家族みんなで転生チートが産まれる準備をがんばっています。

“精霊の愛し子”

この世界では「精霊に愛された子」ではなく、「精霊が愛さずにはいられない子」の事をいう。
種族・属性共に数多ある精霊が、どうしても愛してしまうのだ。
愛したら力を貸さずにはいられない。
王族・貴族のみならず、市井の者達にも守護精霊がつくこの世界においても、全ての精霊に愛される存在は異質だ。

そしてこの体質は遺伝する。
過去に愛し子が生まれた家では、そこから代々“愛される”事が決定事項となるのだ。

大自然と共にあり、広大で肥沃な大地を有するプラー・ティール・スワルズ王国にも愛し子の系譜が２つある。
現当主が宮廷魔術師の師長を努め、近衛の任にも付くなど、他貴族にも大いなる影響力を持つ“ニードルート侯爵家”と、高レベルの魔物が跋扈するグルーガ大森林や隣国に面し、領軍としては王国一の軍事力を誇る“シュッツグラー辺境伯家”だ。

この２家の子等が出会い、恋に落ちた事で精霊界を揺るがす事となる。
大精霊達は悩んだ。愛し子同士が婚姻するなど、精霊達が黙っている筈もなし。その夫婦だけでなく、産まれた子等には無限に守護精霊がついてしまいそうな勢いだ。
そうなってしまえば、幼子の魂などひとたまりもない。
悩みに悩んだ大精霊達はある結論に達する。

「そうだ、異世界から成人した魂を転生させよう」
界を渡った強靭な魂ならば、膨大な力にも耐えられよう。



ーーーーそんな騒動から始まる、これは転生チートを我が子に迎える為、家族が一丸となって奮闘するお話。