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第七話「決着へ」.2


 マベッツのもとに移動すると、リスボンたちを集めて話を聞く。


「まず、リスボンたちは金を蓄えておるはずよな? それを一塊持ってきたら、サイクロプスの一人に電気を流させよ。そこに蒸留酒をゆっくりかけ流すのじゃ」


 マベッツの説明を受けて、リスボンたちはすぐに動き出した。どこに溜め込んでいたのか、ごつごつとした金鉱石を持ってくると、サイクロプスたちも村の外から空き地までやってきた。

 渡された金鉱石は彼らにとっては米粒のようなサイズだが、器用に爪で挟むと、そこに電撃を流し始めた。


「蒸留酒なんて、リスボンたちはよく持っていたな」

「クルラホンとの取引で手に入れていたものであろう。奴らの造る酒はうまい」

「なるほど、器も用意したな。よし、流してくれ」


 彼女の指示の通り酒を流し始めると、わずかにぐずついた金が酒に流れていく。金の融点は千度を超す。こんな場所では熔けるはずはないが、電流を流すことで金の表面の構造が崩れることがある。

 それを蒸留酒で流し、金の熔けたアルコールを造る。


「本来なら、もっとちゃんとした機材を使うんだけど……ちょっとした成分だけを取り出すだけなら、これで充分よ」

「つまり、君が作ろうとしていたのは……」

「エリクサー。これはその劣化の劣化の劣化の劣化版じゃがの」


 何度も器の上下を入れ替えて流し、可能な限り金を混ぜた蒸留酒を作り出す。それを熱して揮発させ、濃い金の溶液を作り出した。


「これ、飲んで大丈夫な奴か?」

「普通ならダメじゃがの、我の体なら問題ない。我が復活すれば、他の者たちの治療も進めてやろう」


 小さなツボに入った黄金溶液を、マベッツは躊躇することなく飲み干した。その骨と皮だらけの体にちゃんと内臓があるのかどうか不安になるが、彼女として問題ないのだろう。

 腹に開いた穴から漏れることもなく、むしろ逆再生するように直っていく。


「エリクサーの劣化×四でこれなら、本物のエリクサーだったらどうなるんだ?」

「死んだ直後の者なら再生できる程度かの」

「程度のレベルが高すぎる」


 起き上がったマベッツの動きは軽やかで、腹に穴が開いていたとは思えない。


「あのアオバとやらが現れたせいで、皆の治療も中途半端であったからな。このデカいのと合わせて、治療していくとしようかの」

「頼んだ。必要な材料はあるか?」

「高熱に耐えられる炉が必要となる。サイクロプスの工房ならまだしも、リスボンの村には……」

「それは俺が変形する」

「ふむ。そうか」


 自分で提案しておいてなんだが、人間でなくなったことにずいぶんと馴染んできたと思う。


「普通の炎では出せない超高熱――つまりドラゴンの炎が必要になるけど、それくらいの火力が引き出せるかい?」

「その、ドラゴンの炎が何度かはわからないけれど、引き出せるだけ引き出してみるよ」

「じゃあ、あとこいつと、こいつを混ぜてくれれば、あとはミルクと鳥肉ね」


 リスボンたちはマベッツの言葉を聞いて散っていく。

 俺はその傍らで、少し精神統一をすることになった。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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