第八話「サイクロプスの里」.2
リスボンの村の状況は、この数時間で訪れた時以上に整備されていた。
「ひとまず、これでサイクロプスの村に行くめどは立ったな」
「しかし、今から移動したとしても、到着は明日の昼は超えるぞ?」
マベッツが眺めた先にある山は、遠くに霞んでいた。それでもかなりの標高があるのはわかる。その中腹に、サイクロプスの里はあるらしい。
確かに、ネメアの脚ならともかく、サイクロプスの足では夜通し走ったとしても、相当な時間がかかるだろう。加速系の魔術は、トバルだけなら使えなくはないらしいが。
「どうする? 先行して俺がネメアで駆け付けようか?」
「そんなことをすれば新手の襲撃かと勘違いされるわい。地下空洞を利用し移動すれば、より速いのではないか」
「地下空洞?」
マベッツは、地面に枝で地図を描きながら教えてくれる。
「この辺りは、昔地下をマグマが流れたことでできた風穴というものがあってな。その大きさなら、寝そべればそ奴らでも通れるじゃろう。地上への脱出はそなた自身でやるとして――」
つまり、彼女が言いたいのは、俺がみんなを土やら鉱石やらで包み、地下空洞へ運ぶ。そこを山へ向かう最短距離――つまり流れてきたマグマの流れを遡ることでより早く到達する。
ゴーレムの土中移動速度なら、サイクロプスが移動するよりはるかに速い。
地下鉄ゴーレム、とでも言ったところか。
「普通なら地上を走ったほうが速い気がするけれど、整地はされてないしな」
地面を少し転がって、広い場所へ到達する。炉を造った時と同じ感覚だ。まずは、創り出すものをイメージする。地下鉄、地下空間を進むのなら、シールドマシンのような構造が欲しくなる。この地下にある風穴とやらはどれだけ頑丈だ?
円筒形、サイクロプスたちが寝そべられるだけの大きさ、移動能力を確保するための車輪、それがあれば移動可能だ。
「列車、地下鉄……ゴーレムトレイン!」
設計図は決まった。地面に魔子を流しこみ、形状を決定。構築するのは巨大な貨物列車のごとき車体。その先端には土中掘削用の振動液状化装置を構築。ドリルのように掘削するのではなく、液状化して進むので止まりにくい。
もともと俺の乗っていた地底探査車に搭載する予定だったシステムだけど、技術的には難しかった。
だが、この体なら自由に作れる。超高性能巨大3Dプリンターというわけだ。
「車列は四両。サイクロプス用三つと、マベッツたちの乗るための車両、これで完成だ」
瞬く間に、巨大な、全長三十メートル近い巨大な円筒の列車が出来上がった。
「おお、立派なものができたのぉ。さすがはエンシェント・ゴーレム。これで移動可能じゃろう」
「結構大変なんだぞこれ。なんかこう、体の中からエネルギーが流れ出ていったような感覚がしてさぁ」
「それだけ魔子を消費したってことだ。ほら、出発するぞ」
彼女は容赦なく告げると、サイクロプスたちを呼びに行った。
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