第十一話「豪砲一発」.1
リスボンの里に出現した、上位大魔獣:鎚君主鰐。
モササウルスの頭を持ったアンキロサウルスと言った見た目のこの大魔獣に対抗すべく、俺はトバルの鎧となって彼を守る。
「鎧袖逸飾!」
発動した土石魔術は、今まで何度か使用したバリアを発生させる《金剛界曼荼羅》とは違い、衝撃吸収性に重きを置いている。地面から回収した物質を組み合わせることで、俺特製の逸品に仕上げたのだ。
大地から吸収したチタン、タングステン、ダイヤモンドのもととなる物質を重ね合わせた複合装甲――いわゆるチョバム・アーマーだ。
地球の戦車なんかに採用されていた複合セラミック装甲材を再現した。
ゴーレムの「何となくで素材や構造を作り出す能力」がなければ、この土石魔術は成立しない。
「トバル、この装甲は対衝撃性に特化してる。奴のハンマーを喰らっても、めちゃくちゃ痛いけど死にはしない。思う存分接近しろ!」
「お頼み申す。雷神の力、我が足に宿れ!」
バチチッ! とトバルの足の裏に電流が流れる。片足ずつ、地面との反発と吸着を切り替えることで、トバルは加速する。
サイクロプスたちが扱う雷電魔術は、彼らの先祖がまだ神と呼ばれていた時代の名残なのだという。旧魔王の配下の種族の多くも、かつて神と呼ばれた者たちの子孫らしい。
「牙には気を付けろ。あの顎の力じゃ、装甲が耐えてもお前の腕が耐えられないかもしれないからな」
「では、上から攻めましょう!」
五メートルの巨体とは思えない速度で高速移動するトバルは、地面と足の裏の反発を高めて大きく跳躍。突然視界から獲物が消えたことで、ヴォロードガヴィルは首を振って周りを見ている。
普通のワニなら、片目視野が広範囲にわたって視界を確保するため、真後ろ以外のほとんどを見ることができる。
だが、ヴォロードガヴィルの頭部は、ヘルメット状の骨格が広がり上方への視野が狭くなっている。防御力を優先した骨格構造の結果、視野が狭くなるのは、人間の鎧と変わらない。
「雷神の裁きを受けよ!」
腕に纏った雷が、今までの放出型とは違い、明確な形を作り出す。
それは雷のよくあるアイコンのようなものだが、それを腕の周りに八つ。拳と平行に並んだ切っ先が、敵へ向けられた。
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