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第13話.アリスとリトライ

第13話.アリスとリトライ



「お、お姉様。これは……」


金属の棒(すりこぎ状)で、牛乳と卵をかき混ぜた上に小麦粉と砂糖をぶち込んだものを鉄鍋に放り込んで焼いた。出来上がったものをクマさんが食べた。


「美味しいです!」

「そう?」

「はい!とっても」


ふぅん、そうか。美味しいのか。クマさんはそう言ってくれたが俺は少し懐疑的だ。何しろふわふわのパン(ケーキ)状のものを想定して作ったのだが、出来上がったのはどう見てもチャパティだ。ちなみにチャパティはインド料理屋でみた薄いパンである。


「何でしょう、この香ばしい感じ。とてもスイーツには見えないけど」

「美味しいですよ?」


ええいままよ。大きな口を開けてぱくりとばかりに口の中に放り込んだ。ウン、ううん。

砂糖が入っているから甘い。食えない事はないけど、ペシャンコの甘いパンだ。

きらきらした目でクマさんが見つめてくる。感想を求めてのものだろう。どうしたものか。


「……」


ニコニコ顔のクマさんが、ジッとこちら見る。あの顔はわかる。『お姉様の言う、てらみすなるお菓子を一緒に作り上げた』そういう誇らしさが入った表情だ。


「……」

「ど、どうですか?」


クマさんのきらきらが眩しい!やめてそんな目で見ないで、このクソ甘チャパティをケーキだって言わせないでー!


「お、美味しい」


あまりのプレッシャーに耐えきれずに視線を逸らしながらそう言った。クマさんがぱあっと輝く笑顔で手を叩く。


「良かった!一歩前進ですね、お姉様!」

「え、ええ。でも……」


かわいそうだが仕方ない、実験には失敗は付き物である。遠回しに若干の軌道修正が必要であることを伝えることにする。


「ちょっと、違う感じなのかな?私の記憶とちょっと違う感じ、あの見た目がね。美味しいんだけどチョッとだけ違うかなー?」


みるみるクマさんの顔色が悪くなる。


「と、とりあえず、もう少し研究してみましょう。ペシャンコじゃなくって、ふわふわを目指すの、ね?」

「はい」


落胆した様子だったが、頭を撫でると復活した。こんなところで躓くわけにはいかないのだ。


「じゃあこのクソ甘チャパティは犬にあげるとして、次を作りましょう」

「ハイ!」


私達の努力は終わらない。

最高のティラミスを作って、たぬきを喜ばせるまでは!



……



『喜ばせるまでは!』なんて決めポーズを決めたものの、次のアイデアが思い浮かばずに止まっていると、クマさんが口を開いた。


牛乳(ミルク)が多かったんでしょうか」

「……そうね。そうかも」


はっとした。配合、割合か。牛乳や小麦粉の割合の問題なのかもしれない。これまでは目分量で器が満タンになるまで材料を詰め合わせていたのだが、ひょっとすると分量によって違う反応が起こるのかも。青天の霹靂であった。


「よし、色々分量を調整して試して見ましょう!」

「はい!お姉様、頑張ります!」

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