第七話「決着へ」.3
マベッツが言うほどの超高熱。ドラゴンの炎というくらいだから、彼女のあの光線より熱いのだろう。
地底探査車の開発を行っているとき、装甲材の開発を担った町工場へ見学に行ったことや、共同技術研究を行ったこともあった。その時使用したのは、高熱に耐えるための新素材で、実に六千度もの熱量に耐えられるものだった。
ただ鉄を溶かす程度の熱量となれば、二千度もあれば十分だ。たしか反射炉は熱を反射して集中することで鉄を溶かすんだったか?
『耐熱強度は六千度。これなら、いつかダイソンスフィアだって作れますよ!』
新素材の開発担当者が、そんなキラキラした目で語っていたのを思い出す。
その時の特殊合金をイメージし、体を構築する。俺の足元に魔子を展開。箱状の物質を生成していく。ゴーレムが自らの体を土で構成するとき、俺はともかく普通のゴーレムは内部の骨格や関節というものを、意識せず形成できる。
その特性を利用すれば、俺はイメージした物質の内部構造がはっきりしていなくても、形成することができた。
「いうなれば俺は、土石類限定3Dプリンターってわけだ」
足と接続するようにして浮かび上がってきたそれは、まさしく箱。だが、内部には超高熱に耐える溶鉱炉のようなものが存在していた。温度操作は自由自在、さらに内部では熔けないのに動かせるアームもある。常に中のものは監視可能。こんな高性能溶鉱炉、現代の地球にだって存在しないだろう。
「よし、じゃあ中に材料を入れてくれ。お気に入りの温度で燃やすも溶かすも自由だぞ」
「では、リスボンたちが持ってきたものと、これを中に入れたら過熱してもらおうかの」
彼女が差し出したのは、何か白い卵状のものだった。それが何なのかは俺にもよくわからないが、必要とだというのならやればいい。
今はまず、多くの者を助けることが必要だ。
「それじゃあ、熱を上げていくぞ」
「よろしい、炎の色が見えるかの?」
「見えるぞ。隣に温度も表示してあるからな」
炉内部の熱量を上げていくと、中に入れた物質の変化が見えてくる。おそらくこれは錬金術の類のもののように思える。あまり詳しいわけではないが、これは間違いない。
「よし、そこまでの熱量で止めよ。この状態を維持すれば、賢者の石となるじゃろう」
「やっぱりか。でも、何時間維持するんだ?」
「さぁての。簡易版作成でも四日はかかる。じゃが、これだけの密閉性を保っているのなら、それこそ数時間単位で行けるか?」
おそらく、本物の錬金術師が聞いたら卒倒する内容だろう。こんな飛んでもゴーレムが急に自分たちの長年の研究成果である炉を超える炉を形成し、時間を短縮して見せた。
「真紅の色をした賢者の石ができたら、また蒸留酒と混ぜ合わせ、溶液を造れ。比率は蒸留酒8に対し、賢者の石が5じゃ。我は不要そうなものを見て回ってくる」
「ああ。こっちは任せておいてくれ」
俺に賢者の石を預け、彼女は村の方へ向かっていった。
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