第23話(2)
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「俺、変な体質持ちだからさ。まともに友達作ったこと無いし、親友なんて今まで一人も居なかったんだ。過去にも、これからも、この先も必要ないと思っていたし。でも、この間、祐介は堀田と俺は友達だろって言った。そして堀田は俺と祐介は親友だろって言った。なんだか、不思議な感じがした」
「なんで?」
「どういうのを友達っていうのか、知らなかったんだよ。ただ話すだけでも、友達になるのか?よく一緒にいるってだけで、親友になるのか?って」
要の疑問に、祐介は黙って考えた。数秒の沈黙。太陽の光が、雲の隙間から顔を出す。祐介は沈黙を静かに破った。
「くだらないことでも、同じように笑い合えたり、腹立てたりできる。そう言うのが、友達なんだと思う。よく、共通の趣味があって、そこから仲良くなったりっていうのもあるよね」
「じゃあ、親友って言うのは?」
またしばし考えると、祐介はゆっくりと自分の考えを話し出した。
「例えば、自分が大事だと思ってる人が傷ついてたら、助けたいと思う。何か嬉しいことがあったら、真っ先にそれを教えたいな、一緒に笑いたいなと思いだした人が居る。嫌なことがあって、他の人に言えないような愚痴も聞いてくれるし、聞いてやれる。お互いの良い所も嫌な所も、面倒な所も何もかも、理解してて、何があっても一緒に笑い飛ばせる相手」
「それは、お前の理想の彼女か何かか?」
要は微かに眉間に皺を寄せ、ちらちと祐介を見ると、祐介は小さく笑い声を上げ「いや」と首を振った。
「確かに、恋人や家族にも当てはまることかもしれない。でも、それって、心を許せる相手って事じゃない。親友も一緒じゃないかな。友達よりも、もう少し深い話が出来る。友達には引かれちゃうようなくだらないことでも、笑い合える。友達だと許せなくても、親友だと、ちょっとした嫌なことも目を瞑れる。大いに喧嘩しても、また笑い合いたいと思える。それが、親友なんじゃない?と、僕は思う」
「友達より、もう少し特別な感じ……か」
「そうだね」
祐介の意見を聞いて、要は少し寂しい気持ちになった。自分と祐介は、どれにも当てはまらないのではないだろうかと思った。要は寂しいと思った自分を自嘲するかのように、笑いながら「じゃあ、俺たちはまだ親友じゃないな」と言った。
「いや、お前の理屈から行くと、友達でもないかも知れない」
「名前を呼び合ってる時点で、もう友達だよ」
祐介は即答した。その声は、どこまで柔らかく、要は笑うのを止めて祐介に顔を向ける。
「それに、僕ら、くだらない話し、しょっちゅうしてるじゃないか。堀田や川崎とも中村とも田川とだって。しょっちゅう笑い合ったり、腹立ててるじゃない。モツナベの試験問題の出し方は嫌らしいとか、昨日見たTVの話しとか」
祐介は英語教師の名前を挙げながら、自分達が今までどんな話しをしてきたかを言った。
「そう言う話しをしている時点で、もう友達だよ」
祐介が言った言葉に引っ張り出されたかのように、要の頭の中には、祐介達と話したくだらない話しが、次から次へと湧いてきた。
要が小林達に襲われた後、要を救出しに来た中村達と良く話すようになった。それは、本当にくだらない話しばかりで、すぐに忘れてしまうようなことばかりだった。
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