プロローグ 『死んで生き返りました』
女主人公がファンタジー系異世界でチート能力駆使して暴れながら仲間を
作ったり、時々百合百合なことをする作品です。剣と魔法とか言ってますが、
序盤から銃が出てくるし、中盤からはロボットとか変身もすると思います。
今、私の前に広がっているのは広大な草原。その先にはいくつもの山々や森が広がり、青い空の上を白い雲がゆっくりと流れ、その隙間から見え隠れする太陽が私達を照らしている。
ふと後ろに振り返れば、そこにいるのは私の大切なパーティメンバー達。
私達は今、この広大な世界を旅していた。危険もあるけど、冒険も出会いもある世界が目の前に広がっている。
そして、『現代』に生きていた私にとって、ここはラノベやゲームのような世界。
そう。何を隠そう私、『ミハル・スプリング』は、転生者なのだっ!
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それは、突然にやってきた。眼前に迫るトラック。運転席では男の人が驚愕の表情のまま叫んでいた。『あぁ、私、死ぬんだ』。ふと、そんな事を考えながら、私は私が突き飛ばした女の子の事を考えていた。あの子は無事かな?私が庇った訳だけど、でもそれで意味なく私と一緒に死んじゃうのだけは、正直止めて欲しいな。
と、私は最後の最後で、そんなしょうもない事を考えていたのだった。
そして、次に気づいた時。
「あぁ君。転生するから」
「はぁ?」
突如目の前に現れたおじいちゃん。その第一声がそれである。理解出来ず首をかしげた私は悪く無いはず。でその後、私はそのおじいちゃん改め『神様』から事の次第を聞いていた。
ちなみに神様は、正しく『ザ神様』って感じの格好だった。白いローブみたいな服装に長く白い髭。そして杖を突いていた。
で、どうやら私は案の定死んだらしく、でも庇った女の子は無事。んでもってその英雄的行動から、第2の人生を与えると言うものだった。
何というラノベのテンプレ的展開。もはやラノベの王道的展開と言っても良いかもしれない程に当たり前になった『異世界転生』。
しかし『現実は小説よりも奇なり』とは良く言ったものだよね。現に空想の産物だった異世界転生を私自身が経験するんだから。
「さて、ではお主はどんな世界がお望みじゃ?『坂巻 美春』」
「え?どんな世界にいけるのか選べるんですか?」
「あぁ、もちろん。……本人の行きたくない所に送って、あとでクレームになっても困るからのぉ」
「クレームって!?あるんですか!?」
生き返らせてくれた神様に文句付けるってどんな神経してんのその人っ!?いやまぁ『思ってたのと違うっ!』ってなって軽く絶望した時は私も何度かあるけどさぁ。
「あぁあったよ。昔は。王道のファンタジー世界に送ったら、自分はロボット有りの近未来SFの世界が良かったとか言ってきた若造がいたなぁ」
あぁ、成程。きっとその人はロボットに乗りたかったに違いない。きっとガン○ムとかマ○ロスとかが大好きだったんだね、その人。
「まぁ、他の者の事は良いとして。お主はどんな世界が良い?女性じゃから、そうじゃのぉ。美男子達に囲まれて逆ハーレムものの、乙女ゲームみたいな世界もあるぞい?」
「そんな世界まであるんだっ!?」
「うむ。女性転生者向けじゃ」
「どんな『向け』ですか神様っ!?サラッと女性向けゲーム紹介するみたいに言わないで下さいよ!」
スケールの大きい冗談みたいな話に私はツッコみを入れてしまう。
「で?どうなのじゃ?」
「あぁ、はい。私の生きたい世界ですよね。う~ん」
私は悩んだ。今更だが、私はオタクだ。両親がそうだったのもあって、私もラノベなんかが大好きだ。だからこそ……。
「じゃあファンタジー系世界でっ!」
行き先はすぐに決まった。
「はぁ?ファンタジー世界じゃと?それはつまり、剣や魔法、魔物がいて危険だけど冒険ありの?」
「はい。そんな感じのファンタジー系世界でお願いしますっ!」
「むぅ。理由を聞いても良いかの?危険があると、承知の上、なのじゃな?」
「はいっ。私、特撮ヒーローやアニメやラノベが大好きなんですよ!そしてここに来てそのラノベまんまの展開ですからねっ!だったらもうあとはファンタジー世界にGOっ!しかないでしょ!」
「……変わったJKじゃのぉ」
そう言いつつも笑みを浮かべる神様。
「まぁ良かろう。それが本人の希望であれば叶えてやるまで。あぁそれと、転生に当って一つだけ何か特典を与えよう」
「おぉっ!これまた王道展開っ!」
「何でも良いぞ。物やスキル。或いは絶対にこうなって欲しいと言うルートがあるとか、何でも良い」
ふむふむ。成程。となるとどうするか悩むなぁ。私の呼んだラノベの大半だと、ここでチート級能力を貰うわけだけど。チート級の能力かぁ。う~~ん。…………よしっ!思いついたっ!
「神様、一つ確認なんですが、例えば頭の中に思い描いた物を具現化する能力、とかってありですか?創造の能力と言うか」
「ふむ。別に不可能ではないぞ。しかし対価無しで、とは行かんな。その能力を使用する場合、保有者の持つ魔力を消費して物を生み出す。また、生み出す物のサイズなどに応じて消費する魔力量も上昇するから、あまり大きな物を作るとなると工夫がいるが、それでも 良いかな?」
「十分ですっ!じゃあその能力でお願いしますっ!」
イメージだけで物が生み出せる程の万能性のスキルが貰えるのなら、その程度のデメリットはデメリットとも思えないよっ!
「うむ。ではお主は、お主が望む世界へ、お主が望む力と共に生まれ変わるのじゃ」
そう言うと、神様が手にしていた杖の先端が光り輝いた。かと思うと頭上に虹色の穴が現れ、私の体がふわりと浮かび上がってその穴に吸い込まれた。
「達者でな。坂巻美春よ」
「はいっ!ありがとうございましたっ!
神様~~~っ!」
私は、虹色の穴を通って神様が見えなくなるまで、その手を振り続けたのだった。
そうして、私は異世界へと転生した。
『坂巻美春』から、『ミハル・スプリング』へと、生まれ変わったのだった。
プロローグ END
まずはプロローグです。