第三話「新しい友達」.2
「俺にも貸してみてくれ。それ」
「ふむ。どうぞ」
マベッツから水晶玉を受け取る。俺の指は三本指、クレーンゲームのアームのような形だが、物を掴むのに支障はない。むしろより細かい調整ができそうなくらいだ。
取り上げた水晶玉を見れば、ゴーレム・コア内の各種センサーが起動する。
「これが、今の俺か」
投影されるステータスウィンドウは、人間のものではなくゴーレムのものであった。
個体名にテフノ=ルギアという名前が刻まれている。マベッツからつけられた名前は、間違いなくこの世界に認識されているのだろう。
「いろいろあるんだな。土石魔術、雷電魔術、鉄鋼魔術……マベッツの言っていた通りだな」
「ゴーレムであれば大概持っている。スキル看破という技能があっての。様々な地域、種類のゴーレムに共通する特徴であるらしい」
「物体操作、肉体硬化、拳技、熱源感知、音波感知、生体感知……。半分はゴーレム・コアのシステム側の話なのか?」
スキルというものには、二種類あるらしい。
まず生物的特徴として獲得できるものと、後天的知識または技術として得られるものだ。
例えば犬のような種族であれば『臭気追跡』という匂いで相手を追いかけることのできるスキルが与えられる。猫のような種族ならば『夜間視認』という暗い中でも見えるスキルを持つ。
「ゴーレム・コアとしての熱、音、生体などの感知が可能だから、このスキルがあるのか」
「そして先ほどのクルツアスランとの格闘技によって、拳技を獲得したようじゃの。他のスキルが大概高レベルにも拘わらず、これだけずいぶん低い」
マベッツの言う通り、スキルの横に表示された数値は、ゴーレム・コア関連は軒並み七十を超えるにも関わらず。拳技だけは二しかない。
自分で鍛えるにしても、長いこと時間がかかるだろう。
「地質学、機械工学、振動工学……こっちは……」
「なんぞそれは? 地質学は……まぁわかるが。機械工学と振動工学とは何ぞや? 何のスキルであるのじゃ」
「マベッツでも知らないとなると、これは俺の方に関係したものだなぁ」
全てのスキルが、このゴーレムに依存しているわけではない。
このスキルを持っていることでどんな効果があるのかわからないが、ふと思ったことがある。
「ゴーレムの体を構築する魔術系、物質操作、硬化能力……そこに、生前の記憶……」
生前の最後の記憶は、地底探査車の中で圧壊するところだった。その原因はいくつかある。
掘り進む探査車の機能はもちろん、突然の地底の変動に機体が対応できなかった。地中の圧力に耐えきれず、動くこともできなくなった。
地下十万メートル、三千気圧。人間が到達できた最も深い場所。そこへ――
「また、地底を目指せるんじゃないか?」
大地に圧殺されて異世界転生したというのに、まだ俺は、その夢を諦めていなかったのだ。
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