第十三話「地下世界へ向けて」.2
まず、感知した地下空間について。
「具体的な広さや、気温、湿度なんかについては、まだ不明朗だ。ただ風穴というには広すぎるし、地下水脈というには広すぎるし、水の反応がなかった」
「つまり、この樹海の下には、ドワーフたちの坑道や、ゴブリンたちの集落のような広い空間があると、おぬしは考えておるわけだ」
初めて出会った異種族がリスボンとサイクロプスだったため、あまり考えていなかったが、やはりそう言った種族もいるのだろう。
エルフ、ドワーフ、ゴブリン、異世界御用達三種族セットとは、いつか相まみえたいものだ。
「俺の体なら、その場所には簡単に移動できる。だからまず、俺が行ってみて住みよい場所なら、開拓の計画を立てる」
「しかし……確かに奇妙な奴らが蔓延っているとは言え、地下に隠れるまでしなくても」
「うん、実はその通りなんだよ」
俺の言葉に、ルツとハダンは疑問符を浮かべる。そう思っているならなんでわざわざ? と。
「地下世界を開拓しようと思うのは、俺の個人的な趣味も大きい。ただ人魔統一国家とやらが諸手を上げて歓迎できる相手ではないし、ウォヘブ・アオバみたいなバカとエンカウントするような地上で、平和に暮らせる都市を造ろうってのも、厳しいように思う」
それに加えて、つい先ほど聖天使からの忠告を受けた。
「そして最大の問題だがな」
「ん? そんなものあったか?」
首をかしげるマベッツに、俺は存在しない呼吸器官でため息をつきながら答えた。
「こいつが放っておくと故郷や人魔統一国家に喧嘩を売りかねないから、やること与えて余計なことをさせないほうがいいんだ」
「喧嘩……?」
「そう。そもそもこいつがリッチのくせにこんな場所に一人でいるのは、故郷を追放された復讐のためだ」
えっ!? といった表情で、二人はマベッツを見る。その視線に、彼女はどこか誇らしげに胸を反る。
「ふははっ! そう我は復讐を誓った誇り高きリッチ! いつか人魔統一国家の支配を撃ち破ることこそ、我が大願よ!」
「――というわけで、マベッツには仕事をがんばってもらって、余計なことをしないようにしてもらう」
俺はマベッツが人魔統一国家に喧嘩を売って返り討ちにされたとしても、それは彼女の自業自得だと思うだろう。だからと言って見捨てたいわけじゃない。
彼女が復讐だの反撃だの考える必要のない、彼女の居場所を造ればいい。
「確かに地下世界を開拓するのは、一筋縄どころの話じゃないし、どんな障害が待っているかわからない」
計画の修正、方向転換なんて、何度だって経験してきた。
「何はともあれ、まずは事前調査から始めよう」
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