下を見る。

 俺のセンサーにも反応はビンビン感じている。そもそも、マベッツの説明を思い出せば、魔子というのは本来大気中に存在するものだ。


「じゃが、魔子の発生源というのは、数百年の間論争が続いて、決着がついておらぬ。遥か彼方の空の果てから降ってくるという意見もあれば、海から沸き上がる、地より沸き上がる、または空中に自然発生的に現れるという意見もある」

「微粒子だから、観測できないんだよな」


 ラプラスの魔みたいなものだ。この世界にニュートリノ観測施設があるわけでもなし。目に見えるほど輝いているわけでもない。ただぼんやりと、その存在を感じ取れる。


「しかし、今ならその発生源論争に決着を付けれそうな気がしておる。まさか、こんな近くの、ごく浅い空間でこれほどの魔子を感じ取れるなど、思いもしなかったわ」

「でも、明らかに浅すぎる。たった地下五十メートル程度の場所に、そんな空間があるわけがない」

「何か、不満なのか?」

「少し考えと違う部分があるから、どういう理由なのか悩んでいるだけさ」


 予想では、この星の地下にある虚ろな空間は、もっと地下に進んだ先にあるはずだと予想していた。もしくは、空間的に隔絶された場所にあってもおかしくはないと考えていた。

 なのに、現状の感覚では、その場所はすぐ足元を掘り返したら到達できそうな場所にある。


「違う。近すぎるのは錯覚に過ぎないのかもしれない」


 星の内側――否、裏側に通じるのだとしたら、この魔子というものが現実を改変するだけの効果をこの空間にもたらしているのだとしたら。


「この魔子の反応を辿れば、そこに行きつくのか?」


 マベッツも感知できている膨大な量の魔子。それが単なる漏れ出たものでしかなく、この先には星の内側に通じる(ゲート)、ないしは(ホール)がある。

 通常の移動では決して到達できないながら、特定の場所からならば侵入できる、隔絶空間が、この星の内側には存在する。


地球の裏側ビハインド・ジ・アースならぬ、異世界の裏側ビハインド・ジ・アザーワールド……ゴーレム・コア!」

『検索情報を提示してください』


 頼るべき時が来た。検索回数が限られているのなら、慎重に使うべきだ。ならば、今がその時だ。


「検索条件、地下空間の魔子反応、地底世界の存在。移動方法。検索対象、『この星の正体』!」

『検索条件確認、人工脳回路を虚空情報統合体に接続。習得残数、一単位を消費し《ホロウ・スペース》へのアクセス情報を取得』


 ホロウ・スペース、それがこの異世界の裏側にあるものだ。


『最大到達深度、六十万。アクセスルート開示。残数消費を確認。データ・ダウンロード』


 直後、俺の脳には先ほどの音波マッピングとは比べ物にならない速度で情報が書き連ねられていく。

 この星は、こんなに大きかったんだ。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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