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女の子だって異世界で暴れたいっ!  作者: 結城
冒険者ライフのはじまり
13/19

第12話『初デート』

遅くなりましたが第12話です。

マレマーテの町で依頼をこなす私達。でも色々

あって懐かれてる行商人の娘のマリル。

おかげで私とアリエス、ウリエスの3人は

依頼を受ける度にマリルを連れていくしかない

のだった。



マレマーテの町に来て、早い物でもう1週間。

私達は依頼をこなしながらお金を稼いでいた。

と言っても受ける依頼は新人向けの簡単な物。

ギルドに上がってくる依頼は千差万別。

近くの森での採取のような簡単な物から

討伐系の、戦闘を前提とした危険な物まで。


と言っても、新人の私達はランクの制限が

あるから高難易度の依頼は受けられない。

今の私達が受けられる討伐系依頼となると、

付近の森に出没するゴブリンの間引き程度。


ゴブリンは小さく弱いけど、一番の強みは

その数。そして、数が増えすぎると村や

町なんかを襲う事もあるらしく、間引きは

定期的に行わないといけないんだとか。


とまぁ、そんな感じで私達は主に、初めて

この町で受けた採取系の依頼や、畑仕事の

手伝い。あとはゴブリン討伐の依頼を

受けたりしていた。


んだけど……。


「おはようございますっ!お姉様っ!

 今日はどのような依頼を受けるのですかっ!?」

ギルドに行けば、そこでいっっつも待ってるマリル。


何回か時間をずらしてみたけど、普通に

ギルドで待ってたマリル。

「こんにちはお姉様っ!今日はちょっと

 遅かったですねっ!」

そう言って笑みを浮かべるマリル。


私としても仕事をしないと収入が無くなる

からギルドで仕事するしかないんだけど、

かといって何度もマリル同伴で依頼を

受けるのもなぁ。


マリルに何かあった時の事を考えると、

自己責任の証明書があるとは言え、気が重い。


お金を稼ぐにはギルドで依頼を受けるしかない。

しかし依頼を受けるとほぼ確実にマリルが

付いてくる、と。


と、そんな数日を過ごしていたせいか、

アリエスのイライラが貯まってきてる感じ。

ウリエスの方も、ちょっとマリルの事を

疎ましく思って居るのか最近ため息が多い。

ま、まぁ部外者のマリルが毎日のように

自分達の輪の中に、それも結構ズカズカと

入ってきたらイライラするよねぇ。


と言うか、マリルって結構スキンシップが

激しいんだよなぁ。

依頼の帰り道で、いきなり腕を組んできたり、

質問するときだって結構顔が近いんだよなぁ。

……無自覚なのか自覚してるのか知らない

けど、私に言わせればマリルも十分

ゲームやラノベのヒロイン候補の逸材なんだ

よなぁ。


人懐っこく、天真爛漫な性格。恋愛ゲーム

とかだったら元気系妹やってそうなキャラ

なんだよなぁ。


でもまぁ、良くも悪くも無邪気、且つ

高い行動力のおかげで私達の依頼に毎度

付いてくる。しかも依頼の中でも私から

何かを吸収しようって事なのか色々

聞いてくる。


とは言え、その無邪気過ぎる接し方が、

アリエル達には私とマリルがイチャついてる

ように見えるのか、ご立腹の様子だ。


さて、となると2人のイライラ解消が必要に

なるわけで。って言ってもこんな世界じゃ

出来る事も限られてくる。そこで私が

導き出した答えが……。



「ねぇ2人とも。明日は仕事を休んで

 私とデートしない?」


「「え?……えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」」



こうして私は2人と、(前世込みで)人生初の

デートをする事になった。



朝、私達は朝食を済ませると、鎧や武器の類い

は身につけず、スカートの下に銃とマガジン

だけを備え、あとはお金を手に宿を出た。


さ~てと、まずはどこに行こうかな~。

食べ歩きは、ちょっとデートっぽくないし。

う~ん、ウィンドウショッピング?でも

どうせならお金に余裕がある今のうちに

何かを買っておきたいな~。


なんて考えながら歩いていると……。

「あの、ミハル?なんでいきなり、その

 デート、する事になったのかしら?」

後ろから顔を赤くしたアリエスが問いかけてくる。

「ん?理由?それはまぁ、やっぱ最近ずっと

 依頼をこなしてばっかりだったから

 休んだ方が良いかな?って思ったのがまず

 第1。あと、2人とも色々ストレス

 溜まってたみたいだから、それの発散も

 兼ねて、かな?」

「そ、そう。でもそれなら、わざわざ

 デートなんて言わなくても……」


そう言って顔を赤くするアリエス。

ウリエスも同意しているのか、顔を

赤くしながらコクコクと頷いている。

ふふ、可愛いなぁホント。でも、

だからこそ……。


「そんなに変な事かな?」

私は2人の傍による。


「だって、私達は恋人同士でしょ?」

「「ッ!!!!????」」

私の言葉に、2人は顔を赤くする。


まぁ、言ってる私も恥ずかしいんだけど、

でも、それ以上にちょっと2人が可愛いから

つい悪戯しちゃうんだよねぇ。

まぁ、言葉と意思は悪戯じゃなくて本心だけど。


「恋人同士が町に出てする事って言ったら、

 デートしかないでしょ?」

って私が小声で囁けば2人とも顔を更に

赤くする。

「そ、それはその!そ、そうだけど……」

「うぅ、で、でも、ちょっとそう言う事も

 してみたい、です」

顔を真っ赤にしながら戸惑うアリエスと

ちょっと興味ありそうなウリエス。


まぁここで立ち止まっててもしかたない。

「って事で、行くよ~」

「あっ!ちょっ、待ってよミハル!」

「お、置いてかないで下さい~!」

私が歩き出すと、2人とも顔を赤くしながら

慌てた様子で付いて来た。


そうして始まった私の人生初のデート。

とは言え、前世とは技術レベルが違うこの

世界ではやれる事は限られる。

映画館や水族館、遊園地みたいな、定番

デートスポットは無いから、やる事と

言えば基本的にショッピングと食事くらい。


んでもって私が真っ先に向かったのは、

衣類を扱うお店だ。

「で、なんで最初が服な訳?」

と、私の隣で首をかしげるアリエス。


「ん~?理由が知りたいの?まぁ理由と

 しては、アリエスとウリエスって私服の

 手持ち、殆どないでしょ?」

「え?えぇ、はい」

私の言葉に頷くウリエス。


ちなみに2人が持ってるのは、私と出会った

時のちょっとボロい服と、あとは今来てる

お揃いの青い服だけ。うん、これは行けない。

女子的に考えてダメだね。


「女の子は、やっぱりおしゃれに気を

 使わないとね~」

「おしゃれって、私達は一応冒険者なのよ?

 定住してるわけでも無いのに、服をたくさん

 買ったってがさばるだけでしょ?」

「分かってるってばアリエス。だから何枚も

 買うわけじゃないよ?でもやっぱり、

 私的には2人に似合う服をプレゼント

 したいな~、って思ってるの」


「ふ、ふ~ん、そうなんだ」

「嬉しいです、ミハルさん」

プレゼント、と聞くと顔を赤くする2人。

やっぱり恋人同士ならこう言うプレゼント

は定番だけど、どうやら喜んでる感じみたい

で安心した。


……とは言え、問題は服の種類だ。

やっぱり、現代日本に生きていた前世と

比べて服の種類は圧倒的に少ない。

可愛い服が無い、とまでは言わないけど、

やっぱり服飾技術が前世と比べものにならない

のか、品数も品質も、はっきり言って前世の

物より悪い。それにマレマーテの町も、正直

決して大きな町とは言えないのもあるのかも。


って考えても仕方が無い。とりあえず、2人

に似合いそうな服を探そう。

そう思いながら店内を見て回る。2人の前に

服を持って行ったりして似合いそうな物を

探す事数分。


「ん?んん?」

不意に私は店の一角で足を止めた。そこには

何やら寝間着のような服が並んでいた。

それも女性物の服だった。

しかし、それははっきり言って、ちょっと

扇情的な、所謂ネグリジェみたいな

タイプの寝間着だった。


前世が日本人だった私の感覚からしたら、

寝間着=パジャマなんだけど、やっぱり

異世界、と言うべきか、女性の寝間着って

言ったらネグリジェみたいなのが基本的

みたい。

……しかも、何て言うかその、エッチだった。

布面積が少ない物や生地が薄くて若干

透けている物がある。


何て言うかネグリジェとランジェリーを足して

2で割った感じだった。

私はそんな、少しエッチなネグリジェ風の

寝間着を手に取る。ふと隣を見ると、

初めて見る少しエッチな服にアリエスと

ウリエスは困惑しつつ顔を赤くしてる。


「な、何よこれ。これじゃもう、む、胸

 見えちゃうじゃない」

「はわわ、え、エッチな服だよ、お姉ちゃん」

2人とも顔を真っ赤にしている姿はやっぱり

初々しいんだけど……。


私は2人がこれを来ている姿をイメージして

見た。


夜、部屋のベッド、2人はこれを着て私の

前に居る。

『ミ、ミハル。これ、どう?』

『に、似合ってます、か?』


恥じらいながらもセクシーなネグリジェを

着ている2人。


……………………ヤバいメッチャ興奮する。

よしっ!


「買おうっ!」


「は、はぁ!?」

「えぇっ!?」

あ、つい思った事が声に出ちゃった。

そして私の言葉を聞いて驚き顔を真っ赤に

している2人。


「ちょっ!?何言ってるのよミハルっ!?

 わ、私はこんなエッチなの着ないからね!?」

「そ、そうですよミハルさんっ!い、いくら

 何でもこれは、え、エッチ過ぎると思いますっ!」

顔を真っ赤にして拒否する2人。

う~ん、初心さ加減全開で可愛いな~。


「大丈夫だって~!絶対似合うからっ!

 それに私の分も買うからさ~!

 3人でお揃いにしよっ!ねっ!ねっ!?」

「そ、そう言う問題じゃなぁぁぁぁいっ!」

私の言葉に顔を真っ赤にしながら叫ぶアリエス。


それでも私が必死に説得して、何とか同じ

セクシーなネグリジェを購入した。

ちなみにアリエスとウリエスは同じ青色のを。

私のは白にした。


ネグリジェを購入した後、顔真っ赤な2人を

連れて店を出た。その後も私達は更に街中を

回っていた。そして……。


「あっ。アクセサリーショップかぁ」

たまたま通り掛かったお店は、他の寄りも

小さく、窓の外から見える店内には

いくつものアクセサリーが並んでいた。

「次はここ、入って見よっか」

「え?ここ?」

「ここって、アクセサリーのお店、ですか?」


2人とも、やっぱり例の孤児院とかの

せいかアクセサリーの類いは殆ど知らない

みたいだった。

って言っても、それは私もなんだよね。

こっちの世界じゃアクセサリーは子供が

買える代物じゃなかったからなぁ。

でも冒険者してる今なら、買えない値段

じゃない。


って事で、早速店の中に入って色々と

アクセサリーを見て回った。

と、言っても前世日本のアクセサリー、

とはどうしても違った。正確には

ヘアピンのような髪留めみたいな実用品や、

マリッジリング、つまり結婚指輪。あとは

お金持ち向けの装飾用の高価な指輪などを

扱っているお店だった。

私達じゃ高価な指輪は手に入らない。

結婚指輪も、買えなくは無いけど値段が

高い。……まぁ今の私は結婚してるわけじゃ

無いから買う必要も無いけど。


さて、と。とりあえず商品を見ること数分。

「あっ」

私は一つの、青い蝶を象ったヘアピンを見つけた。

そして私は更に、前世のアニメ知識か何かで

培った雑学を思いだした。


青い蝶はネイティブアメリカンでは神の使い

とされているし、オーストラリアでは

幸運のシンボル。

中国では長寿や富を示すそうな。


だったら、やっぱり贈り物にぴったり

だよね。

でも買う前に試して見ないと。

「ねぇねぇ2人とも、ちょっとこっち来て」

「ん?何?」

「何ですかミハルさん」

私は近くにいた2人を呼ぶと、2人の

髪に青い蝶の髪留めを付けた。


「これって……」

近くにあった鏡でその髪留めを見つめるアリエス。

「それは私からのプレゼントだよ。2人

 に絶対似合うって思ったんだ~」

「そ、そう。まぁプレゼントは嬉しいけど、

 何で青い蝶なの?他にも色々あるみたい

 だけど……」

「ん~と、それはまぁ理由があるんだけど。

 青い蝶って幸運のシンボルなんだって」

「それで、私達にこれを?」

と、首をかしげるウリエス。


「まぁそれもあるけど、これはね。

 『2人に出会えて私は幸せです』、

 って言う私の意思表示の証♪」

そう言って笑みを浮かべると……。

「「ッ!?ッ~~~~~~!!!」」

2人とも顔を赤くした。やっぱり可愛いな~♪


「それに、青色は幸せの色っても言うし。

 青い蝶は運を運んでくるっても言われてる

 から。だから、2人は私にとっての

 幸せって事で……」

「わ、分かったっ!分かったから!もう

 説明は良いからっ!」

「うぅ、嬉しいですけど、恥ずかしいです」

顔を真っ赤にしてるアリエスとウリエスに、

私は笑みを浮かべながらも髪留めを買って

2人にプレゼントした。


その後、アクセサリーショップを出た私達は、

お昼時だったので、適当なお店に入って軽い

昼食を済ませたあと、再び街中を散策していた。


していたんだけど……。


「あっ!お姉様っ!お姉様ではありませんかっ!」

うっ。

突如聞こえた声に内心戸惑いながらも振り

返ると、そこには案の定マリルが立っていた。

しかも剣や盾を備えているところを見るに、多分

今朝からギルドで待ってたんだろうなぁ。


うぅ、そう思うとほっといた罪悪感が……。

「こんにちはお姉様っ!今日は朝からギルドに

 おいでにならなかったようですが……」

「あ~、え~っと。ごめんねマリル。

 今日は依頼休もうと思って。先に

 言っておけば良かったね」

「いえっ!その事は全く気にしてないの

 ですが、今日は依頼を休まれるのですか?」

「うん。流石にずっと働きっぱなしだった 

 から。2人と一緒に休息を兼ねて街中を

 ブラブラしてたんだけど……」

「でしたらっ!私が案内いたしますっ!」

「え?い、いやえっとその、悪いよ。

 今日は依頼も無いし、マリルも休んだら?

 私達は適当に回ってるだけだし」

「でしたらっ!私の家においで下さいまし!

 家にマッサージが得意な給仕が

 おりますから、彼女にマッサージを

 してもらいましょう!」

「え、えっと、それは、良いかなぁ」

「ではお食事はっ!?また家のシェフに

 腕を振るわせますっ!」

「え、え~っと」


う~ん困ったぞ~。相変わらず積極的過ぎる

とも言えるマリルの誘い。どうやって断った

方が良いかな。正直、ドストレートで言うと

落ち込んじゃいそうでちょっと怖いなぁ。


と、私が迷っていたのだが、それが

不味かったのかもしれない。


「ちょっとっ!いい加減にしなさいよ!」

しびれを切らした様子でアリエスの方が

声を荒らげちゃった!

「な、何ですかあなたは?そんなに声を

 荒らげて何を怒ってらっしゃるんですか?」

「分からない!?ミハルははっきり言わない

 から私が言ってあげるけど、こっちは

 休みの日まであなたに付きまとわれて迷惑

 してるのよ!」

苛立ちからか、荒っぽい事を言ってしまうアリエス。

するとマリルも、見るからにムスッとしてしまう。


「付きまとうって何ですか!私はただお姉様の

 傍で学んでいるだけですっ!貴女にどうこう

 言われる筋合いはありませんっ!」

「学んでるって言う割にはいっつも傍に居て、

 鬱陶しいのよっ!依頼だって付いて来て!

 良い迷惑なのよこっちはっ!」

あわわっ!何やら不味い事になりそうだよ!

「ま、まぁまぁ落ち着いて2人とも」


「「ミハル(お姉様は)黙っててっ(くださいっ!)!」」

うわ~ん!なんでこんな時ばっかり息ぴったりなの~!?

そして2人はお互い睨み遭う。って言うか

今にも取っ組み合い始めそうで怖いんだけど!?


「ふ、2人とも!?天下の往来で喧嘩とかはダメ

 だからね!?」

私が咄嗟に止めに入ると、2人とも流石自制した。

う~ん、でもどうにかしないと不味いよなぁ。


とか思って居ると……。

「こうなれば、決闘など如何ですか?」

「何ですって?」

マリルの言葉にアリエスが反応する。


「ですから決闘です。幸い、私の家には修練

 目的で作って頂いた決闘のステージが

 あります。そこで、決闘によって決着を

 付けるのは如何ですか?」

「へ~?それで、どういう条件で?」

な、何やら決闘という単語にやる気なアリエス。

ねぇアリエス?それは頑張るのやる気だよね?

まさか『殺る気』じゃないよね!?

ちょっと顔が怖いよっ!?もしかして散々マリル

に依頼中付きまとわれたりしてストレス

溜まってた!?


「私が試合で勝てば、今後一切私がお姉様たちに

 付いていく事に口出ししない事。

 逆に貴女が勝てば、私は今後一切、お姉様たち

 の依頼には同行しません。……これで

 如何ですか?」

「良いわ。乗ってやろうじゃないの」

何やら2人ともやる気みたい。


そして、決闘は戸惑う私とウリエスをガン無視

なまま行われる事が決定してしまった。


その後私達はすぐにマリルの家へと向かった。

事情をマルコさんに話して、2人の家の

裏庭にある石畳のステージに案内して貰った。


2人はそれぞれ、マリルが木剣と木製の盾。

アリエスがいつも使ってるマチェットとサイズ

が近い木製のナイフを手にしている。


試合については、審判役はグランティス家

の執事さんがする事に。そして2人は決闘を

行い、相手に『降参』を宣言させるか、審判

の人が有効打と判断する攻撃(寸止め)をする

事で勝敗を決めるらしい。


「それではお二人とも、準備はよろしいですか?」

「えぇ」

「いつでも」

審判の執事さんの言葉にマリルとアリエスが応える。


2人とも、木剣と木のナイフを構える。

私とウリエス、それにマルコさん達がステージの

外からそれを見つめている。

「お姉ちゃん、頑張って」

私の隣にいたウリエスが心配そうに呟いた直後。


「始めっ!」


審判の執事さんが声高に叫んだ。


「ッ!」

直後に飛び出すアリエス。

「ッ!?」

これにはマリルも驚いたのか咄嗟に盾を構えた。

『バキッ!!!』

そして構えた盾にアリエスのナイフが激突する。

そこから連続してナイフを振るうアリエス

だけど、盾を弾く事は出来ない。


「くっ!はぁっ!」

そこに、隙を見て刺突を繰り出すマリル。

しかしアリエスはそれをバックステップで回避する。

今度はマリルが攻撃に転じるが、アリエスは

巧みな足捌きでこれを避ける。


やっぱりアリエスの戦い方は基本的にヒット&

アウェイ。攻撃を仕掛け、ヤバくなったら

すぐに相手と距離を取る。ゲームで言えば

シーフとか、盗賊のジョブを持つキャラクター

みたいな戦い方を基本にしてる。


とは言え、マリルの方も結構やる。やっぱり

中堅冒険者に指導を受けているだけか、防御も

攻撃もしっかりしてる。攻撃は仕掛けても、

無理に追いかけようとはしない。逆に相手、

つまりアリエスが攻撃してきたら今度は防御に

徹して、しびれを切らして攻撃、なんて事は

しない。『焦らない・隙を見せない』って言う点

ではしっかりしてる。多分、その辺を基本として

かなり教えられているのか、あるいはマリルが

その辺りをしっかり意識して立ち回っている

のか。後者ならマリルにも冒険者になる素質が

ある気がする。


とは言え、お互いに攻めあぐねてる感じはあった。

マリルの攻撃は避けられるし、アリエスの攻撃も

盾に弾かれこれを突破出来ない。

正しく拮抗状態。お互い有効打を出そうと相手の

隙をうかがいながら攻撃をする。でもどちらも

その一瞬の隙を突けない。

アリエスは自慢の足を生かして逃げるし。

マリルも盾の扱い方が慣れてるのか上手く

ナイフによる攻撃を捌いている。


これは、先に体力が切れた方の負けかな?

とか思って居た時だった。


「ッ!」

アリエスが前に出た。ナイフに両手を添えての

突進っ!もしかして強引に防御をこじ開ける気!?

もし失敗すればカウンターを貰う可能性だって

あるっ!まさかこれで決着をつもりじゃ!?


内心私が戸惑っていると……。

「ふっ……!」

私は、マリルが笑うのを見逃さなかった。

笑った?なんで?

私がそう思った直後。

『バッ!』

マリルも盾を構えたまま前に出た!


そして盾で前面を覆って、体や手元を隠した

まま更に前に出る。

このままじゃ2人が激突するっ!


そして、私が固唾を呑んで見守る中、ナイフを

繰り出すアリエス。繰り出したのは、逆手に

持ったナイフを振り下ろす攻撃だった。

もしかしてアリエスはナイフを盾に引っかけて

強引に弾くつもりじゃ!?


そう思った直後。


『バシィィィッ!!!』


甲高い音と共に弾かれた。


でも、弾かれたのは、アリエスのナイフだった。

「なっ!?」

まさかの事でアリエスが驚愕する中、私は

マリルの技を見逃さなかった。

あれは『シールドバッシュ』だった。


ファンタジーゲームなどである、盾を使った攻撃。

マリルはそれを使ってアリエスの攻撃を弾き返したんだ!

更に……。


マリルの盾の下から現れたのは、逆手で持たれた木剣!

盾で隠した時に持ち替えてたのっ!?

「不味っ!?」

「遅いですっ!!」

アリエスが対応するより早く、振り抜かれた

木剣が彼女の脇腹から数㎝の所で寸止めされる。


直後。

「それまでっ!」

審判役の執事さんが声を上げて2人を制止した。

「勝者は、マリルお嬢様としますっ!」


2人は息を荒らげながらも、対照的な表情を

していた。

信じられないと言わんばかりの表情のアリエスと。

勝利から誇らしげな笑みを浮かべるマリル。


こうして、決闘はマリルの勝利に終わってしまった。


「勝ちました!勝ちましたよお姉様!」

そして、武器を置くと一目散に私の方に駆け

寄ってくるマリル。

「これで、私はこれからもお姉様たちの依頼に

 付いていっても構いませんよね!ね!?」

「え、えっと……」


私は戸惑いながらアリエスに目を向ける。

当の彼女は悔しそうに歯を食いしばりながらも

何も言おうとしない。いや、言いたくても

決闘に応じて負けた事から何も言えないの

かもしれない。


「……分かったよマリル。これからも依頼

 に同行して良いから」

「本当ですかっ!ありがとうございますお姉様っ!」

そう言って、本当に嬉しそうに笑みを浮かべる

マリル。


でも、そんな中で私は悔しそうな表情の

アリエスと彼女を気遣うウリエスの方が気に

なった。

あ~も~。折角ストレス発散でデートしたのに、

これじゃデートの意味が台無しだよ~。


その後、マリルから屋敷で夕食でも、と

誘われたけどこれ以上ここに居たらアリエス

の不機嫌メーターが振り切れそうだから丁重に

お断りした。


そして、屋敷を後にするときだった。

「それではお姉様っ!また依頼に同行させて

 くださいねっ!」

嬉々とした表情でそう語るマリル。

「ま、まぁ、うん。分かったよマリル」

対して私は、苦笑を浮かべる事しか出来なかった。


すると、マリルもそれに気づいたのか笑みを

浮かべていた表情が陰ってしまう。

「あの、お姉様も、私が依頼についていく事

 に不満がお有りなのですか?」

彼女の問いかけに、私は迷った。ここで

ドストレートに迷惑ですって言って傷付ける

のは本意じゃない。でも……。一応言っとく

べきかな。


「不満が無い、って言えば嘘になるかな。

 マリルはさ、依頼時に命を落としても

 自己責任がどうたらこうたらって書類に

 サインしてるでしょ?」

「はい。なので万が一依頼に同行して私が

 命を落としても、お姉様たちの経歴に

 傷が付くような事はありません」

「うん。それはまぁ理解してるよ?

 でもやっぱり、理屈じゃないんだよ。

 私達はまだ駆け出しで、なのに他人の命

 を預かる責任って言うのは重い。

 いくら書類で責任は問わないって

 言われてもね、はいそうですかって

 納得して誰かを危険な場所に連れて行ける

 程、私達はまだ強くも無いから」

「そんな事はありませんっ!お姉様は

 十分に強い方ですわっ!状況をよく読む

 事などもそうですっ!」


そう言って、私は強いと言ってくれるマリル。

でもその言葉を聞いた時、私はふとした疑問を

感じた。


「あのさマリル?マリルはどうしてそこまで

 冒険者に、力に憧れるの?」

「え?」

私の言葉にマリルは戸惑ったように疑問符を

浮かべる。幸い、周囲にはアリエス達やマルコ

さん達も居ない。


「私はね、なりたくて冒険者になった。

 アリエスとウリエスは、止むに止まれない

 事情があって冒険者になった。でも

 マリルは?正直、マリルがどうして

 冒険者になりたいのか。そしてどうして

 そこまで力に拘るのかが分からないの」

「そ、それは……」


私の言葉に、マリルはしばし口をつぐんだ。

そして何度か口を開こうとしても、すぐに

俯いてしまう。それを何度か繰り返した後。


「ごめん、なさい。お姉様と言えど、その……」

どうやら、マリルも何か事情を抱えている様子。

「ううん。無理に聞いちゃってごめん。

 誰だって、人に言えない事の一つや二つ、

 あるよね」


言いたくない事を無理に言わせて傷付けるのは

ダメだ。だから私はそう言ってマリルの肩に

手を置く。

「お姉様」

「それじゃあ、また今度。ギルドでね」


そう言って私は屋敷を後にした。そして一足先

に敷地の外に出ていたアリエスとウリエスの

2人に合流して、私は宿に戻った。



とは言え、アリエスが宿に戻ってからも不機嫌

なんだよね~。

今も何やらムス~ッとしてるし。これじゃあ

折角のデートが台無しになる。

う~ん、何か無いかな~。

私は荷物の少ない鞄の中を探る。


そして見つけたっ!そうだそうだっ!

『これ』があったっ!


って事で早速、私は『それ』に着替えた。



今も窓際に座って仏頂面のアリエスと、それ

を心配して声を掛けているウリエス。

そこへ……。

「ねぇねぇ2人とも!これ着てみたんだけどっ!」

「「え?」」

私が声を掛けると、2人ともこっちを向いて

くれた。

「「ッ~~~!?!?!」」

そして見る間に顔を真っ赤にしていく。


う~んやっぱりか~。そりゃ私が昼間に買った

セクシーなネグリジェを着てれば、そうなるか~。

「ちょっ!?ミハルあんたなんでそれ着てるのよ!?」

「え?だって折角買ってきたんだから着ないとね」

「だ、だからって人前で着るのはどうかと

 思いますけど!?」

アリエスもウリエスも顔を真っ赤にしたまま叫ぶ。


ふっふっふ。少なくともアリエスの仏頂面は

どうにか出来たぞ~。

……私もすんごい恥ずかしいけど、アリエスが

不機嫌でウリエスがそれを心配した様子のまま

なのはいけない!だったら私が何とかするしか

無いでしょっ!


って事で、私は2人の傍のベッドに腰掛ける。

「ねぇ。どうかなこれ。2人はどう思う?」

そう言って足を組む私。今私が着ているのはこの

ネグリジェにパンツだけ。はっきり言って自分

でもHだと思うけど、まぁそこは気にしたら負け

の精神で気にしない事にしたっ!恥ずかしいけどっ!


「な、何ってっ!?そ、その、え、エロいとしか

 言いようが無いでしょっ!?生地だってスケスケ

 で、むむむ、胸っ!胸だってあのそのっ!

みみみ、見えちゃってるじゃない!」

顔を真っ赤にしてテンパった様子のアリエス。

「そそそそ、そうですっ!は、破廉恥ですっ!」

ウリエスも姉に便乗するように、顔を真っ赤に

しながら叫んでいる。


その時私の中でピコーンと電球が点灯し、私の中の

悪戯心が顔を覗かせた。そして、私はベッドから

立ち上がると、椅子に座るウリエスの膝の上に

跨がって腰を下ろした。


そうなれば当然、ウリエスの目の前の私のスッケスケ

なランジェリー越しに胸が見える訳で……。

「はわっ!?はわわわわわっ!?」

更に顔を赤くしテンパるウリエス。もう漫画

だったらグルグルお目々になってるような状況だね。


「ウリエスは、こんなにHで破廉恥な恋人は嫌い?」

私は彼女の耳元で小さく呟く。

「ふぇぇっ!?それは、あのっ!そのっ!えっとっ!」

耳まで真っ赤にしてしばし戸惑ったウリエスは……。


「き、嫌い……じゃないです」

それだけ言うと頭から煙を吹き出してしまった。

きっとすんごい恥ずかしいんだろうなぁ。

チラッと隣を見ると、アリエスは咄嗟に視線を

逸らした。あぁ、私と目を合わせるのが恥ずかしい

のかな?それとも、胸めっちゃ見てたの気づかれたく

ないからかな?


まぁ、見られるのはちょっと恥ずかしいけど、

でも2人なら別に良いし。……なんならちょっと

興奮してるし。やっぱり私には百合の気があった

のかもしれない。って言うかあるねこれ、確実に。

「ねぇ2人とも、こっち来て」


そう言って私は2人の手を取り、ベッドに座らせて

私も2人の間に腰を下ろした。

「私もさぁ、やっぱり人間だから人並みの欲望

 はあるんだよねぇ。これ食べたいとか。

 Hな事したい、とか」

私の最後の言葉に2人は顔を赤くする。


「あっ、もちろん私だって好きでも無い人とH

 したいなんて思わないよ?私が2人とそういう

 事したいって思うのは、2人を愛してるから」

その言葉に、2人は茹で蛸みたいに顔を赤くする。


ふふ、さっきから2人とも赤面してばっかり。

本当に可愛いなぁもう。

「ねぇ。2人は私と愛し合うのは、イヤ?」


そう、私が問いかけると……。

「う、うぅぅぅぅっ!あ~~も~~~!」

『ガシッ!』


「やぁん♪」

アリエスが私の両肩を掴んでベッドの上に私を

押し倒した。

「そ、そんな風に誘ったんだから、覚悟は

 出来てるんでしょうね!?」

そう言って私の上に跨がるアリエス。でも顔は

真っ赤で初心な感じが丸出し。


「あ、あのあの。わ、私も……」

更にウリエスがアリエスの隣から私を見下ろす。


「ふふ、良いよ。……だって私は、2人が大好きだから」

そう言って、私はアリエスに手を伸ばし、彼女の

首元に腕を絡ませた。



その日の夜、かれこれ人生16年目。前世も合わせれば

人生32年目のある日、私の初体験の相手は同性の

恋人姉妹でした。




数時間後。私の隣では裸のアリエスとウリエスが

疲れたのか眠ってる。

ちなみに、始める前に私の力で防音結界を発生させる

アイテムを生み出した。流石に宿や他のお客さんに

騒音問題をお届けするのも悪いし。


……にしても、正直気になるところがあるんだよねぇ。

まぁそれはマリルに関してなんだけど。

マリルが冒険者になりたがる理由を私は

知りたかった。とは言え、本人の口以外から

聞くのはプライバシーの侵害になりそうだから

やらないけど。


その辺りは、とりあえず今は考えるのはやめよう。

それに、それ以外でも考えなきゃ行けない事が

あるし。


そこまで考えると、私はベッドに横になり、眠り

についた。




ちなみに翌朝、昨夜の事を思いだして私の顔を

見る度アリエスとウリエスが顔を真っ赤にしていた

のが凄く可愛かった。


     第12話 END


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