第五話「和解へ向けて」.1
「邪魔をするな!」
拳を振り上げたサイクロプスは、小さなゴーレム・コアに対して大きく拳を振り上げた。
それに対し、俺は地面に手を当てる。短く細いこの腕で受け止めることはできない。だが、大地から精製した剛腕が、押し止めた。
「この土の腕……土石魔術と鉄鋼魔術の組み合わせ。ゴーレムの腕か」
「よくわかるな。さすがはサイクロプス、知識が豊富だ」
一つ目巨人は地球の伝説では賢者や名工として扱われてきた。この世界の巨人も、その伝承と変わらないらしい。
ぜひとも、彼らとは仲間になりたいものである。研究者として、技術のある者たちとの交流は欠かせない。
「リスボンたちが本当に、お前の里を襲ったと思っているのか?」
「そうでなければ、我らはここに攻め込んではいない!」
「本当にそいつはリスボンだったのか!? 旗から見ていても、彼らがそんな大それたことをしたようには見えない!」
傷ついた村人、崩れかけた家屋。明らかに巨人の側が蹂躙した後にしか見えない。ただ、そんな巨人たちが戦う理由は、彼らの集落をリスボン――と思われる者が襲ったからだ。
――なんでそんなことを? 誰かがリスボンの武器を盗んで巨人を襲ったのか?
何のために? その疑問に答えられるものはいない。少なくとも、この二つの種族の友好を願っての行動ではないの確かだ。
だとしたら、サイクロプスを襲撃したというリスボンは、リスボンではない。この小さなヒトに、巨人と敵対して得をすることなど何一つあるとは思えない。
「我が娘の傷の恨み、思い知らせてくれる!」
「目の前で殺し合いが起きようとしてるのに、止めないでいられるか!」
俺は腕だけではなく体も生成。巨人と同じ目線に頭を造り、その単眼とにらみ合う。
雷を纏った腕と石でできた腕が掴み合う。通常の生物なら彼らの放つ電撃に苦しむところだろうけれど、俺の体にそんなものは関係ない。
「ここまで言葉を流ちょうに話すゴーレムは、我らでも作り出したことはない。何者だ、貴様は!」
「テフノ=ルギアの名前を貰った、エンシェント・ゴーレムだ。そこのリッチに発掘されて、この世界で何をすればいいか模索中の身だ」
「ならば、黙って素通りすればよかったものを!」
力は互角。けれど、身体強度はこちらのほうが低い。サイクロプスの肉体は強靭だ。各種センサーが弾きだした結果を見れば、その差は一目瞭然。
こちらがレンガなら、あちらは鉄球と言っていい。そう考えると、ネメアはとんでもない顎と牙を持っている。
それはともかく――。
「なんだ、腕に、土がまとわりついて……」
「強度は足りないかもしれないけれど、こっちは変形できるんだ」
指を固定し、足の裏からは杭を造って地面に固定する。
「そーれ、高い高い!」
全身に流れる魔子と、背中から地面に向けて放ったアンカーを利用して、筋肉では出せない力を引き出す。サイクロプスの五メートルを超す巨体が空中に浮かび上がる。
周りのリスボンたちやサイクロプスが、驚愕に口をあんぐりと開けて上を見上げていた。
「おらぁっ!」
右腕を大きく振り上げ、肩甲骨部分の強度を増加。限界まで延長した腕を全速力で振り下ろす。背中から叩きつける形となり、サイクロプスの動きが止まった。
「さ、話し合いをしようぜ」
恨みがましそうな目を、サイクロプスは向けてきた。
今回より、1日2話投稿。お昼12時と、夜19時で投稿してまいります、
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