第十一話「豪砲一発」.4
「トバル、次で決めるぞ」
力強く言い放った俺に、トバルはその単眼を向けた。彼の目の上の角にしがみつく形の俺に、彼は短く頷いて答える。
「承知しました。いかようにすればよろしいですか」
「ヴォロードガヴィルを、少しの間引き付けてくれるか。その間に、あいつに勝つための武器を造る。けど、その間鎧の再生はできないぞ」
武器職人であるサイクロプスに対し、俺が武器を造るというのがおこがましい気がする。
だが、この世界にはないものを造るのなら、それは俺の役目だ。
構造がわかっていないものであっても作れてしまうのなら、構造が少しはわかっているものはもっと正確に作れる。
「頼んだぞ」
「お任せあれ!」
俺はトバルの頭から飛び出すと、地面に転がりながら頭の中から聞こえる声に耳を傾ける。作業開始だ、ゴーレム・コア!
『エンシェント・ゴーレム、個体名:テフノ=ルギアに通達。人工脳回路の記憶領域から物質構造を抽出。仮想構造体を形成開始。虚空情報統合体に接続。構造計算を開始。情報所得残数、構造計算のみため減少無し。エネルギー生成炉はサイクロプス、個体名:トバルが存在することから不要。生体動力との接続口確保、完了』
「今トバルのことパーツ扱いしなかった?」
自分の精神が宿っている肉体(無機物)の言動が少し恐ろしい。
こっちは間借りさせてもらっている状態だから文句は言えないが、とりあえずトバルの存在を前提とした構造を作ってくれているようだ。
トバルは足裏から放出する雷電魔術の加速でヴォロードガヴィルを挑発しながら時間を稼いでくれている。急がなくては。
『構造計算完了。必要物質を選定開始、機体内魔子を広域解放』
地面に向けて流し込む魔子が、必要な素材をどんどん見つけていくのを感じる。それらを一気に吸収し、俺が自分のないはずの長く太い腕を伸ばしたような気分になる。
俺が作り出しているのは、理論上、人類が作れる最強の実体弾兵器。
「弾体加速兵器、形成完了」
要するに『レールガン』である。
これは、二本のレールで、弾丸挟み込むことで加速させ発射するもの、というざっくりしたイメージと説明ができる。その構造を、俺の体で再現した。
その性質上、長いレールと膨大な電力さえあれば、亜光速まで加速することができるのがレールガンの特性だ。
つまり、今のごく短い砲身ではさほど加速力を出せない。
「だけど、俺はゴーレムだ」
構造を自由に変更できるなら、何も砲身は完全にまっすぐでないといけない――わけじゃない。腕をさらに延長し、体の前でループを造る。弾丸の加速領域を展開。横に倒したαのような形状が出来上がった。
「トバル、戻ってきてくれ!」
俺の呼びかけに答えたトバルは大きく跳躍して俺のもとに来ると、いかにも手を入れるべき穴を見つけて拳を突っ込む。
「これでよかったのでしょうか?」
「最っ高! 一気に雷電魔術を放て!」
トバルは疑問を挟むことなく、雷電魔術を放出。雷の属性を持った魔子が俺の体内を循環し、生成した弾体、レールに流れていく。
加速し始める弾丸。ヴォロードガヴィルがこちらに気づいて接近してくる。けれど、その間に加速は十分溜まっている。
ループから弾丸を解放し、射出口をヴォロードガヴィルへ向けた。
「堅弩超雷土砲我改、解放!」
空気を突き抜けて、導電体の塊が放たれた。
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