第八話「サイクロプスの里」.3
ゴーレムトレインにサイクロプスの三人が並ぶ。大きさはギリギリ、何とか収まった。
マベッツはリスボン数名を引き連れて最後尾車両に乗り込み、出発の時を待つ。そして火山に対してまっすぐに伸びたゴーレムトレインが、ゆっくり動き出す
「よし、出発進行!」
ゴーレムトレイン表面の装甲が振動し、周囲の土が液状化する。
本来ならもっと水の混じった土地でしか起こらないのだが、周囲に超音波を放出しながら破砕、全体を大きく、表面を細かく揺らして地面を崩していく。
「掘削開始!」
正面部分に形成した振動ユニットを高速回転。ドリルと振動、その動きが最大になったとき、わずかに持ち上げた車体を地面へ向けた。
柔らかくなっていた地面をヘッドユニットがかき分けて、車体がどんどん進んでいく。円柱型の車体表面の車輪も回転させ、地面に潜る車体を前へ進ませる。
車両ごとに互い違いに回転する車輪によって機体は順調に前へ前へと進む。
「この辺りの土地は、もともとあの火山の噴火でできた土地のようでね。何万年も昔は、火山もよくバンバン噴火していたそうよ」
「それで、風穴が出来上がったんだ」
センサーの先に、地中の空洞が映し出された。同時に多数の鉱石、水晶などの反応がある。膨大な魔子の反応まで感知できた。地上の魔子より、こちらの方が高濃度だ。
魔子の発生源は地中だったのかと思わせるほどの濃度で、車体表面から吸収することで出力は上昇していく。
大量の魔子、そこには奇妙なまでに、質量反応がない。だだっ広い空間があるようだった。
「地中面突破、風穴到達。直進ルート確保、車体水平確保」
「この巨大風穴は火山まで続いているはずじゃ。多少曲がっているかもしれないけれど、地上みたいに遮る木も川もない。思う存分速度を出すがよい」
「出力、全開!」
風穴の中を真っ直ぐゴーレムトレインを進めていく。
「風穴ができているってことは、この火山は休火山なのか?」
「もう長いこと噴火していないと思うが、トバル、最期に噴火したのはいつごろだい?」
「あー、これ聞こえてるんかな?」
「聞こえております」
地中を進む音と車体のせいで声が聞こえていないかと思っていたらしい。魔子の流れたこの体は、接触回線と同じ。中にいる者たちの会話は、全て俺は把握できるし伝えられる。
「それで、最期に噴火したのは?」
「某が子どものころもありませんでした。爺さんの代に、一回あったかどうか」
「それって大体……」
「五、六百年くらい前でしょうか?」
サイクロプスの寿命は、平均で三百年ほどと言われている。ならば、その祖父となれば、六百年ほど前の話になるだろう。
地球の、日本の火山で言えば、その噴火周期は長いもので数千年、短くて二百年。毎週のように噴火する元気なものもいるが、だいたいの火山のサイクルは数百年単位だ。
サイクロプスの火山がどれほどのサイクルかわからないが、噴火のエネルギーは溜まりに溜まっていることだろう。
「何かに使えるかもしれないな、それ」
地熱発電、そんなことをふと思う。
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