表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/93

第十二話「天の啓示」.1



 樹海の一角が、消し飛んだ。

 射角が浅かったせいだろう。わずかに地面に向いていた砲身から放たれた砲弾は、放物線を描くこともなく、マッハ十以上の速度で地面に直進した。その結果、ごく小さな弾丸のはずが着弾地点を大きくえぐり、俺のバリアで衝撃の発生方向を限定した結果、目の前で放射状に広がった。

 二倍の衝撃が鎚君主鰐(ヴォロードガヴィル)とその周りの木々に襲い掛かり、消し飛ばした。


「うーん、チャージしすぎたか?」

「恐ろしい威力ですな。これが、テフノ様の雷電魔術の威力なのですか?」

「あー、うん。そう。お前の助けが必要だけど、そんな感じ」


 堅土超雷土砲我改(ローレンツ・バスター)は、地球最強の実弾兵器レールガンを再現した魔術だ。

 俺たち地底調査チームは、いうなればSFオタクの集まりだ。地の底、海の底、天の向こう側、前人未到の空間に夢を馳せ、それを題材にした物語に浸ってきた者たちだ。


「レールガンとレーザー、どっちが強いか論争よくやったなぁ」


 旧世界の思い出に少しだけ浸りながら、トバルに近づくように指示を出す。土台として支えていたパーツを分離し、俺はトバルの右腕に装着されたままの状態を維持した。

 トバルは俺をヴォロードガヴィルのいた場所へ向けながらゆっくり近づく。生前大好きだったゲームの主人公(の武器)になった気分を抱きながら、周囲を調べた。


「センサーに反応なし、完全に消し飛んだみたいだな」

「そのようです。これを」


 トバルが地面から拾い上げたのは、重厚な楕円形の鈍器――否、骨だ。

 着弾地に発生した熱と衝撃は、命中したヴォロードガヴィルの肉を吹き飛ばし、強固な骨だけを残すことになった。

 尤も、直撃した部分は消し飛んでいるようだが。


「戦利品として取っておけよ。ネメアに見せたら、喜ぶかも」

「骨を与えられて喜ぶのは、猫ではなく犬ですぞ」


 細かいことは気にしない。

 それよりも気にすることはいっぱいある。


「トバル、移動時間が惜しい。俺をあの方向に全力で投げろ。あとから追いかけてきてくれ。マベッツとルツのいる方だ」

「ルツ……テフノ殿、どうかお頼み申す」

「ああ、任せろ」


 レールガンを解除した俺は、トバルの手に乗った。彼は豪快に腕を振るうと、俺を指定した方向へぶん投げた。ほぼ円形の形状だ。大きな空気抵抗を起こす構造はしていない。

 高速回転しながらもレーダーは正常だ。三半規管を失った今のおれは、眼を回すこともない。レーダーに動かないマベッツとルツを見つけ、さらにもう一人誰かいることを確認した。


「マベッツ! ルツ!」


 トバルの投擲は完璧だ。二人の少し後ろへ着弾した体はゴロゴロと転がって停止。二人と見知らぬ誰かとの間で停止し、細い手足を伸ばして起き上がる。

 戦闘音がしていないため、その点は安心していた。

 だが、何者かがいると言う点は、安心できなかった。


「テフノ様!」

「遅かったじゃないか。テフノ。あのデカいワニに、案外苦戦したみたいじゃの」

「君の冥闇魔術で貫けないであろう硬い鎧をまとった大魔獣だぞ。少しは労わるつもりがないのか」

「勝つと信じておったからな」


 リッチの乾いた笑みに、俺はない肩をすくめた。


「まあいいや。で、こいつは誰?」


 その疑問を、視線とともにぶつけた。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ