第24話(2)
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突然の告白に、祐介は驚いた顔で振り向いた。
要は手袋をはめた自分の手を、じっと見つめた。
「え、そうなの?」
「ああ」要は深刻な表情のまま頷く。
「なんだ」祐介は明るい声を出した。
「そうか。そうなんだ。良かった。あれ?じゃあ、なんでさっきウチ来たとき暗かったんだよ?」
「え?」
祐介は要を責めるどころか、安堵の表情を見せ、瞬時に眉間に皺を寄せながら責めるような口調で予想外な言葉を次々と言い立てた。
「電話では元気だったのに、家に入った途端、暗くなったから、てっきり潔癖性で息苦しくなったのかと思ったんだ。そうなるの分かってて、それでも来てくれたんだって、嬉しかったんだけど」
「……責めないのか?」
要は若干、呆気に取られながら祐介を見た。
「責める?今、責めてるじゃん」
「いや、そうじゃなくて……」
「なにを?」
祐介は腕を組みながら不可解そうに言った。
「だって、俺、嘘ついてたわけじゃん」
「ああ……そっちね。まあ、そう言われればそうだけど」
「それについて、祐介は何とも思わないワケ?」
「何とも思わない訳じゃないよ。でも、今からその説明をしてくれるつもりだから、教えてくれたんだろ?」
「まあ……」
要は口籠もりながら俯く。
「なんの説明も聞いてないのに、怒り出すのはおかしいだろ」
祐介は笑いながらそう言うと、すぐに真面目な表情に戻した。
「で、なんで元気なかったんだよ?謝ろうと思って神妙になってたんなら、電話越しから神妙になってろよ。心配するだろ」
「ごめん」
何故か怒られ始めている。要はこめかみを掻きながら、困ったように声を出さずに苦笑した。
「順を追って話すよ。まず、祐介の家でのことだけど」
要は手袋を外しながら話しを始めると、祐介は腕を組んだまま、黙って要の話しに耳を傾けた。
「突然、養子だ、なんて聞けば、どう会話を切り出せばいいか分からなくなるだろ。触れてはいけないところに、触れたような気がした。さっきも言ったとおり、俺は友達ってやつがよく分かってなくて。人の家に行くのも初めてだったから、どうしたらいいのかと……。それに、なんだか辛かったんだ。潔癖性だと信じて、俺に気を使ってくれてる姿を見てるのが」
雲の中を飛行機が通っているのか、頭上からごおっという低い音が移動していく。音が遠のくと、要は再び話を続けた。
「今まで、そんなこと気にもしなかった。誰が俺に気を使うとか。俺はただ、自分に触る奴が居なければ、それでいいと思っていただけで」
「なんで、触られるのが嫌なの?」
祐介の質問に、要は悲しげに微笑んだ。これを話せば、せっかく親友だと言ってくれた祐介でも、さすがに引くだろう。気味悪がって、離れていくかも知れない。いや、話しても信じないかもしれない。嘘つきだと、嫌うだけかもしれない。
それでも要は、この話を自分から進んで、自分が認めた人物に話して嫌われるなら、最初に話すのは、祐介が良いと思った。要は笑みを消した。
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