第三話「新しい友達」.3
ステータスウィンドウを覗き込む俺に、マベッツは不思議そうに首をかしげて覗き込む。
「どうかしたのか? ぼっとして」
「うぉ、いや、なんでもない……」
干からびたマベッツの顔が急に目の前にくると、さすがにびっくりする。ただ、こうして蘇らせてくれたことで、今俺の意志はここにあるのだと、再認識した。
「ありがとうな。マベッツ。俺を復活させてくれて」
「おお、そう思うなら手伝ってくれぬか? 我が野望成就のため――」
「暴力はなしの方向で」
「むぅ、いけず」
マベッツは不満そうに唇を尖らせる(風な動きをする)が、俺は揺るがない。
せっかく第二の人生――ゴーレム生を得たのなら、人間の体では目指せなかった場所を目指したい。それをマベッツの復讐に費やされたくはない。そもそも――。
「マベッツは、本当に人間たちに復讐したいのか?」
「え? それはもちろん」
「それなのに、五十年も何もせずにいたのか? 君のさっきのステータス、死霊魔術と冥闇魔術を極めた君が、人間に後れをとるのか?」
「そ、それは、その……」
マベッツは目を逸らす。それに、先ほどのクルツアスランの戦いを見て思ったこともある。
「君の力は、その気になれば森の一角を更地に変えた。冥闇術が怪獣に効果が薄いとは言え、人間には効果てきめんだろう?」
「そうじゃの」
「まさか、他のリッチたちは君以上に強いとか?」
「いや我最強じゃし? 故郷のリッチ全員束になっても勝てるし」
おそらく後半は話を盛っただろう。だが、強いのは間違いない。クルツアスランというこの巨大ライオンが対魔力性が高すぎるだけだ。人間相手なら、彼女の魔術は爆撃のような威力を発揮することだろう。
「マベッツにもプライドがあって、今更引くに引けなくなっているのもわかるよ。どうせ、人間たちと仲良くしたくなんかないって駄々こねて、追放されて、躍起になっているだけだろう」
「そんな子どものわがままみたいなこといっとらんわい!」
「でも、時代は変わったんじゃないのか? 普通、リッチなんて人間と交流することすらできない立場なんだろう」
生前の知識では人間とリッチというものは、そう言った関係だと理解していた。だからこそマベッツは自分のプライドに従おうとしている。
それは全て。
「一人でいるのが嫌だから、仲間たちの下に帰りたいのか」
「なっ! わ、我がそんな寂しがり屋のような理由で戦うわけないじゃろ!」
ほとんど血が通っていない姿だからか、照れているのかは外見上わからない。とはいえ、見ればわかる。寂しさゆえに、退けないところまで来てしまったのだ。
「じゃあ、ここに街でも作るか?」
「……は?」
だから俺は、マベッツにそんな提案をした。
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