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じゃあ、俺もやり直し希望する。

神さまが引き起こした事故によって死亡した私は転生することになった。

小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたはずなのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。

おかげで絶え間なく虫に襲われる人生になってしまった。

猫のマサムネという心強い仲間はできたけれど、危なくて仕方ない。

神さまに「転生をやり直してほしい」と交渉しているのに逆に言いくるめられそう。

でも、絶対に転生やり直してもらうんだから!


------------------------------------------


少し離れた場所に天から地面に向かって、光の柱が出現した。


?!

アレは?


《チッ。…誰か転生してきたみたいっスね》


え?

こんな立て続けに?

しかも近所に?

あと、今、舌打ちしなかった?


《もう少しだったのに》


ん?


《え? これも俺の担当っスか? マジっスか》


なに?


《こっちの話っス。さ、検収終わらせるっス、次の人が来て、後つかえてるっスから、ね》


ははーん!?


《!?》


予感がする! 私の知り合いだね。アレも


《ちょ、ちょ》


マサムネ、あそこ行こう!

レッツゴー!


猛ダッシュした。

それはもう、全速力だよ。

全速力でも、えーっと、私は100メートル15秒だから、1分で400メートルで、バテるから300として、その60分の1だから…

1分で5メートル?

遅っ!


《待つっス!》


必死に呼び止めてきた。

立ち止まって尋ねる?


「なんで?」


《検収してない状態で他の転生者に接触しちゃダメっス》


そんなことマサムネの時にもうやっちゃったじゃん。


《本当はアレもダメっス》


あれ?慌ててる?なんで? 困るの?


《!…え、あ…》


再度ダッシュする!

あれ? 速いな。さっきの計算違うんだな。


「あそこにだれが来るのかなぁ?」


検収の神さまが色々言っていたけどマルッと無視して、スキップしながら、光の柱の下に到着。


竹藪だ。

竹が一本光っている。

光っているのは一節だけ。


かぐや姫?

え?

転生者?かぐや姫?

誰かがかぐや姫に転生してきたってこと?


竹、斬っちゃおうか?


《本当にやめてくださいっス》


「えいっ」


無視して竹を斬ってしまった。


眩い光が竹の切り口から溢れた。

眩しくて目を背けて待っていると、徐々に徐々に光が収まって来た。


光が収まった竹の中にはかぐや姫がいた。

俯いていて顔はよく見えないが、黒髪で前髪パッツンのイメージ通りのあの髪型だ。


息を飲んで見つめていると、かぐや姫が顔を上げた。

その顔を見て、絶句した。

びっくりし過ぎてハゲるかと思った。


かぐや姫は太い眉した猿顔の『アイツ』だった。アイツの小6か中1あたりの姿そのままだった。


「な、なんでアンタがっ!」


今日は何回驚くことがあるのか。まあ死んだしな。


「あ、ユイっ!」


アイツは右手を上げて、「よっ」と軽いノリで挨拶してきた。


「なんだよ。なに固まってんだよ」


なんか懐かしいこの感じ。この笑顔見たのいつ以来だろう。

しかし、それよりも


「ぷっ、はは、ははははっ、あーははははっっ、あんた、どうしたの?」


アイツがかぐや姫になってる。

なんでだよ。

眉毛太いし、顎四角いのに、かぐや姫ヘアーだし。


「ぶははははっ」


「おい、なんでそんな笑ってるんだ」


「やめて、勘弁して。鼻の穴膨らませて怒鳴んないで。鼻毛伸びてるし、あはははっ」


コイツは私を殺しに来たのか。駄目だ。笑い死ぬ。


「なんだよ?」


かぐや姫ヘアー越しに猿が怪訝な顔をする。


頬紅いい仕事しすぎだし。

おでこの横皺と髪型の組み合わせヤバイし。

てか髪サラサラ過ぎだし。


だめ、無理。勘弁してください。

やめて、その格好で真っ赤な顔して怒らないで。死んじゃうから。

口をとんがらせて拗ねないで、キモいからぁぁ。


小さく赤い口紅入ってるしー。

息が苦しいから、やめて、こっち見ないでぇ。


「ひーっ、ひーっ」


「笑いすぎだろう。なんだって言うんだよ」


「や、やめて。凄まないで。ひーっはははっ、無理ー。あんた、なんでかぐや姫になってんの? そういう願望あったのぉ?」


「かぐや姫?」


アイツは髪型と十二単にようやく気づいた。

「うおっ」とか言ってるし。

自分の股をまさぐって、なんか確認してるし。


《はぁ…》


神さまどうしたの?


《チッ…。ちょっと黙っててください》


なによ。また舌打ちしたね?


《もしもし、レイジさんっスね。聞こえてるっスか?》


「はい。聞こえます」


《私が検収を担当させていただくっス》


さっき言ってたのはこのことか


《レイジさん、これから要望通りに転生出来ているか一緒に確認してもらうっス。もし要望通りになっていない場合、出来る範囲で調整するっス。調整可能な範囲を超えていた場合は転生からやり直しになりっス》


「あ、やり直し出来るんですか? よかったぁ」


レイジは安心してるけど、そう簡単にいくのかなぁ?

しかし、それよりも言っておかねば。


「ちょっと私のやり直しが先でしょ?」


《…ユイさまぁ。ちょっと待ってもらっていいっスかぁ?》


語尾に怒りが篭ってるよ。


「ユイ、お前やり直し希望してんの?」


相変わらず空気よまないね、コイツは


「そ、今お願いしてるところ」


「そっか、じゃあ、俺もやり直し希望する」


「レイジ、相手神さまなんだよ。口の利き方」


「あ、そっか。神さま、俺も…」


私は首を横に振る。


「僕も…」


それも違う


「私も…」


それ。

縦に首を振る


レイジは安心したような顔をして、姿勢を正して言った。


「私もやり直し希望します」


ぷっ、ははははっ 私とか言わないでよ。キモいから


レイジはかぐや姫に転生したんだろうか?

猿がかぐや姫のコスプレしているようにしか見えないけどね。

見れば見るほど、これはひどい。


髪はカツラだったようで、外してどっかにやったみたいでもう無い。


《まずは現状の確認を一緒にしていただいていいっスか?》


どっかで聞いたセリフだね。


「はい、わかりました。お願いします」


《レイジさんのご要望内容は…》


「あぁぁ!ちょっと待ってください」


レイジは神さまを止めて、こっちを指刺した。


「アイツに聞かれたくないんですけど」


なんだって?

レイジのくせにぃ。


《ああ…了解っス》


ちょっと、私にも聞かせなさいよ。


《ユイさんはダメっスよ》


えぇぇぇ。私も聞きたいぃ。


無視して2人だけで念話を始めてしまった。


いいもん。マサムネおいで。


私はマサムネをモフモフし始めた。

でっかい子猫を全身で抱きつきながらモフモフする。

なんて幸せなんだろう。

レイジは何やら熱心に話している。


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