第十四話「アザーワールド」.2
街作り――都市計画の基本は、交通整備と人員整備。
もっとも、そんなの専門家に任せればいい。俺は地底調査の専門家だ。アリの巣を作るのならまだしも、地上に住みよい理想郷を築くなど夢のまた夢の話だ。
シムゲームは好きだが。
「地下都市を造るにしたって、それなりの広さが必要になるけれど、この地下にある空間は、その規模を超えている」
ヴィィィィィンッ! と先端の振動発生装置が地面を柔らかくする。ゴーレムトレイン全体の回転を加えることで掘り進み、地下へ進む。
リスボンたちの井戸が比較的浅いことから、大深度地下に当たる風穴の周りは、ある程度保水性の高い地層があるかもしれない。そこは日本の樹海とは違い、このファンタジックな世界特有の土地柄であろう。
「風穴に誰か住んでいることとか、あるのかな?」
「時折私たちも風穴の中に、黒曜石や宝石類を取りに降りることはありましたが、入り口がさほど広くないので、あまり立ち入ることはありませんわね」
「住んでいるとして、コウモリくらいかな?」
ルツとハダンの言葉に、そうかと俺は頷く。障害は基本ないほうがいい。ヴォロードガヴィルのようなトンでも生物が住処にしているよりずっとマシだ。
そもそもサイクロプスが長年住んできた火山のマグマでできた風穴なのだ。たとえ何かが住み着くにしても、彼らの目を掻い潜れる存在でなければ風穴に住み着くことはあるまい。となると、やはりコウモリのような小さな生物に限られる。
「風穴内を軽く調査したら、さらに地下を目指すぞ。俺の目的地は、そっちだからな」
風穴周辺の岩盤を突破。広く長い、風穴へと到達した。車体を水平に戻し、ハッチを開く。
「はぁ~、風穴にこんなに早く降りられるなんて。狭い洞窟を抜けるだけでも、結構手間なのに、テフノ様はすごいですねぇ」
「サイクロプスたちには、いずれここを整備してもらおうかと思っているから。そうしたらリスボンの集落からも、サイクロプスの集落へも移動が楽になるかな」
目標としては日本の地下鉄・地下街だが、商業的利益を出したいわけじゃない。天候に左右されず、安全な道を確保できれば利便性は高いので、そこさえ達成できればよし。
何より、風穴というものを崩すのは、地質学者という立場からも心苦しい。
「金属レーダー広域放射、感知性魔子散布、音響センサーマッピング開始」
『命令実行、照射開始』
ゴーレム・コアがこちらの指示に従い音波や電波を放出する。空間をマッピングしながら、どこにどんな物質があるかを把握していく。軍用レーダーですら感知できないような領域まで把握できるのは、魔子の影響によるものだろう。
この地下空間、ところどころ水が溜まっている。そこに手を突っ込んで調べれば、温度は四十から八十度ほど、塩素濃度が高いところもあったり、砂鉄を感知したり、なかなか地下資源に恵まれている。
「これがシムゲームだったとしたら、結構なイージーゲームだな」
少なくとも、この風穴開拓は順調に進めれそうだった。
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