第四話「二つの種族」.4
「雷神の断片を受けろ」
拳を振りぬくと同時に、雷が砲弾のように飛んでいく。落雷が至高性を持って向かってきた。まともに受ければ感電どころでは済まない。
「砂錠の牢殻!」
コアの状態でも、地面に手を突けば魔法は使える。地面から持ち上がった砂が腕のようにサイクロプスを包み込み、飛んでくる雷を封じ込めた。
高熱の光は大量の砂を梳かして雷の化石を作り出した。
「その小さき者、ただの石生物やストーンスライムの類ではないな」
「テフノ=ルギア、旧き時代のゴーレム・コアだ」
「古代発掘品か。我らの争いに関わらぬ者だ。どけ」
サイクロプスたちは完全に頭に血が上っている。リスボン――と思われる者たちにどんな被害を受けたかわからないが、この村にいる者たちがそれに関係しているようには思えない。通りすがりで見ただけだが、巨人と戦争をするような規模の村ではない。
「部外者が口を挟むのは気に食わないと思うが、いったん落ち着いたらどうだ。君たちは――」
「先に刃を受けたのは、我々だ!」
「けれど、本当にこの村の人たちにやられたのか?」
「我らの同胞を討った者を追いここまで来た。その時の武器は、我が腕に突き立てられた刃は――かつてこの村に友好の証として、我が父が送りし品であった!」
現行犯、証拠の凶器、二つのことから彼は責め立てたのだ。なるほど、本来温厚な巨人がなりふり構わなくなるのも、頷ける。
「理由なくば我らとて拳を振るうことはない! だが、その刃で、我が子は……」
その単眼から血の涙をこぼす。強烈な怒りが、今このサイクロプスを突き動かしている。
「マベッツ、どう言う状況なんだ。世界のどこが平和なんだ!?」
「我も反旗を翻す側だから何とも言えぬが、こんなものは謀略ともいえぬ。争わぬ者同士を争わせる、ただの暴虐よ!」
こちらの言葉は、あのサイクロプスには届かない。両脇にいる二人ですら困惑するほどに、今の彼は怒りで動いている。
この世界で目を覚まし、いきなり巨大ライオンに襲われて、ひとまずの安定を求めてやってきた場所で巻き込まれた。
逃げ出してもいい。無視してもいい。
「けれど……」
ここに居合わせたのは、きっと何かの縁だ。
「地底探査チームも、最初はバラバラだった」
同じ目標を掲げたチームでも、その考え方や能力、方向性が違っていた。同じ国内の民間企業であっても、それぞれの利益や思想の違いはある。
地底探査車の設計の時は、何かと揉めに揉めたものだ。
先端のドリルの形状、振動掘削機との比重、特にデザイン。
それでも、最期には同じ結論と、目標へ辿り着いた。
パイロットとして、プロジェクトリーダーとして、彼らとともに夢を見た。
「君たちは、同じ魔族、同じ森と山に住む者だろう」
同郷、と言ってもいい。同じ集団に属する、仲間と言えるだろう。
「ちょっと頭冷やして、話をしようぜ」
その攻撃に備え、ゴーレム・コアを起動した。
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