表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/93

第五話「和解へ向けて」.3


 俺は自分のセンサーを使って、怒りに震えるトバルと、困惑しながら無実を訴えるハダンを見る。どちらも譲れない主張を抱えているが、そこに嘘はない。

 俺は単独操縦だったから、結果的に意味がなかった閉鎖空間訓練を思い出す。

 酸素が薄く気圧の高い、閉じた空間。そこでストレス耐性訓練を兼ねて、推理ゲームをした。お互い感覚や思考が鈍った中で推理ゲームをしたものだから、無駄にストレスがかかり、感情的な対応になった。

 それを収めるのは、探偵役だった俺の最大の苦労であった。


「トバル、お前たちを襲ったのは、どんな奴だった?」

「背丈が小さかった。俺たちの足の、ひざ程度だな」

「つまり、リスボン族たちほどの大きさだな」

「ああ。だからはじめは歓迎しようとした。取引には、こちらが赴くのが常だったからな。久方ぶりの山への来客だ。靴音を鳴らして近づいてきた奴を歓迎しようと、我が娘が近づいたとき――」


 それが、事件の瞬間だ。


「奴は飛び上がり、我が娘の額にナイフを振るったのだ。ただの鉄のナイフであればまだ耐えられただろう。だが、我らサイクロプスが作りし刃を、防ぐ手立てはない……」

「その後、犯人はこの村のほうへ逃げてきたんだな」

「我らが追いかけ、追いつくたびに反撃を受けながら、まるで遊ぶように逃げておった」


 やはり、犯人はリスボンとサイクロプスを対立させたかったのだ。理由はともかく、目的はわかった。

 それも、もしかしたらまだ……。


「そしてこのナイフは……」

「ボクたちが見つけました。外の畑で中に投げ込まれ、何かと思って拾い上げた時……」

「我らは到着した。そして、そ奴らと対峙した」


 ナイフを持った容疑者候補たち。今は対話の席について冷静さを保っているが、当時は一体どれほどの激情が彼らを支配していたことか。


「冷静になった今なら、リスボンたちがこんな無駄な争いを望んでいないと、君たちもわかるはずだ、トバル」

「……だが、奴によって我らが傷を負ったのもまた事実」

「そうだな。だから、そこを紐解いていこう」


 俺の言葉に、トバルたちもハダンたちも首をかしげる。

 二人の中央にあるゴーレムの肉体。それを変形させると、四角い箱のようなものになる。中身の構造がどうなっているか、正直俺も全然わからない。

 ただ、それができると言う確信だけが、俺の中にはある。


「ハダン、ちょっとこっちに来てくれるか?」

「わ、わかった。テフノ殿」


 見た目は人間の子どもとほとんど変わらないリスボンは、その背にリスのようなしっぽを持つと言う特徴がある。普段からマフラーのように首に巻いているそれは、ふさふさして暖かそうだ。


「トバル、襲撃犯は彼みたいに、首元がふわふわしていたか?」

「……フードケープのようなもので身を包んでいたから、よくはわからない。だが、素早い身のこなしはリスボンを思わせるものだった」


 外見的特徴から探るのは、やはり難しいか。なら。


「ハダン、手を」


 多少、無理のある手でも使ってやる。

少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ